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第144話 ラスボス戦 ドロロン#2

 一メートルほどの体で胴体に五つの砲台を携えたドロロン。

 そのラスボスの両手はそれぞれ扇形の刃とハンマーの形となっており、大きさの二メートルほどと極端に大きい。


 その姿こそがドロロンの五十パーセントの力を解放した姿であるという。

 なぜ五十パーセントと刻んだのか疑問であるか。

 そして、そこに突っ込むのが煽りスキルのあるレイモンドだ。


「五十パーセントか、随分とお優しいこって。いいんだぜ? いきなり全開でも。

 どうせ刻んだ所で見せることになるんだからな。

 ......いや、刻んだ方が仮に負けても言い訳が立つもんな?」


 戦闘モードに入ったレイモンドはおもくそ口が悪くなる。

 それは彼女の育ちの関係故なのだが、もともと負けん気が強い人物だ。

 中途半端に力を見せられて舐められてると思い若干キレてるのかもしれない。


「おでが言い訳のために刻むわけないど! この程度で十分だからだど!」


 一方で、レイモンドの言葉を受けたドロロンは煽り耐性ゼロであった。

 そして、ドロロンは怒りを滲ませた表情で言う。


「これからお前達を右手の刃でギッタギタにして、その上で左手でグッチョングッチョンにしてやる!

 今更泣いて誤って許しを得るためにこびへつらったってもう遅い! 覚悟しろ!」


 ドロロンは右手を大きく頭上に掲げ、空中で大きく振り回す。

 その光景はさながらカウボーイが輪っかのあるロープを投げる仕草のよう。


斬裂散々(バラバラン)!」


 ドロロンは右腕を大きく横に薙ぎ払う。

 瞬間、その右手から放たれたのは横幅二十メートル、厚さ二メートルの超斬撃だった。

 その斬撃にはレイモンドも咄嗟に仲間達に声をかける。


「全員、オレの背後に隠れろ!」


 その一声に全員がレイモンドの後ろへ身を寄せ合って退避した。

 直後に襲ってくるのは超斬撃であり、大盾を構えたレイモンドは<タートルシールド>で防御力を底上げしながら堪えていく。


「んぐぐぐぐ......!」


 その一撃は余程重たいのか盾を構えて踏ん張るレイモンドが押されていく。

 それこそ彼女の後ろにいる仲間達が背中を押してアシストする上での話である。


「ンオルラァ!」


 数メートルと押された所でレイモンドは盾を押し出すと同時に上弾いた。

 すると、斬撃は天井を切り裂き、上空へと昇っていく。

 同時に、彼女の体は反動でのけぞってしまった。

 そんな隙に来るのがもう一発の超打撃である。


平打鼓(ぺったんこ)!」


 ドロロンの頭上に伸びた巨大なハンマーが十数メートルと離れた位置から振り下ろされる。

 その一撃は遠心力を伴ってレイモンドを襲った。


「んぐっ!」


 レイモンドは咄嗟に盾を頭上に掲げ、防御態勢に入る。

 直後、盾越しに伝わる衝撃はまるで自身の体重が一気に何十倍にも増幅したかのようだった。

 

