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▽第51話 海軍拠点奇襲・奪取

「シエル! ガード!」

「アルクの後ろ!」

「おっとぉ、002管理者に従ってないで一緒に来なーい?」


 シエルと共に先行。建物内を進み、敵対する獣兵の無力化と説得を続ける。

 もちろん戦っているのは私とシエルだけじゃない。


「二人を援護しろ!」

「アルク、シエル、大丈夫ですの!?」


 味方からの光弾。ガイセイたちを含めた後続が続々と合流してきて、戦ってくれる。


「こっちはなんとか大丈夫!」

「ここからは合流して進むぞ!」

「了解!」


 合流したと同時にドシンドシンと建物が立て続けに揺れる。


「おっと、機械兵士御一行様のご到着かな」


 振動と音からして軌道降下ポッドで直接突入という感じか。

 中々無茶をやるじゃん?


「正規軍も来やがったな。これで作戦は上手くいくはずだぜ」

「とりあえず獣兵の無力化、確保を継続しつつ前進。まずは支援艦の奪取を優先とする」


 抜山蓋世コンビは告げる。

 しかし無力化、確保した獣兵は既に百人を超えたはず。ここまで大所帯になると移動も負担だと思うけど、このまま前進して大丈夫なのだろうか。


「後続とか確保した子たちは大丈夫?」

「大丈夫だ。動けない連中は力持ちに任せてあるし、動ける連中は001管理者の説得によって統率されている。俺たちは前に向かって前進し続けるだけでいい」


 ガイセイの言う通りか、後続を見る。

 見えるのはガイセイが言った通りの光景。

 五体いる001管理者の内の一体が確保した獣兵たちを率いており、非殺傷モードでの攻撃で動けなくなった獣兵たちは色々な形で運ばれていた。

 本当に大丈夫なようだ。


「言った通りだろう?」

「まんまだったわ」

「行くぞ、善は急げだ」

「オッケー」


 ここからは分隊全員揃った状態で先行。


「通路が狭いな。シエル、盾を構えて俺と並行しろ。他は俺とシエルの後を付いて来い」


 慎重に、そして素早く進み――


「あっち、撃って来ましたわよ!」

「バツザン、ヨワナシ、一気に無力化するよ!」

「了解!」

「やるしかねぇな」


 聞く耳持たずで撃ってくる相手には撃ち返しで応えて無力化。

 そこから更に進んで――


「はーい、こっちこっち! 撃ち合わないで一緒にここを出よっ!」


 こっちの呼び掛けに応じる相手には説得し、確保。

 いずれも後続に引き渡して先に進む。


「あそこ! 停泊場まで後少しですわ!」


 いよいよ五つの支援艦が停泊する場所が見えてきた。

 同時に武器を持った獣兵も見えてくる。


「ここは私が先行する!」


 停泊場はほぼ外でだだっ広い。動き回るには最適な反面、相手はどこからでもこっちを撃ち放題に出来る。味方と行けば味方に被害が出る可能性は大。

 ここはまず私一人で先行。一度相手の目を引き付けるために停泊場に入り込む。


「来たわ!」

「視察に来た奴がたった一人!?」

「都合がいい。私たちが002管理者に殺される前に殺してしまいなさい!」


 攻撃を促す相手の声。


「先行したのは正解だった!」


 人数は百人以上のレベルでかなり多い。前方、左右、頭上の足場、どこに視線を向けても相手の誰かと目が合う。


「撃て!」

「撃ちまくって!」


 そして相手は発砲、光弾の弾幕が迫ってくる。

 人数相応に弾幕の密度は濃い。

 最高難易度と言って良いほどに避けるのが難しい。


「撃ってこないでさぁ! 私たちのところに来なーい?」


 呼び掛けながら全弾避ける。

 光弾と光弾の間の隙間を通り、そこから一気に動いて跳躍。頭上の足場を越えるほどの跳躍で弾幕を誘導していく。

 そこから服を焼かれようが、移動と跳躍を繰り返して弾幕を突破する。


「今だ! 一気に入れ!」


 張り上げた声のガイセイの指示。後続の集団が停泊場に入って来た。

 ナイスタイミングだ。丁度相手の視線はこっちに向いていて、味方は自由に動ける状況になっている。


「制圧開始!」


 味方の攻撃が始まった。


「なっ!? キャアッ!」

「後ろだ!」


 相手からしてみれば不意な出現と意識外からの攻撃。

 上手く攻撃が決まり、相手の獣兵が次々に無力化されていく。


「やられてる!?」

「これ以上無理! 支援艦に籠城した方が――」


 相手が攻撃を止めて、迎撃から撤退に移行しようとしている。

 その時、天井が爆発した。

 なにが起こったのか?

