絶賛厨二病発病中
「ダジャレか?」
いきなりの衝撃発言に対して生涯で培われたツッコミスキルがギリギリ機能してくれた。
少々理解するのに時間を要し、手を組み次に紡ぐべき言葉を選ぶ。カコが過去からきたとはどの類の冗談なのかレベルが違いすぎる。
「だじゃれではございませんわ、わたくしは正真正銘過去からきましたの。名前がカコなのはたまたまですわ。」
「根拠は?」
あいにくオレには当代のような嘘を嘘と見分ける技術がない。それに、未来からきた未来人ならいざ知らず。過去人とはどういうことなのか、三年前のオレが過去人だとしたら今のオレでさえ過去人と言えなくはないのではないか。
「空白の10万年はご存じですか?」
「空白の10万年」という考え方自体はオレも知っている。超古代文明的なものが実は一度滅んでおり、今栄えている人類の文明は二度目なのかもしれない、というオカルトチックな考え方だ。だがファンタジーを愛す身としてはなかなかにロマンがあって好きな考え方だ。
話の流れでなんとなくではあるが、カコが何を言いたがっているのかを理解する。
「つまり、カコはその時代から来たといいたいんだな。」
「そうですわ!」
生徒会長は絶賛厨二病発病中の患者のようだ。
高校一年生にもなってまだそんなことしているのかと飽きれようとしたがよくよく考えてみればオレも似たようなものだ。
すごくわくわくする設定だ、根拠を求めるなど野暮だっだと理解する。先ほどまでのリフレッシュをかねて乗ってみるのも楽しそうだと感じた。
(厨二病で生徒会長とは、うちのクラスって改めてキャラが濃いというかなんというか…)
「この調子ですと、日が暮れてしまいそうですわ。なのでここからは手短に、今起こっている事をお話しいたしますわよ。」
「ごめんごめん、お願いします。」
「その昔、神様がいたんですの。神様は世界を作り、人間を作った。その際、神は人間をひどく気にいってしまったんですの。そこで人には理性だけではなく神の力を与えてしまった。」
「なるほど?神が人類を作り、最高傑作だとして人類を愛したと、少しありきたりじゃないか?もっとなんか、その神の生まれ変わりがカコ〜みたいな展開はいらないのか?」
「ミライさんって面白いですわね。」
現代でも通じるごく普通の宗教的な考え方ではないか。もっとぶっ飛んだ設定の物語を期待していただけに拍子抜けしてしまう。唯一の変わった点といえば最後の一言ぐらいではないか。
「神が人に神の力を与えた?」
「そうなんですの、そこが今起こっていることにつながってきますの。その神の力は、端的に言って仕舞えば『魔法』ですわ」
「ほう…」
「その生物のイメージ次第でどんなことも出来てしまう悪魔のような力なんですわ、扱えるのは理性を持った神と人間だけ。」
少し面白そうな展開になってきた。
「その力を譲り受けた最初の頃は、人類も食料を生み出したり、意思疎通に使う程度でしたわ。ですが人の数が増えてゆくと、魔法の才能、想像力が豊かなものと豊かでないものの間に差別が生まれていきましたの。」
当然といえば当然だ、今の社会でさえ能力で人生が左右なれるなどザラにある。その、過去の世界とやらもそれが原因で妬み嫉みから殺人そこからさらに発展し戦争が起こることも、世界の歴史から予想できる。
それが原因で空白の10万年の世界が滅んだと言われても納得できる。
魔法という力があれば発展なんかも現代に比べると異次元の速度だったのだろう。
「その頃の世界はまさに混沌と化していましたわ。神も人間が争いをするようになってから姿を現さなくなりましたわ。」
さっきから気になってはいたが、カコはまるでその場を見てきたような顔で話を進める。凄まじい演技力だ。
「そういえば今話してたことって過去の話なんだよな?じゃあなんで今の人間は魔法が使えてないんだ?」
「ある一つの国の国王が、到達しそうになってしまったんですわ。神の領域に。今までは、魔法を使う力である魔力の保有量の関係で神の力を使えても神にはなることができませんでしたわ。しかしそこを才能で補ってしまう人物が現れてしまったんですの。神もそれは都合が悪かった。」
なるほど、空白の10万年の文明は、人類同士の衝突で滅んだのではなく、
「神自身が世界を作り変えたのか。」
PPW 18日目 青碧実家にて
「今思ったんだけどさ、ミライって犬アレルギーだよね?」
「そう…ですね」
「それってオオカミ相手でもアレルギーって発症するのかな?」
「試したことも、試そうと思ったこともないことですね」
「ふーん、そっか」
「ちょ、え?な、何してるんですか!?」
「何って?魔法でオオカミ作っただけだけど、いやーさっきの腹パンのかりそういや返してないな〜って思って」
「ち、ちかい」(イタズラ好きは相変わらず、あぁかわいい、、あ、でも、こんな近いと、くしゃみが……)
「あれ?出ない…」
「おぉ〜!もしや犬アレルギー克服した?それともオオカミだからかな?魔法で作ったからかな?一応、犬も出しとく?」
「やめてください。青碧さんの魔法の完成度だと死にかねませんから。」
「やめとく、それにしてもこの子めっちゃ可愛くない?魔法で作ったからめっちゃ忠実だし、餌もいらない。」
「そうですか?かわいい…?」
「ちょっと撫でてみなよ、フッワフワだよ、噛まないよ?おとなし〜くさせとくから」
「青碧さんがいうなら、、、」
「どう?」
「すごく触り心地がいいです。なんかこのまま寝れそう。確かに、よく見るとかわいいですね。」
「でしょ〜!この子の名前、ケルベロスなんてどうかな?」
「頭ひとつですが、、無難にシロ、とかクロとかでいんじゃないですか?」
「どちらかというとネズミ色じゃない?」
「オレのネーミングセンスではこれが限界です…」
「ミートゥー、名前は後だね、僕たちにはレベルが高すぎる。一旦消しとくね」
「え?」
「出しておいて欲しいの?犬嫌いだったじゃん。」
「膝に乗っけておきたいです…」




