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デストラクションクインテット  作者: キタリア
青碧のおはなし
10/28

この世界って娯楽ないとバカキツくね?

「ここは誰?私はどこ?」


 寝起き(今回の場合は気絶起き?)はいい方なので、起きた瞬間すぐに頭は働いたし、どうしてこうなっているのか自分が誰なのか、ここがどこなのかもしっかりと覚えている。


「だけどこんなセリフを言うベストタイミングなんてそうそう起きやしないだろうからな~」


 気絶から覚めた時に言いたい言葉ランキングベスト一位といっても過言ではないであろう一言を発して目覚めることができた。なかなかにいい目覚めだ


 パッと辺りを見回すと、美しい緑生い茂る景色なんてものは過去の栄光と化していた。


 そこにあったのは、鼻腔を超えて肺にまで入り込んでくる体に悪そうな焦げ臭いにおい。焦土という言葉では生ぬるいほどに黒々とした大地。木だったものは、葉の部分が燃え尽き真っ黒となった木の幹だけがまるで宙を支える柱のようになっている。片足を地獄に突っ込んだような景色だった。


 火は完全に消えているようで、煙一つ上がっていない。空だけはいつもと同じそらだった。

 フッと体に一瞬力を込めて遠心力を巧みに使い、立ち上がった。ついさっきまでは起きるための気力も体力もなかったが辺りを見回すうちに回復していった。


「やっぱどんな世界でも魔力を全部使い切ると倒れちゃうんだな、魔力切れってこんな感覚なのか」


 魔力を使いすぎてぶっ倒れるなんて異世界転生物の十八番である。この世界でも使い切ったら倒れるということを知れただけよかった。これからはあんな大魔法を打つときは気をつけて打とうと心に誓った。


 焦土の土地から少し歩くと今まで通りの緑が生い茂っている大地が見えてきた。

 PPW全体が炎に包まれるなんて言うようなバッドすぎるエンドは回避できたようだ。

 すぐ近くにあった【魔術の修行場】もまったく炎の影響を受けていないようなので一安心だ。


 終わってしまった。唯一のやることが


 使いたかった魔法も使えるようになって、本格的にやることが無くなってしまった…


「普通はここで魔法を極めに極めまくって、俺TEEE展開になる物なんだろうけど…」


 めぇえんどぉおくせえええええ!!!

 死ぬほどめんどくさい。なぜそう思ってしまうのか、理由は至って簡単「極め方がわからない」もっと言うと「極め方を知るために色々と一から研究していく」のがめんどくさい。


 魔術を極める方法は、脳内ブックを読む限り大きく分けて二つあるそうだ。その一つが知識をつける、もう一つが魔力量を高める。


 魔力量は生きている時間に比例して増えていくようで、それ以外の上げ方は見つかっていないそうだ。となると今できることは、知識をつけると言うことしか出来ない。だが、魔術に関する知識は大方脳内にインプットしてしまったため、今更知るようなこともない。それに魔術というのはイメージがしっかりとしていればしているほど精度と威力が上がる。


「超記憶なめんじゃねえぞ」


 あいにく僕は一度見たもの全てを詳細に記憶し、過去の些細なことまで細かく覚えているという超人的な記憶力を持つ人間なので物をイメージすることなどお茶の子さいさい、朝飯前だ。


 あの超火力の魔術を一発目で出すことができたのもそれのおかげだろう。

 とにかく僕の体質と魔術との相性はとてもいい。

 これ以上何をどう極めようとすればいいのか検討もつかない。


「暇だあああ〜〜〜〜〜!!!!」


 これから先はまだまだ長いだろうに序盤でこうなってしまっては先が思いやられる。

 そんなことを薄々分かっていながらも少しでも退屈をしのげれるように、叫びながら走り回る。


 ぐっすりと眠ったため、魔力が無くなったばかりだというのに体力だけはいくらでもある。やることだけがない最悪な事態。緊急事態ともなれば走り出してしまうのは必然ではなかろうか。

 PPWは疲れにくいためいくら走っても走った感が出ないのが難点である。


「はあっ…はあっ…?」


 少しだけ上がった息を整えてからもう一度走ろうとしたとき、視界のはじにとても見覚えのある物を見つけた。

 それは、娯楽の宝庫、ゲームセンターでよく見かける物だった

 それは、今の僕が喉から手が出るほどに欲しい物だった

 それは、大きなディスプレイのすぐ下に、車のハンドルが取り付けられていた

 それは、ただのイスとは違う車についている様なイスが付いていた。その下にはアクセルとブレーキが取り付けられていた。

 それは、レーシングゲームのアーケードゲーム機だった。


 アーケードゲーム機だった


 ゲーム機だった!!


「ラぁッキッーー!!!!!!!!」

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