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▽第57話 夜逃げの逃げ支度

 003管理者――大鴉装核が食堂を出ていき、ついでにみんなで食事をしてから数十分後。


「みんなー、今の仕事を止めて支援艦に集合。海軍拠点の子も全員集合して」


 各スピーカーから基地中に001管理者――花乃椿博士の声が響き渡る。

 私たちは言われた通りに支援艦へ足を運んだ。


「うはぁ、結構な人数だね」


 到着してみると、すごい人数。並んで停泊している支援艦の周りはかなりの人数の人でごった返していた。


「アルクさん!」

「おっ、ピラテ!」


 ピラテと偶然再会。声を掛け、合流してくるピラテの姿は海軍拠点で見た局部だけ隠した格好から変わっていた。

 もう奴隷の姿じゃない。

 青い羽の付いた海賊帽子を被り、へそ出しセーラー服の海賊娘の姿がそこにあった。


「海賊さんじゃん! めっちゃ可愛いね!」

「か、可愛いなんて……えへへ」


 照れる姿も可愛い。シンプルな可愛さに海賊の要素が入っていて、とても良き。


「しかし相当な人数が集まりましたね」

「だねぇ」


 可愛い海賊娘なピラテから大量の人の光景に視線を移す。

 百人以上は確実な人数がここにいる。


「私たちの海軍拠点の規模が三百人くらいでしたから、この陸軍と合わせれば相当な人数になりますね」

「陸軍も大体三百人。合わせたら約六百人はいるだろうな」


 ピラテとキョウコは言う。

 まるで一大イベントの人数、というか現状も一大イベントだから納得の人数か。

 なんにしてもインドア派な私にとっては珍しい光景だ。


「全員に達する。これより僕たちは夜逃げの支度を始める」


 拡声器を通して響く椿博士の声。支援艦の上に姿が見える。


「まずは盗んできた支援艦に補給倉庫の物資、自宅の物、兵舎にそれぞれある武器庫内の武器を全て積んでほしい」


 言葉通りの夜逃げの支度。


「指示は追って伝える。全員、行動開始!」


 この基地にいる全員で逃げ支度をする命令が出された。

 それと同時に椿博士の横に置かれたスピーカーからクラシック音楽が流れ始め、みんな行動し始める。

 気分はまるで運動会だ。


「じゃあ、私たちもやろっか!」

「現代に残るか異世界に逃げるかはともかく、まず僕たちは夜逃げの支度をやろう」

「まぁ俺たちは?」

「逃げる一択のつもりだがな」

「私はどこまでもガイセイ教官にお供します」

「アタクシはアルクに付いていきますわ」

「私もスーパールーキーに付いていくよ」

「あ、私もアルクさんと共に!」


 みんな思い思いに告げる。


「じゃあアタシはアンとアルクを異世界に連れ出す。連盟に使い潰されるくらいなら異世界で第二の人生をみんなと送りたい」


 シエルも告げる。その胸の内はみんなで異世界スローライフかな。


「シエルがそう言うんなら、異世界行き決定だね。アンも一緒に行くよね?」

「もちろん行くよ。もう離れたくないから」


 ということで異世界行き決定である。

 そうして意見が固まったところで、私たちは夜逃げの支度を始めていく。


  ※


 支度を始めてから数時間後。


「こっち固定して!」

「はーい」


 自宅や補給倉庫の物資、武器庫の武器を支援艦の格納庫に積み込み、支援艦が暴れても格納庫内で物資や武器が暴れないように床や壁に固定していく。


「イズレット粒子の銃は全部起動! 管理者に言われた通りに!」

「了解! 全部フル稼働にしておくよー!」


 自宅から引っ張ってきた荷物も全て積み終えた。

 みんなで作業しているのもあり、積み込み作業も異世界に飛ぶ前準備も順調に進んでいる。

 状況はとても手ぶらでフリー。

 そこで、前々から気になっていたことが浮かび上がる。


「ねぇ、アンの服とシエルの下着なんだけどさ……なんでドスケベなの?」


 なぜドスケベ服とドスケベ下着なのか?

 前々から気になっていたことを、今ここで一緒に作業を終えたアンとシエルに聞いてみた。


「アタシはあの下着の方がいいから。蒸れないし、可愛い」

「ほーん」


 シエルにとってはこれまでのドスケベ下着の数々は実用と見た目の好みの両方がある様子。ドスケベな心はなさげだ。

 じゃあアンはどうか?


「アンは?」

「僕は別に……」


 質問をアンに振ると、顔を逸らされた。

 明らかになんらかの感情を隠している。


「アン、噓は良くないと思うよ?」

「う、噓じゃないよ……?」

「本当? 噓なんじゃなーい?」

「…………」


 問い詰めたら黙った。と思いきや、頬を赤くしたアンが寄ってきて「耳を貸して」と声を小さく告げた。

 私は言われた通りに耳を貸す。


「実は、こういうのが好きなの」

「好き? どういう風に?」

「そのぉ……綺麗で、エッチな女の子になれるのが……好き、なの」

「へぇ……♡」


 間違いない! これはドスケベ!

 私の中のドスケベ判定がアンをドスケベだと判定している!

 シエルが無自覚で結果的なドスケベなのに対して、アンはしっかり自覚してドスケベを身に纏っていた!


「いいこと聞いちゃった」

「言いふらさないでね?」

「もちろん、これは秘密にしておくから♡」


 アンの本性を秘密にしておく。

 まぁ私とアンの後ろでくんくん嗅いでるシエルには全部モロバレだと思うけど。


「アルク、アン、シエル、そろそろ休憩に入って!」


 というところで椿博士が休憩に入るよう、呼び掛けてくる。


「ほんじゃあ、休みに行こっか!」

「003管理者との決着もまだあるしね」

「休んで戦いに備えておこう」


 支度して夜逃げするだけで終わりじゃない。

 003管理者――大鴉装核との決着も付けて、計画完遂してから異世界へ夜逃げする。

 悲劇の種はなるべく残さない。

 最後の戦いに備えて、私たちは休憩へ入る。

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