▽最終話 異世界におはようございます
――輝いている
――――粒が……イズレット粒子が輝いている
「辿り着いたよ、スーパールーキー!」
――――――死んだはずのみんながそこにいる
「ウチらは元気だから心配しないで行っといで!」
「そうそう! ミッケもミックも元気でいるから!」
――――――笑顔でいてくれる
「だからアルク、テメェはさっさと起きろ」
――――それだけでいい
「待っている奴らがいるんだから」
――私はもう
「はぁ……お姫様には目覚ましのキスが必要かぁ? へっ、まぁいいや。たっぷりやってあげますわよ♡」
――これで終わりえぇえぇぇぇぇ!?
※
「ん……っ」
私は目を覚ました。
すごく濃厚な夢? もしくは走馬灯か、現実だった。
おかげさまで大事なところが濡れている。
「あ……」
視界に薄暗い部屋の天井が見える。こういう時、あれ言うよね。
「知らない天井だ」
いや、知っている天井だけどね。
ここは支援艦の医務室。ピラテに案内してもらった時に、こういう医務室に入った記憶がある。
「生き残ったんだ、私」
応急処置だとか意識失う前に聞こえてきたから、生き残ったんだろうか。もしくは医務室の光景を見ているだけの死人か。
「まっ、外に出てみっか」
この光景がこの世か、あの世か、答えは外にある。
私はベッドから出る。
しっかり立てる。浮遊霊ではなく、ちゃんと足で歩くことが出来る。
行き先は外。歩いて、医務室の外へと出た。
「あれぇ? 誰もいない」
右を見ても、左を見ても、誰もいない。
気配もない。話し声もない。
医務室どころか、通路さえも薄暗い。
「あれ、光?」
だけど窓から光が差し込んでいる。
私は誘われるように窓に近付いて、外を見た。
「これ……」
窓の外には知らない景色が広がっている。
異世界の三文字に相応しい景色。
木々、草原、遠くに見える山、太陽が照らす緑の大地。
支援艦以外の人工物が見当たらないファンタジーな世界が見える。
「私たち、本当に辿り着いたんだね、ヨワナシ」
ちゃんと異世界に来たんだ。後は転移か、転生か、みんながいるか、確かめるのみ!
私は駆け出す。通路を通り、階段を降り、支援艦の外へと。
「みんなー!」
そして開かれた支援艦の扉の外、話し声がする方へ飛び出る。
みんなは――
「あ、英雄が起きた!」
「スーパールーキーが起きたーッ!」
たくさんいる!
陸軍と海軍を合わせた人数の子たちがごはんを食べていた。
「アルク!」
聞き覚えしかないシエルの呼び声。
見れば、みんなはちゃんといた。
いつものドスケベ服のアン、若干痩せたバツザン、吹き飛んだはずの左腕が復活しているガイセイと妊婦のキョウコ。
妊婦!?
「キョウコってば妊娠してる!?」
「ガイセイとだって」
「そりゃそうだよねぇ」
シエルがキョウコのお相手を告げる。だろうね、という感じの結果だった。
それはそうとガイセイとキョウコが幸せそうに一緒で、お似合いのご夫婦で良かった。
「ねぇ、アルク」
「おん?」
「アタシもそろそろ子どもが欲しいかな」
そんでもって私の横にはいつの間にかシエルがいる。その見た目は下着丸見えのシースルーのドスケベ服。
クッッッソ誘惑されているねぇ。
「じゃあ私たちも子作りしちゃおっか!」
「もちろんアンも混ぜよう!」
「よっしゃ、初夜からドスケベだ~♡」
生きていて良かった。
獣兵計画は終わったし、ここからは異世界ドスケベスローライフの始まりだぁ!
私たちのドスケベはこれからだ!
元の世界での人生は打ち切り! 完!
これで獣兵計画の本編は完結でございます
もう一つエピローグを付け加えて、この作品は完結とさせてもらいます




