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デストラクションクインテット  作者: キタリア
青碧のおはなし
7/28

なんだかんだ言っても、結局魔術は夢だな!‼

 ほかにもっと頼りになる本はないのかとあたりを探しては見たが、それらしきものはなかった。

 とりあえず、4ページの役立たずな本に書いてあった【魔力のあげ方】とかいう本を探さなければならない


(またさがすのか…………)


 少なくとも今まで探してきた階層に【魔力のあげ方】なる本は見当たらなかった。これでも記憶力はいい方なのだ。というか、良すぎて気味悪がられることもしばしばあった。

 上へはまだまだ続いているようで天井が見えない。


「絶望だな!」


 もうすっかりおかしくなったテンションで叫ぶ

 すると突然、【役立たず】の文字、それも【魔力のあげ方】と書かれた部分が光りだした。

 なぜか文字に触れたらいいと、触れなきゃこうかいするという感情が()いてきた。

 その感情に従い触れてみると、本がマグネシウムでも燃やしているのかと錯覚するほど光だした。

 反射的に危ないと感じ本を投げ出し、思いっきり目をつぶった。

 、

 、

 、

 、

「目があ、、めがぁ~」


 いくら素早く対処しようとも光の速度は越えられない。

 暗闇に慣れ気味だったこともあり、数分間のたうち回る羽目(はめ)になってしまった。光るなら光るといってほしいものだ。

 少しは回復してきたが、まだ目がショボショボしている。


 ぶん投げた【役立たず】の様子を見てみるとそこには【役立たず】の姿はなく、代わりに【魔力のあげ方】がポツンと置かれていた。


「おぉ!!」(おぉ!!)


 どうやら案内しかできねえ【役立たず】だと思っていた本は、光った文字に触れると触れた文字の本に代わる入門編というよりは総集編に近いもののようだ。


(これは評価を改めないといけないな)


 僕の中の独断と偏見で決めた評価で【役立たず】が【少しは役に立つやつ】に昇格した。

 そんなことはいったん右端にでもおいておき、改めて【魔力のあげ方】を見てみる。大きさはそれなりにあり、まず片手では持てない。最後のページを開き、ページ数を確認してみると1432項と書かれていた。


「うげえ…」


 人生の中でこんなベタな反応をする日が来ると思っていなかったが、ついサラッと口からこぼれてしまった。

 やる気は多少失せたが、読まないわけにもいかない。


「あれ?思ったより読めるぞ?」


 今まで千ページ越えの本など読んだことなどなかったが、5分もかからないうちに五十ページほどを読み終えてしまった。正確には『読んでいる』というよりは『記憶している』の方が正しいだろう。

 僕の自慢の記憶力にかかれば一ページ、一ページを海馬に刻み込むなど造作もないことだ。


「それにPPWだからなのか、どんどん早くなってる」


 今では自分でも本当に読めているのか疑いたくなるスピードだ。

 物の数分で読み終わってしまった。「何ページの何行目の上から何文字目の文字は?」と聞かれても脳内フォルダから探す時間さえくれれば全問正解できるだろう。

 内容もなかなか面白く興味深いものばかりだったため読書に対するモチベが上がってきた。


「もうちょい長いのでも行けそうだな」


 本に集中すると精神崩壊が遅れている気もするので一石二鳥だ。


(それなら、ちょっとガチッてここらの本読み漁ってみっか‼)


 僕はいつの間にか『やりたいこと』を『やらなければならないこと』にしてしまっていたらしい。そのせいで本を探すのに億劫(おっくう)になり精神崩壊を速めていた。


 だが今は違う、魔法の勉強は『やりたいこと』へと変わり、モチベの塊と化している。


 せっかくの異世界準備期間なのだ‟やりたいこと”して生きていこう。

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