第一章~始まりの日~
予感、そんなものがこの世にあるのならオレには全くその要素がないようだ。
普通にオレは登校していた。宿題はちゃんとやった。英語の宿題だ。教科書の訳の予習だから、それほど手間がかかるものじゃあない。それに今日は体育もある。最近はバスケをやってる。オレは部活に入っていないけど運動神経は中々良い方だから、バスケも人並みにはできる。だから楽しい。良い一日になりそうだ。
「おはよう、相木」
「あ、萩場。おはよう」
学校まであと五分と言うところで、隣のクラスの萩場潤が声をかけてきた。身長は約170㎝、身体だってそんなにごつい方じゃない萩場はサッカー部のヒーローだ。なんでも足下の技術があるとか。今度見てみたい。その技術がどれくらい凄いのかを。萩場とオレはクラスさえ違えど、体育のグループが同じだから仲はいい。
「聞いたか?今日の体育、持久走だってよ」
「嘘だろ!?」
「ホント、ホント。昨日の体育で先生が終わったときに言ってたの聞いたんだよ。それにあと一ヶ月で持久走だしさ」
「いやぁ、参ったなぁ」
持久走は苦手だ。別に特別遅いってワケじゃない。だけど、だけど分かるだろ。ただ走るだけ、それが好きじゃないんだ。
「じゃあさ、一緒に走るか。オレも乗り気にはならないしさ」
「それはありがたい。かなり」
ほんとだ。ただ走るだけを一人をやりきるなんて勘弁して欲しい。元々良いタイムをはじき出せる程に速くもないし。
そんな話をしていると、すぐに校門まで行くことが出来た。その後、オレは萩場と別れて自分の教室に向かった。
体育までの授業はつまんないの一点張り。オレの席はだいたい真ん中の辺り。オレは板書して、ちょっと暇なときに寝ていた。後ろの席の高木に背中を押されてちょっかいを出されるのはもはや恒例。
そしてやっと体育の授業。教室で体育着に着替えたところでちょうど萩場が迎えに来た。オレと萩場で下駄箱まで行き、上履きから運動靴に履き替えた。みんなおしゃれなスニーカーを履いてきていて、体育の時だけ運動靴に履き替えている。でもオレはそれがめんどくさい。だったら、ずっと運動靴でもいいじゃないかと思う。運動場に出たところで再び萩場と落ち合った。
「どれぐらいのペースで行く?」
「遅めで頼むよ」
萩場はサッカー部。かなり体力はあるから、オレにあわせることは何てこと無いだろう。
走り始めた。定番の五キロコース。
まず始めに出てくるのは橋。大きくもないし小さくもない。ちゃんと歩道があるからそこを走っていく。オレ達の前にはかなり多くの人がいる。頑張れ、心にも無いことを呟いてみた。この橋は大勢で走ると揺れる。普通の歩行者にとっては良い迷惑だ。
橋を通ると田んぼと田んぼの間の道をずっと走る。景色が全くと行って良い程変わらないから退屈だ。息は乱れない。
次はちょっとした坂。坂に入る前にはちょっとした道路がある。そこの人の家の塀は道路ギリギリまであって、かなり危なかったけどオレと萩場は構わず直進した。萩場がちょっとオレの前に出た。ほんの少しだ。その萩場は右の方に視線をやり、目を見開いた。
その瞬間だった。
オレは萩場を道路の向こう側へ突き飛ばし、萩場の見ていた方に目を向けた。トラックが来ていた。
あぁ、萩場はこれに驚いたんだ。
オレの身体はトラックに直撃し遠くへ飛んだ。不思議と痛みはない。周りの動きがスローモーションになることも無かった。背中に衝撃が走った。たぶん道路にたたきつけられたのだろう。自分の冷静さが恐くなってきた。
オレは激しく頭を打ちそのまま眠ってしまった。
結構、自信作になりそうなので長い目で読んでください!!!
あ、あと口コミとコメよろしくお願いします




