⑧二つ目の答え
「ならば2つ目と行こう」
大魔王の立てている指が2本に増える。そしてフォースィの体を上から下へと視線を動かした。
「その体、その魔力量から察するに………二十二回か」
大魔王の提示した数字にフォースィの動きが止まる。
「もしお前がこの場でその回数以上の魔法を唱えたら………どうなる」
「どうなるって………赤ん坊よりも前に戻るに決まっているじゃない」
つまり存在そのものが消えてなくなる。フォースィは最後まで言わなかったが、その意味は大魔王には伝わった。
「全てを知る方法はそこにある」
大魔王の足が扉に向く。
「ちょ、ちょっと待ちなさい!」
フォースィは扉に向かって歩き始めた大魔王を止めようとするが、その足は止まらなかった。そして大魔王の手が扉にかかり、そこでようやく彼が顔を横に向ける。
「全てを知りたいのだろう? 覚悟があればやってみるがいい」
扉が開かれ、大魔王は部屋を後にした。
岩壁の部屋に取り残されたフォースィは下唇を噛みしめ、過酷な条件を突き付けられた内容を目的と感情の狭間で必死に整える。
「全てを知る代わりに命をかけろ………そういう事なの?」
それとも本当に死ねと言っているのか。フォースィは自分の命を天秤にかけつつも、不確かな情報が恐怖となり、天秤を支える手を離す事ができなかった。
「お母さん………」
フォースィの肩は静かに震えていた。