「赤色砲!」


 すると、ドロロンは攻撃に耐えるレイモンドに対し、胴体の砲台の一つから火球を撃ち出した。

 そんな狙い撃ちするかのような砲弾を彼女に避ける暇も与えず直撃させる。


「がはっ!」


「レイ姉!」


 ボンッと爆ぜると同時に吹き飛び、壁にめり込むように叩きつけられるレイモンド。

 どうやら先ほどの売り言葉がドロロンから相当のヘイトを買ってしまったらしい。


 されど、彼女の役職は重戦士。つまりはタンクである。

 そして、タンクの仕事は敵に狙いを集中させ、味方を動きやすくすること。

 故に、彼女はダメージを受けたものの状況としては好転した。


「行け、テメェら! 今が狙い時だ!」


 レイモンドの言葉に柄を持つ手をギュッと握ったヒナリータ。

 勇者は覚悟を決めるとゴエモンに声をかける。


「ゴエ兄、行くよ!」


「あぁ、わかった!」


 ヒナリータとゴエモンがドロロンに向かって走り出す。

 その後ろからは魔法主体の攻撃スキルを持つナナシとミュウリンからの援護射撃が放たれた。


「アイスネーク!」


音風(おんぷう)!」


 ナナシが氷でできたヘビを数体作り出し、それをミュウリンがメガホンに大声を出した際に発生した強風で吹き飛ばす。

 そして、そのヘビはヒナリータとゴエモンより先にドロロンへと肉薄させた。


「そんなもの食らうわけないど! 連続砲撃!」


 すると、ドロロンは胴体にある砲台を時計回りに高速回転させ、周囲に飛び散り近づいてくる氷のヘビを砲撃で破壊する。


「グフ、グフフ、こんな小細工意味ないど――あの大猿はどこだど!?」


 全ての氷ヘビを迎撃し上機嫌だったドロロンは、すぐにゴエモンの存在が目の前から消えてることび気づいた。

 左右をキョロキョロ見てもどこにもいない。

 ならばと思い上を見上げれば、剣を突き立て男が降って来る。


「モンキードリル!」


「どこにもドリル要素ないど!」


 男が剣を下に向けてただ落ちて来るだけの技である。

 その攻撃をドロロンは左手のハンマーを盾にして防ぐ。

 すると、目の前からはヒナリータがやってきた。


 ドロロンはすぐさま右手の刃を横に振るって迎撃に出る。

 しかし、ヒナリータにジャンプして躱わされてしまった。

 そして、空中に踊り出た勇者はそのままジャンプ斬り――


「グフフ、バカめ! 自ら逃げ場のない場所に出るなんて! これでも食らえ!」


 ドロロンはゴエモンを弾き飛ばすと同時に、胴体の砲台を回転させ砲弾を連続発射。

 実の所、一発撃つごとに若干のクールタイムが入る砲台であるが、五つの砲台を使えばクールタイムを考えずに放つことが出来るのだ。


 そして、その砲弾はヒナリータにドドドドッと直撃した。

 砲台から放たれる火球、水球、雷球、風球、闇球が間髪なく撃ち込まれていく。

 満足するまで撃ち終えたドロロンは実に上機嫌に笑う。


「グフ、グフフフフ......ゲフッ、ゴホッゴホッ。笑い過ぎてむせてしまったど。

 残念だったな。これでおでに攻撃は出来ない――っ!?」


 空中に広がる黒煙。直撃の証である。

 しかし、その中から球体のバリアを張ったヒナリータが煙を纏って落ちてきた。

 そのバリアは所々壊れており、全てが確実に防げたわけではなさそうだ。

 されど、衰えぬ闘志が勇者をラスボスへと向かわせる。


「スーパースラッシュ!」


 ヒナリータは剣を振り下ろし、ドロロンに直撃する。

 しかし、相手はスライム系の不定形存在であり、剣も当たった箇所からグニョンと凹む。


「グフフ、忘れたか勇者! おでに物理攻撃は効かないことを!」


「なら、効くように当てるだけ」


 至近距離で睨み合う両者。直後、ヒナリータはナナシを呼ぶ。

 そして、「ナナ兄!」という声に反応した勇者の兄はすぐさま魔法を行使した。


「お突き身土貫(ドッカン)!」


「んがっ!?」


 瞬間、ドロロンの真下からは尖った土山が飛び出し、ランスのような先端がラスボスの体を貫く。

 すると、ラスボスの体から赤色の球体が空中に飛び出した。


「あれが核だよ! ヒナちゃん!」


「終わらせる!」


 ヒナリータが土山を足場にして空中にある核を追いかける。


「そうはさせるか!」


 ドロロンが体を動かし、ヒナリータを攻撃するより先に核の奪取を優先した。

 核に向かって体をニョロニョロと縦に伸ばしていくと、勇者よりも先に核へ辿り着く。

 そして、それを口に咥えようとしたその時――一つの大剣が飛んで来る。


―――バチンッ


「ハッ、ざまぁみろ」


 その剣はレイモンドによって投擲された大剣であった。

 飛んできた剣はドロロンの顔を破壊し、通り抜ける。

 当然ながら、それでラスボスの致命傷にはならい。

 彼女がやったのは可愛い妹勇者が移動するための時間である。


「猫美剣」


 核の位置まで辿り着いたヒナリータは剣を引き絞り、狙いを定める。

 瞬間、剣先がキランと輝き、それを核目掛けて突き放った。


「やらせない!」


 核にヒナリータの剣が当たる直前、ドロロンの咄嗟の悪あがきをする。

 その行動が僅かに結果を変えた。

 ラスボスは核に向かって自らの体の一部を弾にして放ったのだ。

 そして、それはヒナリータの剣と同時に直撃し、ジャストヒットを回避。

 結果、ドロロンの心臓である核を破壊するには至らなかった。


「チッ!」


 舌打ちしながら距離を取るヒナリータの一方で、ドロロンはすぐさま攻撃で飛んでいった核を空中でキャッチする。

 そして、そのまま最終形態へと移行した。


「もう怒ったど! 勇者ども! おでの100パーセントの力を見せてやる!

 そして、そのままこの世界を破壊してやるど! 」

読んでくださりありがとうございます(*‘∀‘)

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