④本音のままで
「俺が優しい………か」
タイサはエコーを見上げると、彼女はその通りだと笑みを見せている。タイサはさらに王女とデルの顔を見ると、王女は彼女と同じ表情で口元に指を当てて笑い、デルは呆れた顔で首を振っていた。
タイサは椅子に深く座り直すと、背もたれに体を預けて息を吐いた。
「俺は………嘘が苦手でな。すぐ顔や声に出るらしい」
エコーとデルが大きく頷く。
「バレる嘘をつくくらいなら、本音で付き合った方が楽だろう? 俺はそう思って今まで色々な人間と接してきたつもりだ。ああ、もちろん礼儀とか儀礼的な発言や言葉遣いは当たり前だがな」
猫を被っても疲れるだけだと、タイサは持論を展開する。
「誰にだって好き嫌いはある。本音で付き合って、それでも合わないなら仕方がないじゃないか。最低限の付き合いで済ませればいい。そう考えて今まで普通にやってきたんだが………俺は優しいと思われたくて優しくした事は………ないなぁ」
顎に手を当ててタイサは天井を見ながら自分を振り返る。そして改めてバイオレットの行動は全く気にしていないという訳ではないと濁しつつも、糾弾する程、恨んでもいないと眉を上げた。
「ほらな、バイオレット。タイサはこういう奴なんだ。本人が気にしていないと言っているんだから、もう気にしなくていいんだぞ?」
「隊長の普通は、基本普通ではありませんので」
エコーもデルの言葉に同意して笑っていた。
「お前らな………それは褒めているのか?」
タイサが口を尖らせる。
「………ありがとうございます。隊長」
バイオレットは両手の指で目を押すように隠していた。今まで溜まっていたものが全て零れ落ち、肩を何度も揺らしている。
「隊長、か。俺はもう団長でもないんだぞ? もうその名で呼ばなくていいんだが」
「いえ、これからも隊長と呼ばせてください」
「………そうか」
タイサはエコーに顔を向けて目で合図を送る。それに気付いた彼女は、バイオレットに近付くと、彼女の肩を抱き、そのまま別室へと運んでいった。




