もしや地獄か?ここは
本探しを始めてどれほどの時間がたっただろうか。
「ざっと172時間くらいかな?」
めんどくさがりな性格をした自分にしてはかなり集中してやっているほうだ。そもそもこの世界が元の世界と常識が違いすぎるため、前の世界の感覚のままでは、おかしく感じる。
「あ!!」
【魔術入門編】
背表紙にそう書かれた本が、ずらりと並んだ本棚の中途半端な位置にぽつんと置いてあった。
詳しい場所は、47階層の本棚に今まで見たことないほど特徴的な、大きい赤い色をした本の三冊となりの位置だ。
「よかったぁ~あきらめないでさがして…」
何度も何度も、(これ以上探しても…)と思い投げ出しそうにそうになったが、上へ上へと探して正解だった。
(それにしても…)
「どぉおしてこんな中途半端なわかりにくいとこにあるんだよぉぉぉ‼」
どうせ誰も聞いてないので今出せる最大の音量でつっこんだ、何度も何度もこだまが聞こえた。思わず耳を塞いでしまいそうなほど、狭い空間で反響していたこだまは大きな音になった。そして、急にこだまがなくなったときのし~んとした感じがすごく悲しくて思わず涙が出そうになる。
刻一刻と精神崩壊が近づいている
(とりあえず読むか…)
パッとひらいて見ただけでも、下にあった絵本?よりもわかりやすいということが伝わってきた
内容も分かりやすくまとめてあるようで、ページ数は4枚
「ん?」
ページ数は4枚
「は?」
ページ数h
「わかった!もういいから、これ以上続けなくても」
いくらうまくまとめているのかは知らないが、さすがに生まれて初めての魔術を使うための説明書が4ページでまとめられるわけがないということぐらいわかる。
4枚の本にどれだけのことが詰め込めるのか不安しかないがせっかく見つけた入門書なので読むしかない。
肝心の内容は…
魔法を使うために必要なのはまずは魔力です。魔力量は修行次第でいくらでもあげられます。魔力を上げる方法を知りたい人は、【魔力のあげ方】を読んでください。
・魔力が十分にある人は魔力量に応じていろいろな魔法が打てるようになります。詳しく知りたい人は、【今まで作られてきた・最初からあった魔法一覧】を読んでください。
・魔法を極めていくと自分で魔法を作れるようになります。作りたい人は、【魔法作成】を読んでください。
・魔法は、いろいろな使い方ができます。戦い以外の魔法の使い方が知りたい人は、【賢く使おう‼魔法の使い方】を読んでください。
・魔法を使っての戦い方を知りたい人は、【魔法での戦い方】を読んでください。
などが大半だった。
「はあ…」
説明が大雑把になる程度なら、まだ希望があっただろう。
だが、これに関しては説明するというより『案内する』というほうが正しい
「案内書じゃねえか!!」
芸術点のかけらもないツッコミを現状に捧ぐ
「魔力は修行次第でいくらでもあげられます。だ!その修業が何か知りたいから、入門書見とるんやろが!!」
孤独ということだけでもストレスが爆発寸前なのに、やっと見つけたものがこれでは声の大きさと勢いがここにきた時と比べて大きくなる。
「ㇲゥ~~ゔはぁ~」
せっかくの異世界転生という、心躍り胸くすぐられる展開のはずのイベントでなぜか精神が壊れかけている。