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(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。  作者: 水無月 あん
番外編

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挿話 あの後のこと 5 (ダグラス視点)

帰りたくない理由を探るため、ルリからの気持ちの悪い視線に耐えて、答えを待つ。


ルリは私の顔を見ながら嬉しそうに言った。


「こっちの世界の一番いい点はね、……ものすごいイケメンがいること!」


イケメン? なんだそれは?


慣れ親しんだ世界より、こちらの世界がいいと思える決め手になるくらいなら、何か重要な意味を持つ言葉なのだろうか?


「イケメン……とは、どういう意味ですか?」


思わず、聞いてみた。


「え? あ、そっか……。こっちにはないんだね。それは、ダグラスさんみたいな人のことだよ!」


「私?」


ますます意味がわからない。


すると、ルリがねっとりした視線で私の顔をじっと見た。

そして、ため息をつく。


「あー、ほんと、イケメンすぎるよ、ダグラスさん。ずっと見てたいんだけど、その顔」


「顔……?」


「うん、そう! ダグラスさんみたいに顔がいい人をイケメンっていうんだよ」


「はあ……?」


この女にとって、そんなことが今までの全てを捨ててまで、こちらの世界に残る理由になるのか? 

信じられん。正気か……?


と、つい、あきれはてた目で見てしまうが、術にかかっているルリは気持ちの悪い目で私を見ながら、熱に浮かされたように話しを続ける。

 

「ルリねー、日本で階段から突き落されたんだあー。あ、でも、ルリ、なんにも悪くないよ! ルリがもてるから妬まれちゃってて、ひどいよね? で、階段から落ちてる時、さすがにもう死ぬと思ったら……こっちの世界にきてたんだよね。で、その時、ムルダー様を見たの。本当にびっくりしたな……。だって、すごい美形で、マンガで見るような王子様だったから。階段から落とされるなんて、怖い目にあったけど、こんなかっこいい人がいるところに来られるなんて、やっぱり、ルリって神様に愛されてるよねー!」

と、わけのわからない考えを垂れ流すルリ。


それより、階段から突き落された? 

まあ、何をしたかは知らないが、どうせ男関係だろう。


が、なぜ、階段から突き落とされたときに、こちらの世界に紛れ込んだのか……?


「でも、ムルダー様は見た目だけで中身残念すぎたし、王太子じゃなくなるなんて話が違うよね? ルリはなーんにも悪くないのに、ムルダー様に巻き込まれちゃったし。ほんと、ダグラスさんに先に会えば良かった! だって、見た目もムルダー様より美形で大人っぽいし、頭が良さそうだし、権力もあるんだよねー。……ねえ、ダグラスさん。今なら、まだ、間に合うよ? ルリ、ダグラスさんが望んでくれるなら、伯爵様のところにいかずに、ずっとそばにいてもいいいよ……」


ねっとりとした口調でそう言うと、上目遣いに私の顔を見てきたルリ。


は? ずっとそばにいてもいい……? 

冗談じゃない! そんな地獄、お断りだ! 


例え、魔術の実験用として好きに使っていいといわれても嫌だ。

視界にすら入れたくはない。

もちろん、自分の大事な人たちに関わらせたくもない。


「ご遠慮しておきます。伯爵がルリ嬢をお待ちですからね……。それに、伯爵は絵姿より実物のほうが、ずっと素敵ですよ」


「ええ、ほんと!? うれしい! だって、伯爵様の絵姿もすごーいかっこよかったたのに、それ以上だなんて、楽しみー! しかも大金持ちなんだよね? 夢みたい! ……あ、そうだ。ラナお姉ちゃんにも見せてあげたいな! リュウみたいな平凡な人じゃなくて、ルリはこーんな素敵な人にだって愛されてるってことを見せつけたいなあ」


見せつける? ルリの姉に対するその気持ちに腹が立つ。

が、我慢して聞いてみた。


「もし、一旦、あちらの世界に帰って、お姉様に報告して、また、こちらの世界に戻れるとしたら、ルリ嬢は帰りたいですか?」


すると、今までべらべらしゃべっていたルリがなにか迷うように押し黙った。

そして言った。


「それができればそうしたいけど……。うーん……でも、やっぱりいいや……。だって、こっちに帰ってこれなくなったら困るもーん! そんな危険をおかせないよー。それだったら、ラナお姉ちゃんに自慢するのはあきらめる!」


何かがおかしい、そう思った。

今の会話がどうにもひっかかる。


確かに、美形の人間がいるからこちらの世界がいいという浅はかな理由も、術にかかっている以上、ルリの本心に違いない。


だが、今の言葉を聞いて、もっと、ルリにとったら重要な理由がある。

だから、こちらに残ろうとしている。


危険をおかせないと言う言葉を聞けば、こちらに残らざるを得ないとルリが思うような理由があるのかもしれない。

そんな気がしてきた。


ならば、そこらへんを探ってみるとしよう。


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