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星屑の集積場  作者: ふぁぶろ
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安らぎ。故に。

無表情で居るにも関わらず、

なぜかいい人だなと感じられる人がいる。


僕はすごく憧れる。

僕の無表情は、大抵機嫌が悪いと取られるから。



自覚したのは高校生のとき。


授業後に友人に指摘されて、

初めて自分がよくない表情をしていると知った。


何も考えていなかったから驚いた。


友人曰く、目が死んでいるらしい。


そんなことあるかい と思って鏡を見ると、

なるほど確かに死んでいた。

光が入っていなくて真っ黒だ。


試しに眼に力を入れてみる。

光が入って輝いた。


人間ってすげー!

こんなにも変わるものなのか!

これに気づいたあいつもすげー!


それから人の目を見るようになった。

確かに光が入っている人は明るい印象で、

逆に死んでいる人はどこか調子が悪そうに見える。


もちろん全員が全員とは言わないが、

受ける印象はかなり違った。


僕は人体の仕組みに感心すると同時に、

ここまで差が出るものかと恐怖した。



それからは僕も気を付けるようになって、

人とのコミュニケーションが円滑に……


となるのは物語上の人物だけだ。



原因を知り、改善方法も見つけたからといって、

そう簡単に治るものではない。


無表情は何も考えていないときの顔だ。

意識していたらそれはもう無表情ではない。


そう言えば、

表情はその人の生き様や考え方を表す

なんていう説を聞いたことがある。


つまり僕の目は、

いつも何も見ていないことを、

如実に表していたというのか。


……なんて恥ずかしいことを。


僕は普段から何も見ていないことが多い。

どこにもピントが合っていない。


人の目に光が入っているかどうかだって、

高校生になって初めて知ったのだから。


何も考えていないわけじゃない。

むしろ頭も心も大忙しだ。


面白かったドラマを頭の中で再放送してみたり。

好きな小説の一説をなぞってみたり。

難しいゲームの攻略方法を練ってみたり。


自分の世界を満喫している。


子どものときからずっとそうだ。


家族の会話はいつも中心に姉がいて、

僕は振られたときにはいかいいえだけ言えばいい。


何か決めるとき、

例えば外食の際の行き先も、

いつも姉が決めてくれていた。


不満はなかったし、ありがたいなーと思っていた。

僕はその間ずっと、自分のことだけを考えていられた。



そしてそのまま大きくなって。



4人以上で会話をするときは他の人に会話を任せて

ご飯を食べに行くときは何でもいいよを発動。

目的地に向かう時も後ろをついて行く。


流れに身を任せて生きて来たと言いたいが、

周りに甘えて生きてきた結果だろう。


恵まれた環境で

優しい人たちに囲まれて、導かれて、

自分の世界をたくさん旅してきた。


死んだ目のまま生きられることは、

それだけ守ってくれる人がいる。

幸せに生きてこられたという証だ。


僕に限ってはこの死んだ目は

それだけ安心出来る場所にいられる証拠だ。



もちろん人への印象が良いに越したことはない。


今も意識が向いたときには

目に光を入れるよう気を付けてはいる。


けれど、もし意識が及ばなくて

指摘されることがあったなら。


謝罪と一緒に感謝を返してみようかな。



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