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加藤良介 エッセイ集

二輪車最高!!   事故編

作者: 加藤 良介

 これまで私、加藤良介は、二輪車(以降バイク)の楽しさや、その文化について書いてきましたが、バイク乗りにとって避けては通るとこが、非常に困難な出来事について書かなければなれません。

 それはズバリ「事故」です。

 私といたしましても、できれば見て見ぬ振りしたかったのですが、現実が許してくれませんでした。

 私は先日、仕事からの帰り道で盛大にスッ転びまして、某病院にてただいま絶賛入院中でごぜーます。

 というわけで、今回はバイクで事故るとどうなるかを、ノンフィクション形式でお送りいたしたいと思います。

 最後に私のようにならないための対策なども、考察していきたいと思います。

 それでは、始まり始まり。


 ・事故原因

 

 なんてことのない小さなカーブで、フロントタイヤが滑って転倒。誰も巻き込まない単独事故。

 バイクってフロントタイヤが滑ると、ほぼ成す術がありません。

 私のような下手くそライダーだろうが、ヴァレンティーノ・ロッシのような天才プロライダーだろうが、バイクの構造上、フロントが滑ったらコケるしかありません。

 私以外に被害者がいなかったのが、本当に不幸中の幸いです。

 まぁ、私がこけたせいで小さな事故渋滞が発生したでしょうが、そこは大目に見てほしいです。




 ・滑った理由


 これが不明です。

 何千回と通った通勤路での出来事でしたので、こけた時も「えっ? なんで???」って感じでした。

 フロントタイヤの耐久性に問題があったのか、軽くブレーキをしたときに、フロントタイヤをロックさせてしまったのか。はたまた、アクセルワークが雑になってフロントの荷重が抜けてしまったのか。路面に何か問題があったのか。全く分かりません。それほどまでに唐突でした。


 フロントタイヤは確かにそろそろ交換時期って感じでしたが、スリップサインまでは程遠く、他の溝もしっかりと残っておりました。滑るほど劣化しているようには見えませんでした。

 もしかしたらタイヤのゴムの品質そのものが低下していたのかも。


 私のバイクにはABSが搭載されておりませんので、タイヤのロック説は有力かもしれません。

 ですが私にはブレーキをかけた記憶がありませんし、かけたとしてもロックするほど強く握るシチュエーションではなかったです。


 フロントの荷重抜けも有力説ですが、事故現場は軽い下り坂。荷重は自然とフロントにかかります。これが上り坂だったら、まだ説得力もあるのですが。


 路面状況については、当日は晴れて道もよく乾いておりましたし、大きな油汚れもなかったので、可能性としては一番低いです。




 ・こけた瞬間


 右側に向かって倒れこむように転倒。

 右側部を激しく強打。そのまま数メートルほど、アスファルトの上をズルズルと滑る。ヘルメットがアスファルトでバウンドしたのが分かるレベルの衝撃でした。

 今までこけた中で一番痛かったですね。




 ・動けない


 バイク事故とかで、「動いてはいけません」みたいな教訓がありますが、そんなこと言われるまでもなく動けませんでした。今にして思えば脳震盪を起こしていたせいでしょう。声も出ませんでした。こちらは肺を打ったため。

 片手がどうにか動かせたレベルです。




 ・意識

 

