令和の落語化希望します
休日は大体ゲームをして終わる。
据え置き型もアプリゲームも色々とやっている。
その中で、据え置き型の新しいゲームに
ハードがついていけない事案が発生した。
ロード時間が異常に長く、
ストーリー進行に関わるムービーが止まり、
ついには耐えきれなかったのかクラッシュ。
再起動しつつなんとかストーリーはクリアしたが、
さすがに面倒になってしまって
やりこみ要素は諦めることにした。
バージョンが違うとか
容量が足りないとかではない。
今の機種も使い始めてから結構経つし
そろそろ買い替えを検討してみるかと思い、
最新機種について調べてみた。
調べてすぐに出てくるのは、抽選や入荷未定の文字。
今も買うのは難しい状況らしい。
すぐに買える所を見つけても、定価より高い値段。
まあゲーム自体は一応クリアしたし、
ストーリーは楽しめたからいいやと
その日はそれで納得することにした。
後日、友人とゲームをしている最中、
スムーズに遊べないトラブルに見舞われた。
友人は最新の機種を使っている。
いよいよ性能の差が出始めたらしい。
僕は友人に、購入を検討しているものの、
なかなか買えない状況を相談してみた。
すると、最近は結構店頭に並ぶことが多いという。
かくゆう友人も、全く期待してないタイミングで、
たまたま店頭にあるのを見つけてそのまま買ったのだとか。
僕はすぐに街へと繰り出した。
行ける限りの店舗を巡るも、
どこもかしこも「完売/入荷未定」の文字。
むむむむむ。
わかってはいたことだけれど、
やはり昨日今日で買えるものではないか。
若干の不便はあるものの、
今の機種でも楽しめていることに変わりはない。
気長に探すことにしよう。
――そう思った矢先。
会社帰り、別の用事で立ち寄ったお店で、
『緊急入荷!』の文字が躍っていた。
おいまじか。
このタイミングはすごすぎる。
まさに天からの贈り物ではないか。
僕は真っ先に売り場に走った。
すると、ちょうど店員が在庫補充に来た。
押している台車には、かの商品が積まれている。
周囲のお客さんの数と、その在庫の数を確認。
これはさすがに買える。僕は内心でガッツポーズした。
……しかし、売り場の前が不穏だ。
先ほどから、店員さんと何やら話した後に、
残念そうな顔で去って人がいる。
それも1人や2人ではない。
嫌な予感がしつつ、注意書きを読む。
『転売対策のため、以下の条件を満たす方のみに限定します』
まあ昨今の事情だ、仕方ない。
続けて条件を確認する。
『指定のポイントカードで、決められた期間中に買い物履歴のある方のみ』
……嫌な予感は的中した。
僕はそのお店を普段から使用しているが、
提携されている別のポイントカードを使っていたのだ。
ここで使えるポイントカードの種類は多い。
先ほど帰っていったお客さんも、この条件に引っかかってしまったのだろう。
でもまだ諦めてはいけない。
幸い、指定期間中に何度も買い物には来ている。
僕は店員さんに確認をした。
が、やはり認められず。
目の前にその存在を確かめたのに、
手にすることが出来ない悔しさは筆舌に尽くしがたい。
帰り道、僕はまずお店を呪った。
余計な条件つけやがって。
足元見て商売すんなー!
でも、家に帰るころには頭も冷えて、
悪いのはお店ではないと思い直す。
自分のわがままで悪態ついてごめんなさい。
悪いのは、そういう対策をしなければいけない
状況を作った転売ヤーたちですよね。
欲しいと思う人たちの足元を見て、
定価よりも高い値段で売りつけて利益を狙う転売ヤー。
本当に必要としている人が、
適正価格で手に入れられないのが問題。
……ちょっと待て。
転売ヤーのせいで、
欲しい人が適正な価格で手に入れられない。
転売ヤー[対策]で、
欲しい人が購入する権利を手に入れられない
結果同じやないか!
なんだこの状況は!
アメリカンジョークか? ことわざにあるのか?
なんて表現すればいいんだ!?
僕は最新機種が買えなかったことよりも、
自分の表現力のなさが悲しかった。
いつかこの出来事が、
落語のように後世に語り継がれますように。