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(本編完結・番外編更新中)あの時、私は死にました。だからもう私のことは忘れてください。  作者: 水無月 あん
番外編

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ムルダー王太子 21

よろしくお願いします!

「ムルダー、おまえには責任をとってもらう。よく聞け。今から1年半後、王太子をロバートにする。ロバートの15歳の誕生日に発表だ。…ダグラスよ。1年半あれば、ロバートの王太子教育は間に合うんだな?」


ダグラスが、嫣然と微笑んだ。

「ええ、もちろん、十分です。ロンバルディア公爵家が責任をもって、間に合わせます。もともと、万が一を考えて、多少は、うちの父が教えておりました。それになにより、ロバート様は大変優秀ですから問題はありません」


「はあ!? ちょっと、待ってください、父上! ロバートが王太子?! しかも、1年半後って…!」


父上が、鋭い視線をぼくに向けた。


「本当なら、おまえを、今すぐ王太子から降ろしたいところだ。だが、ロバートの準備もある。この1年半で、色々やらねばならんことが山積みだ。ロバートの婚約者を決めて、王太子妃教育も始めないといけないしな」


「でも、ロバートは、体が弱いんですよねっ?! 辺境にひきこもってるじゃないですか!」


すると、ダグラスが、わざとらしいくらい驚いてみせた。


「いつの情報ですか、それ? さすが、お飾りの王太子様になられるだけはある」


「お飾り? どういう意味だ、ダグラス! ぼくにそんな口をきくなんて失礼だろう?!」


「おっと、口が滑りました…。まさか、仮にも王太子だったかたが、こんな基本的な情報すら掴んでなかったとは、信じられなくて…。優秀な婚約者に甘え、どれだけ、のびのびされていたのかと驚いただけです。…ロバート様は健康そのものですよ。確かに、幼少の頃は病気がちでしたが、今は、体を鍛えられ、剣の腕もかなりのものです。今度、勝負でもしてみたら、いかがです?」

そう言って、ククッと笑った。


くそっ、ダグラスめ! ダグラスはぼくが剣を使えないことを知って、ばかにしてるんだな!

王太子なんだから、自分が剣をふるうことなんて、必要ないだろう?!


あ、でも、そうか! ロバートがいなくなればいいんじゃないか? 

そうしたら、ぼくは王太子のまま。そして、いずれは、ぼくが国王だ。


邪魔なロバートを、ルリと一緒に異世界に送れないか…。


「それと、ムルダー。たとえ、ロバートに何かあったとしても、おまえが王太子に戻ることは二度とない。それが、おまえへの処罰だ。そして、もうひとつ。これから1年半。ロバートが王太子になるまでの間、おまえの好きなお飾りとやらをやらせてやる。お飾りの王太子だ。まあ、期間は1年半だけだがな。おまえの最後の役目だ」


「ぼくがお飾り…?!」


「そうだ。おまえは好きなんだろう? お飾りが。そこの女をお飾りの妃にすると言っていたではないか。望み通り、おまえはお飾りの王太子になる。もちろん、王太子の権限などない。いきなり、王太子が変わったとあっては、民が混乱する。王家に対する不信感が広がることは避けたい。だから、1年半をかけ、第二王子のほうが王太子に適していると、市井にひろめていく」


「そんな?! 父上、…いや、母上! ぼくが王太子じゃなくなったら、困るでしょう?! あの女の息子が王太子になるんですよ!!」


が、母上は、冷たい目でぼくを一瞥してから、淡々とした声で言った。


「国王様の決めたことに異存はありません。それに、あなたとは、もう、親子ではないと言ったはずです」


「母上っ! まだ、怒ってるんですか?!」


が、母上は、もう、ぼくを見ようともしない。

親子の縁を切ると言ったのは、もしかして本気だったのか…!?


母上の様子にショックを受けていると、笑みを消したダグラスがぼくに言った。


「あの女の息子とは…、聞き捨てなりませんね。次期王太子のロバート様、お母上の側妃様にも失礼です。今後、そのような言い方をしたときは、私が、それなりの対応をさせていただきます。肝に銘じておいてください」


そう言い放ったダグラスの目に、心底ぞっとした。

清廉なライアンとはまるで違う、まがまがしいものが目の中に見えた気がしたから…。



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