 脳震盪を起こしていたとはいえ、意識は比較的はっきりしていました。

 昔、空中で一回転して地面にたたきつけられた時は、飛んでいる最中と叩きつけられた瞬間は完全に意識が飛びましたが、今回は無意識の瞬間はありませんでした。

 アスファルトが熱っついなぁー。なんて思っとりました。

 この路面温度でフロントが滑る理由が猶の事わからん。




 ・救急車が来るまで


 日本ってのは本当にいい国です。

 救急車を呼び、到着までの間、交通整理をして下さったおじさんがいました。多分複数。

 どなたか存じませんが、誠にありがとうございました。この場にてお礼申し上げます。


 ただ、「一人でこけよった。ハハッ」と、笑ったオヤジ。てめーは許さん。

 まぁ、一人で勝手にこけよったんで、私から返す言葉はございませんが。




 ・救急車


 悲しいかな、一回乗ったことがあったので、特に驚くようなことはなかったです。

 バイタルチェックを受けているうちに病院に運び込まれました。

 ただ、声が出なかったので受け答えはしんどかった。




 ・警察


 単独事故でしたので、あっさりした対応でした。

 私のバッグを持ってきてくれたことについては感謝。




 ・CTスキャン


 白いドーナツの中で体を前後させて、コンピュータ断層撮影をする装置で検査しました。




 ・転院


 診断の結果、その病院の手に負えないことが発覚。すぐさま次の病院へと移送されました。

 その間わずかに、五分ほどだったと思う。

 もう一度、救急車に乗って、今度は地域の救急医療センター的な病院へと向かいました。

 この時になって「あれ。ちょっとヤバい? 」って感じになりました。




 ・検査、検査、検査


 移動式のタンカに乗せられて、色々な検査施設を回りました。

 二種類のCTスキャンに通された気がするけど違いは不明。もしかしたら別の機器なのかも。




 ・検査の結果


 なかなか行っとりましたね。

 まず、右の肺と肝臓から出血。特に肝臓はヤバいらしく死ぬ可能性もあり。

 脳で軽度の出血を疑う所見あり。

 肋骨一本。骨折。

 右足、右腕に裂傷。出血は少なめ。




 ・緊急処置


 肝臓をカテーテルで治療。

 半分手術みたいなもんです。

 これが痛いのなんの。局所麻酔とか受けているのに、うめき声が上がるレベルの痛さでした。


 右側部から胸膜に、血と水を抜くための胸腔ドレイン(チューブ)をぶっさす。

 くっそ痛い。以下同文。

 

 両腕に点滴、採血用のピック。あんまり痛くない。と言いますか、他が痛すぎて気にならん。

 ここに点滴が、多い時には4本ほどぶっ刺さっていました。


 右股間から動脈に対して血圧測定と採血用のカテーテルを装着。

 気持ち悪い感じの痛さ。なぜかお腹が痛かったです。


 肺をやられているので、酸素吸入用のマスク。


 武士の情けで、排せつ用のドレインだけは勘弁してもらいました。

 前に経験があるので、不自由さはわかっておりました。




 ・緊急入院 初日


 初日の夜は、「全日本 痛い痛い耐久選手権」でした。

 意識の7割が「痛い」に支配されて、他のことを考えられません。

 痛みのせいで眠ることもできませんし、病室に時計がないので何時なのかもわかりません。

 たまに看護師さんに時間を尋ねるのですが、びっくりするほど朝が遠い。




 ・二日目


 初日に比べると痛みが和らぐ。痛み止めをガンガン投与してもらっている効果が出てきます。

しかしながら動くとめっちゃ痛いので、ベットの上で2センチ動くのも一大事業です。

 股間の動脈に刺さっているカテーテルと、右胸にぶっ刺さっている胸腔ドレインが痛みの継続ダメージを与えて来よりました。何度も痛み止めを要求して、映画プライベート・ライアンの気分になっちった。


 二日目の夜は「明晰夢 大品評会」

 なにかといいますと、軽く目を閉じると一秒で明晰夢の世界へと向かいます。

 普通の夢とは「色」「大きさ」「造形の複雑さ」において段違いの夢を見ます。この夢を10秒ほど見ると覚醒します。そしてまた目を閉じると・・・以下ループ。

 実に様々な光景と言いますか映像を見ました。

 そしてその全てが初めて見るものばかり、夢なんだから私の脳の保存データから引っ張り出してきた映像の場なのに、「なんの造形だ? 」と、首をひねるものばかりでした。

 一番多かったのが、妖怪みたいな人間みたいな生き物たちの集合体です。必ず集合体でした。単品で出てくる場合はほぼなかった。

 そしてすべてが色鮮やか。不思議なことに音と物語性はなかったです。現代アートみたいな意味不明の画像データの品評会でした。

 どうせなら綺麗な風景や美しい音楽が流れてほしか・・・いや、その方が危ないか。妖怪でいいです。


 時計があったので精神的に楽・・・いや楽、楽かなぁ。比較的には楽かも。

 ただ、まったく針が進まず、知りたくない現実を突きつけられるという、別の苦しみがありました。

 そしてここまでの間、ずうっーと同じ姿勢。おしりと背中が心配になりました。




 ・三日目


 股間に刺さっているカテーテルがとれて一安心。

 お腹が痛いのは解消されました。ここあたりから希望が湧いてきましたね。


 三日目の夜は「エンドレスエイト」

 涼宮ハルヒには及びませんが、同じ夢が何度も何度も何度も繰り返し上映されてうんざり。

 別の夢にするべく、しばらく目を開いているのですが無駄な努力。逃してはくれませんでした。

 苦しい夜は簡単に終わったりしないのよ。




 ・四日目


 三日ぶりの食事。

 お吸い物を最初にいただきましたけど、あれは染みる。五臓六腑に染み渡るでー。

 実は前日から御飯が出る話だったのですが、様子を見るため一日延期。点滴で栄養補給されているのでお腹はすきませんが、それでも悲しかった。

 

