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▽第54話 海軍拠点奇襲・再会

 002管理者――ヴィクター・アールゼイとかいう腐れ神の殲滅。

 アンと灰色の機械兵士が殲滅しているところに私も加わる。


≪最強格が出てきただと――≫


 二人は強い。攻撃の一手一手が強力で素早く、その強さのおかげで002管理者の行動全てを抑制出来ている。

 圧倒的に戦いやすい。

 アンと灰色の機械兵士の動きに合わせて攻撃していけば、戦いという行為がただの敵の処理に変わる。


「すごい、二人共……!」


 舞うように美しく、機械のように正確無比。

 そうやって次の敵、次の敵と、二人と私でまさに戦場を支配している。


≪俺の獣兵計画が! こんなはずじゃないのに――≫


 002管理者の抵抗は全部無駄に終わる。

 二人に弾が行っても心配の二文字はなく、被弾の一つもない。たったの三人で002管理者の数的有利をねじ伏せることが出来ている。


「制圧――」

≪――完了≫


 全員の息の合った連携。全部の攻撃が噛み合い、全てが上手くいった。

 停泊場に集まっていた約五十体の002管理者は殲滅。撃ち始めてから一分と経たずに終わった。


「アルクさん!」

「アルク! 銃声がしたけど、大丈夫……な……の」


 敵がいなくなった停泊場にシエルと少女と入って来る。

 そしてシエルは言葉を失った。目に涙を浮かべて。


「……アン」

「ただいま、シエラ805……いや、シエル」

「アン! アン!」


 私の前に直地するアン。そのアンにシエルが一直線に向かう。


「おかえり、おかえり! アン!」

「ごめん、待たせたね」


 まさに感動の再会。アンとシエルが抱き合う。

 今カノが元カレに行ったみたいな感覚で少し妬けちゃうけど、邪魔はしない。せっかくの再会なのだから。


≪おい、お前≫

「あ、え、私?」

≪そうだ≫


 呼ばれて振り向くと、威圧的な赤い一つ目と目が合う。

 灰色の機械兵士だ。


≪制圧出来ている内に解放した獣兵の連中を支援艦に乗せろ≫

「お、そうだわ!」


 指摘されて気付く。アンとシエルの感動の再会を見届けている暇はない。


「みんなー! 制圧出来たから早く乗ってー!」


 私は呼び、解放した子たちを引き連れたガイセイたちが停泊場に入って来る。

 これで順調。かと思ったら、灰色の機械兵士に向けられるガイセイたちの目がとても(けわ)しかった。


「んー?」

≪因縁だな≫

「どういうこと?」

≪言葉のままだ≫

「???」


 灰色の機械兵士とガイセイたちは知り合いっぽい。しかも好感度は嫌悪という感じ。

 もしかして昔は敵だった?

 そう思っていると、灰色の機械兵士がガイセイたちに近付く。


≪お前たち、今は目の前のことをやれ。決着はそれからだ≫


 昔は敵だったどころか、この場は味方だけど今も敵みたいなパターンの発言じゃん?


「そうさせてもらう」


 返事を返したガイセイから殺気が出る。バツザンやキョウコ、ホトバからも殺気が出ている。

 アンとシエルの感動の再会から一転、急に殺気立ってきて緊張感が漂ってきた。

 そんな空気感の中、解放した子たちを支援艦に乗せていく。


「あ、そうだ! 管理者!」


 アンとシエルの感動の再会、敵対関係っぽい機械兵士を見ていて忘れていたが、思い出す。

 001管理者を殺されて支援艦を動かせる人間がいなかったんだ。


「誰かー? 支援艦動かせる人いるー?」

「あ、私がやれます」

「え!?」


 聞いてみたら少女が支援艦の操舵を申し出てきた。たまげたなぁ。


「本当に出来るの?」

「出来ます。002管理者に叩き込まれて、私がみんなを運んでいましたから」

「あー……そういう」


 思い出す。

 少女に基地内を案内させた時、支援艦についての質問で顔色を良くしていなかった。

 奴隷にされた獣兵を運ぶ支援艦を操舵、002管理者に加担していたんだから、きっと後ろめたかったんだろう。


「じゃあ、お願い。今度はみんなで逃げ出すために」

「はい!」


 そして今は違う。少女に後ろめたさはなく、前向きで微笑ましい。


「あ、そうだ!」

「はい?」

「名前!」


 毎度恒例の名付けも忘れるところだった。

 呼称が少女とか君じゃダメでしょ。


「君の名前、管理名だけじゃ不便だと思うから私が付けてあげる!」

「名前ですか」


 なにがいいかにゃぁ?

 支援艦を盗むことから連想して、海賊関連が良さげかも。

 よしよし固まってきた。


「じゃあ海賊の黒ひげから取って……黒毛はどう?」

「えぇ……それ、和牛……?」


 少女困惑中。私も自分で言って困惑した。

 これは我ながらネーミングセンスが壊滅的。絶対ダメだ。


「まっ、待って、今のなし。違うのにするから」

「それなら……私、ピラテにします」

「え、ピラテ?」

「海賊を英語で言うとパイレーツ(Pirate)ですから、それをちゃんと英語で読まずにピラテという感じで」

「おぉー、いいねぇ!」


 中々のネーミングセンス。

 脱帽(だつぼう)である。


「よし! ピラテ、これからよろしくね」

「はい! よろしくお願いします!」


 少女の新しい名前が決まった。

 後はみんなで逃げるだけ。


「さぁ盗んだ船で逃げ出しちゃおう!」

「アイサー!」


 計画の最終段階、その第二段階。海軍拠点奇襲は終わった。

 私たちはみんな揃って支援艦に乗り、ピラテの制御によって出航。

 海軍拠点から出た。


≪第二段階が終わったか。これで計画の完遂目前は二度目だな、001管理者≫


 海軍拠点に残る灰色の機械兵士を置いてけぼりに、私たちはピラテを含めた解放した子たちを連れて自分の拠点に戻っていく。


≪今度こそ003管理者の俺を倒してみせろよ≫

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