 私は天井を見上げ、爆煙の中から姿を現した銀色の機械兵士たちを目にする。


≪海軍所属の獣兵に告ぐ≫


 落下してくる銀色の機械兵士たち。機械を通した男の声。


≪我々は神人類星間統一連盟軍所属、円卓の騎士隊。今すぐ抵抗をやめ、投降せよ。我々と陸軍所属の獣兵は君たちの味方だ。そして敵は君たちの背後にいる≫


 抵抗をする獣兵に対して機械兵士たちからも攻撃が行われ、味方であることを示すように彼らも非殺傷で獣兵を次々と無力化していく。


「海軍所属のみんなー! 今の聞いたでしょー?」


 私からも呼び掛ける。


「私たちは味方なの! 002管理者は私たちがぶっ倒すから、みんなで一緒にここから逃げようよ!」


 説得する。

 相手の無力化が進む中、こちら側が優勢となった今、今度は武器を置いて両手を上げる獣兵が現れ始めた。

 そんな最初の一人から続々と抵抗をやめる獣兵が増えていく。


「……抵抗をやめます! あなたたちが002管理者を倒してくれるというのなら!」


 この場を指揮していた相手のリーダー格まで抵抗をやめた。

 停泊場の制圧が進む。

 撃ち合いが減り、獣兵たちを次々に確保。それから私が手を出さずとも数分して停泊場を制圧出来た。


「001管理者が支援艦に乗り込むよ!」

「護衛、今行くよ!」

「確保した獣兵たちを連れて来て。支援艦の居住区に乗せられるだけで乗せるから」


 停泊場を制圧した後、001管理者が護衛の分隊と確保した獣兵たちを連れて、五つの支援艦にそれぞれ乗り込んでいく。

 これで支援艦の奪取は終わりかもね。


「アルク! 怪我は!?」

「大丈夫。この通り、ピンピンしてるから!」


 シエルが走り寄ってきて抱きついてくる。


「流石は〝本物〟だな。見事な大立ち回りだった」

「すごかったよ、スーパールーキー! あの弾幕の中で無傷だなんて!」


 そんな可愛さ120%のシエルに続いて、ガイセイたちも走り寄ってきて合流。

 全員無事だ。


「しかしアルク……服が……」

「ほぇ? まぁあれだけの弾幕だったし、服が少し焼けちゃっても――」

「そういうことじゃねぇ。自分の服をよく見てみろよ、アルク」

「ほぇほぇほぇほぇ?」


 服がどうしたって?

 キョウコとバツザンに指摘されて、自分の服を見てみる。


「ほげぇぇぇぇぇっっ!」


 見てみたら焼けていたとか、そういうレベルじゃなかった。

 少し焼けてカッコイイダメージ服を想像していたら実際は肌と下着が丸見えになるほどにボロボロ。

 これはもうお色気アニメの戦闘後と言って良いレベルの状態だった。


「あはは……どうも、セクシーアルクです。キリッ」


 冗談はさておき。

 ここでの戦いはまだ終わらない。


「管理者が支援艦の乗っ取りに成功した!」

「先に二隻離脱させるから、みんな離れていて!」


 張り上げた味方の声。001管理者が支援艦の奪取に成功した様子。

 私たちはその場を離れ、確保した海軍所属の獣兵と味方を乗せた支援艦の発進を眺める。

 民間の艦船の発進でも見たことある挙動――反重力装置によって支援艦は地上から空へと浮き始め、ある程度の高度から推進機関で派手に飛んでいった。


「まずは二隻ですわね」

「だが、俺たちの仕事はまだ終わっていない」

「ここからが本番ですね、ガイセイ教官」


 獣兵たちの解放。

 あの監獄と大差ない劣悪な兵舎に囚われた獣兵を解放する。

 奇襲が始まってからまだ姿を見ていない、あの少女も解放してみせる。


「行こう、みんな! まだ囚われている子を連れ出してあげよう!」


 私たちは停泊場を後にして、監獄同然な兵舎へと向かう。

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