不幸な一日?
ある中学校で卒業式が行われていた。
閉会の言葉が告げられ長かった中学生生活が終わった。
周りには、泣いてしまっている人やこの後の予定を決めている人など様々な人がいた
三年間お世話になった教室や家庭科室などを見に行こうと、体育館から出ようとしたら
「写真撮りまーす卒業生の皆さんは集まってくださーい」
どこからかそんな声が聞こえてきた
声のした方を見てみると先生方の近くで首からカードを下げている、学校の関係者であろうカメラマンが大きな照明とカメラを持って卒業生を集めていた。そのカメラマンのすぐそばに、3ー4組の27番、当来 現がカメラを構えているのが見えたので、参加は任意のものなのだろう
(流石に、な)
校内を見てまわりたかったが、流石に優先順位はこちらの方が高いだろう。
任意での参加にしては、たくさんの人が集まっている。途中でトラブルがあったのかわからないがすごい悪口の言い合いが聞こえた気がするが野次馬も多くあまり近寄らない方がいい雰囲気が醸し出されていたので関わらないようにする。
「めんどくさそうなことには首を突っ込まない主義なんで、自分」
別特に一人称を「自分」にして誰にも聞こえないような声でつぶやいた。
それに、卒業式でこんなことやるやつは大体予想がつく
そんなことを思いながら同じ学年の問題児である当代の顔を思い浮かべる。
(あいつにかかわるとロクなことが起きないからな…)
そんなふうなことを思いながら歩いていたらいつの間にか目的地に到着していた。
そこで写真を撮るために置かれたであろう台に立った。
「右端の人もう少し左によってください」
早速、集団撮影特有の謎に多い指示が飛んできた。あれ?右に誰もいない…
僕のことを言っているようだ、、、
周りの視点が痛くなる前に急いで指示に従おう
「イタッ」
あ、やべっ
隣の人の足を踏んでしまった。これではせっかく気をつけて視線が集まらないようにテキパキ動いたのに、これでは逆効果ではないか。何をやっているんだ僕は、、、
「ごめっ…」
足を踏んだら謝る。そんな常識ぐらいは身につけていいる。なるはやで謝ろうと目を向けると、足を踏んでしまった女子がカメラに向かって指を刺していた。今は写真に集中しろということだろう。
「上の段の人、下の段の人の間からしっかり顔出して」
すると、またカメラマンから指示が飛んできた。さっき足を踏んでしまった女子に対して言っているようだ。申し訳なさが限界突破して土下座したいくらいだ。僕に足を踏まれたっばっかりに…
「はいっ、みんな〜笑って」
パシャ
写真を撮られた。この感じはあと5・6回は撮るだろう中学校生活三年間の僕の勘が訴えている
パシャ
「はい、ありがとうございました〜」
あれ?いつもはパシャパシャ撮るくせになんなんだ今日は?まあ、いっか
思わぬラッキーだ。その分長く校内見学が出来る。
短いようで長かった三年間。そう思うと色々な記憶が走馬灯のように流れている気がして涙が出てくる。
走馬灯見たことないからよくわかんないし具体的な内容何一つ覚えてないけど…
あくまで〝気がしている″だけだからあまり気にしない
すると周りから、感謝の言葉が聞こえてきた。みんな今までの感謝を先生に伝えているようだ
(僕も挨拶に行こうかな?)
そんなことで2,3分悩んでいたら後ろから僕に向けての声がした
「卒業式も終わったしそろそろ帰る?」
僕のおばさんだ。小さい頃にお母さんを亡くし親戚のおばさんに預けられている、かれこれ13年くらい一緒に住んでいるのでほぼお母さんのようなものだ。
お父さんは研究者であちこち飛び回っているので帰ってくることも少ない、なんなら見かける事すら珍しい。どこで何しているのかもわからない
なんでも異世界についての研究をしているとか…
暴走トラックに轢かれたり、通勤中にナイフで刺されたりしているのだろうか?
とりあえず今考えるべきはこんなことではない。帰るか帰らないか、だ
正直悩ましい
校内なんて見ようと思えばいつでも見れると考えてしまったら一気に帰りたいという気持ちが高まる。
こんな時には脳内会議をすればいい。中学では友達と呼べるような人は少なかったので自然と一人でいることが多くなる。そんな時の暇つぶしを探していた時に「コレダア!」と思ったものだ。
(やってみると意外と時間潰せてたりするんだよな…)
(とりあえず今は帰るか帰らないかだ)
(挨拶、見学はその気になりゃあいくらでも出来るだろ)
(家に帰ってゲームしたいな…挨拶とか正直めんどくさい)
(((確かに、よし帰ろう)))
「うん、帰ろう」
その言葉を聞いたおばさんは、じゃあ先言ってるね、と言い残し駐車場の方へ向かっていった。
僕もその後ろをつけるようにして駐車場に向かう
駐車場に着くと自分の車がわからなくなるほどの量の車が駐車されていた。僕の学校は中高一貫で、今日の卒業式はイレギュラーもイレギュラーで高校と中学の卒業式を同時に行ったため来客人数の量がすごい
駐車場を埋め尽くす量の車が定期的にチカチカしている。僕以外の人も自分の車を探すのに手こずっているようだ。この量の車の中から探すのははただでさえキツイのに、色や形も同じような車が多いので手がかりと言えば、自分の鍵に反応するかどうかだけだ。
僕も一生懸命に自分の車をおばさんと一緒に探す。ところだったがいつの間にかおばさんも消えていた
「あれ?おばさ〜んどこ行ったのー?」
車を探すよりも、まず先におばさんを探したほうが懸命なようだ。
すると、背中の辺りから
ガンッ!!
と鈍すぎる音が聞こえたと同時に背中から脊髄を通って脳まで、激痛を伝える信号が送られた。
その衝撃大きさに耐えかねてうつ伏せになって倒れてしまった。
「脊髄から脳」なんて普段は使わないような単語がパニックで頭に浮かんでくる。
そこから、うつ伏せ状態の体に追い打ちを掛けるようにつま先から頭に向かって身をすりつぶすような重みが登ってくる。
実際、本当にすり潰されているようだ。足の方から感覚がなくなってきている。なんなら痛くない。これがアドレナリンというものなのかと、どうでもいいことしか思考ができない。させてくれない
「あっ、」
生命が糸切れた音がした