 勤め先との連絡。

 日本人の悲しい性。重症の床でもビジネス口調で話してしまいました。

 「お疲れ様です。加藤でございます」・・・あれは、なんなん。

  

 少しずつ眠れるようになる。

 新しい敵、高熱が襲い掛かってきます。いや、とっくの昔に襲い掛かっていたのでしょうけど、痛みの指数が下がったので顕在化。39度から38度台の間で推移。




 ・数日後の今


 病室でカタカタカタカタ「なろう」エッセイを書いている。

 「なろう小説家の加藤良介は重傷を負っても、小説家になろうを離しませんでした」

 これは「町立なろう小学校」で、語り継がれる美談となったことでしょう。


 熱も38度から37度ぐらいにまで下がりました。




 ・事故の結果


 とにかく痛い。

 入院の前半戦は痛みとの戦いでした。

 偉大な近代医療技術のお陰で勝利することができましたが、「昔はこのまま死んだ人も多かったんだろうなぁ」と思いました。

 後は周囲に迷惑を派手に振りまく。




 ・事故に対する対策


 ここで悲しいお話を。

 バイクを乗るうえで、事故は宿命とお考え下さい。

 どんなに注意しても、いく時はいくのがバイクという乗り物です。

 事実、私の知っている人で事故ったことが無い人はいません。程度の差こそあれ何かしら事故ります。

 笑い話で済むものから、済まないものまで。


 ですから対策としては、事故らない対策よりも(これも大事)、事故った場合のリカバリーに意識を向けてください。

 簡単に箇条書きにします。


 ・ヘルメットの値段をケチるな。5万円は出してほしい。

 ・真夏でも長袖の上着に長ズボン。そしてグローブ。

  この三つのアイテムは絶対に必要。半袖半ズボンにノー手袋は基〇外の所業とお考え下さい。

 ・すっぽ抜ける靴はダメよ。


 ここあたりをしっかりとしていれば、仮に事故っても何とかなります。

 私もおかげさまで現段階では後遺症なども無く、順調に回復いたしております。最低限の三つを守っていたからだと確信いたしております。


 因みに事故らないための対策といたしましては、日々の安全確認、タイヤ、ブレーキのチェックなどがあげられますが、それなりにやっていた私がこのざまです。

 もう一度書きますが、人馬一体となって駆け抜けるバイクという乗り物は「いく時は、簡単にいきます」

 そんなものに跨っているのが、ライダーって生き物でございます。

 ある種の覚悟が求められるライフ・スタイルと言えるでしょう。だからこそ、そこに価値を見出す人がいるわけです。




 最後に、迷惑をかけた家族、親戚、友人、勤め先、取引先などの関係各所にお詫び申し上げます。

 100パーセント自己責任の事故でした。

 誠にごめんなさい。


 また、私を助けてくれた通りすがりのおじさん、救急隊員、警察官、二つの病院の医師、看護師の皆々様に厚く御礼申し上げます。

 「小説家になろう」の活動報告にて、お見舞いのお言葉をくださった皆様にも感謝いたします。


 皆々様のおかげ様で何とか生きとります。




              終わり

 最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 

 評価、いいね、などしていただけたら喜びます。

 また、誤字報告もお願いします。なんせただいまの体温が38.7度でございますので、おかしな点がてんこ盛りです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 丸い筒は、多分放り込まれる時間が長く、音がするならMRIですね。
[一言] お大事に。 入院してもネタができた、と考えられるあたり精神的にタフですねぇ。物書きの鑑。 後遺症等々なく早く回復されることを祈ってます。
[良い点] 生きてて良かったです。 [気になる点] プロテクターの使用はされていましたか? 膝下、背骨、肘、肩など。 [一言] 旦那さんもバイク乗りなので、やはり安全は気になります。 お早い回復をお…
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