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◇二

 シャナは反感を覚える。


 なぜ、あんな奴を魔王様の騎士にしたのだ?


 なぜ、なぜ??


 そんな疑問が頭から離れない。


 魔王様の監視付きだから、下手にいじめることなんてできない。


 でも、邪魔者が増えた──。


「でも、意地悪ぐらいならしてもいいよね♪」


 歌うように言って、シャナはニヤリと笑った。

 自分の力は影。

 これを使おうではないか。


「シャドウ……ラムカのところにいきなさい」


 スーッと彼女の立つ地面から影が伸び始める。


 暗く、黒い禍々しい物体──影が。


「これで、よし♪」


 嫉妬を踏まえた影はラムカに迫る。


ଘ♡ଓ*:゜+。.໒꒱°*。⋈。♡:* +。ః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧ంః◌꙳✧


 その頃、ラムカは部屋でおとなしく寝ていた。


 なぜかというと、何もすることはないからだ。

 剣の稽古は明日から。

 というふうに割り切ったが、眠れなくて。


 あくびをし、寝返りをうつ。


──なぜ、自分は転生したのか


 あのときの屈辱感は思い出したくない。

 ユキの笑顔。

 人を殺めることを恐れていない無邪気な子供のような笑みで。

 銃を向けられた。


 自分がクォーターでなければ、アメリカに行って銃の環境下に置かれることもなかったし、この日本人‼と言われることもないだろう。

 ユキといとこになることも。


 日本にいたときは、美人だと噂をされた。

 少し白がかった肌の色とそれにあう黒髪。

 日本人離れをしているせいか、そう言われていたのだ。


 けれど、いとこたちは違った。

 みんなアメリカ人。

 自分のおじいさんと同じ人種。

 なんで、日本人ていう変な血が紛れたのだ、と疎まれた。

 そして──


「ああ‼」


 思い出したくない。

 思い出したくない。


 ラムカはギュッと目を瞑る。

 やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて、やめて──!


「……!?」


 風の周りが変わった。


 異変を感じ取ったラムカが飛び起きる。

 周りは黒い闇。


「闇……」


 とっさに近くにあった魔王様からもらった剣を構える。

 そして、もう片手で日本刀を腰に差した。


「はっー!」


 かけ声をあげ、一振。

 衝撃波が放たれ、闇は霧散した。

 しかし、今度は背後に闇が忍び寄る。


「っつ……!」


 気配を感じ、くるりと体を回転させる。


 そこには、人の影があった。

 

 よく、地面に映るあの影。

 シャドウ……が。


 当然、これがシャナの仕業だとラムカは気付いていない。

 誰がやったのかと焦りの顔を露わにする。


「でも、いい!切る‼」


 そう叫ぶと再び剣を振り下げた。


 巨大な衝撃波が襲う。


 ──でも。


「危なかった」


 影を近くの壁につけて回避したシャナの姿があった。


「シャナ……!」

「あーあ、分かったのね。困ったもの。あたしだってこんなつもりはなかったんだけどね」


 そう吐き捨て、ラムカを睨む。


「元はあんたのせいよ。王子様を狙いに来たんでしょ?」

「狙う……?は?どういうことっ」

「王子様の心を奪って結婚とかさせたいんじゃないの」

「そんな、嫌らしいことっ‼」

「別に嫌らしくないわ。けど、あんたみたいなどこの馬の骨かわからないやつが近づける相手じゃないの」


 シャナが邪魔なのよ、と言いたげにラムカを見て回す。


「魔王様に騎士として認められたそんぐらいで思い上がってんじゃないわよ‼」

「思い上がってない‼」

「邪魔なのよ、あんたなんか。いきなり私達の騎士に入ってきて!魔王様と王子様と世界だけの予定だったのにっ‼」


 逆鱗状態のシャナ。

 それについていけず、ラムカはうろたえる。


「何の騒ぎ?」


 ガチャッと扉が開けられた。


「新人か……」


 そう入ってきたのは王子だった。

 つまらなそうにラムカを一瞥する。


「……騒ぎを起こすな」


 そう一言いうと、彼は出ていった。

 ほとんど無口である。


「ほら、あんたなんか相手にされてないでしょ?」


 シャナはニヤリと笑う。


「あんたなんか、不釣り合いなのよ」


 なぜか、ラムカの瞳からは雫がこぼれ落ちていた。

ノベリズムでも執筆中‼

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