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lost19 虚構の歴史、真実の物語  作者: JHST
第九章 闇の女王
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⑦二人と一人

「阿吽の呼吸とも呼べる、良い動きだが………」

 アスタロッテが大きく一歩後退する。

「仲良く互い技で死ぬが良い」

「そいつは」「どうかしら!?」

 互いに向き合っていたタイサとエコー。タイサは杭打ちを斜め下に傾けていた為、杭は床に突き刺さるる。エコーは剣をタイサに向けて構えて飛び込んでいたが、杭打ちの直線状からは前にずれていた。

 彼女は空中で姿勢を変えると、床に固定された盾を壁代わりに利用して両足を乗せると、向きを垂直に方向へと変えて後退したアスタロッテに再度跳びかかった。


「ほぉ!」

 アスタロッテの顔が笑みの籠った驚きへと変わる。そして右手の扇子をパンと音を立てて開くと、エコーの突きを受け止める。

「まだまだぁぁぁぁっ!」

 エコーが蹴った反動で床から杭が外れて半回転したタイサが、アスタロッテに背を向けたまま後方に杭を射出する。

「むっ」

 杭打ちの威力が薄い扇子の強度を上回り、粉砕させる。一撃こそアスタロッテに届かなかったが、四散した扇の破片が、彼女の視界を奪う良い目くらましになった。

 エコーが横に生えた杭をすかさず蹴り、今度はアスタロッテの左側面に跳ぶ。さらにタイサも蹴られた反動で逆回転を起こし、相手と正面に向き合うと残った左の杭を突き出した。


「この者達………」

 瞬間、杭が飛び出した。その威力はタイサが大きく床を削りながら後退する程で、発生した衝撃波と音は周囲の空気を吹き飛ばし、あらゆる粒子を外へと弾き出した。

 側面で武器を構えただけだったエコーがその場から飛び去り、タイサに合流する。


「さぁて………これで倒れる相手ではないと思うが」

 三本の杭を受けて無傷で済む訳がない。タイサはそれ位の希望をもって、部屋奥の壁に叩き付けられた少女を凝視し続けた。

「………無傷のようです」

「畜生め」

 エコーの報告に、タイサは苦虫を噛んだ表情になる。

 アスタロッテは両腕を上下に重ねて守り姿勢を構えていた。彼女の前では六角形の薄黒い障壁が複数枚展開されていたが、細い腕を下ろすと同時に、その障壁は点滅しながら徐々に消えていく。


「驚いたぞ………両手で守るなど、いつ以来じゃろうか」

 ドレスに付いた灰色の埃を片手で払うと、指先から先程の六角形の黒い障壁を一枚展開させた。

「闇のアイギス。父様の得意技じゃ。あらゆる攻撃を弾く、魔の鉄壁………人が作った武器程度で、この薄い壁を破るなど、容易ではないぞ」

 握りしめるように障壁が砕け散る。

「人間だと侮った事は素直に詫びよう。其方達は十分に強い………もし望むのならば、77柱の列席に加えても良い位じゃ」

 アスタロッテが元の位置に戻ろうと歩き始める。子ども故に歩幅はとても小さなものであったが、その一歩一歩が、強者としての余裕と頂点に立つ者としての堂々さと優雅さを兼ね備えていた。

「其方らの為に言っておくが、その力をもってしても吾には勝てぬぞ」

 再び少女の右手に黒い粒子が集まり、闇の扇子が構築されていく。


「―――だ、そうです隊長。いっその事、転職してみますか? 冒険者よりも遥かに待遇が良さそうですが」

「随分と魅力的な話だ。元貧乏人としては、揺さぶられるものがある」

 肩を鳴らし、タイサは爪先を床に叩きながら体の節々を慣らし始める。

「だが、却下だ。借金は返したが、貧乏人には貧乏人なりの意地がある」

「了解です」

 タイサとエコーが武器を構えた。

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