◇刀
転生系にチャレンジしてみました。
私は大の刀好きな高校生。
女子で好きなんだよ!?
おかしいだろってよく突っ込まれる。
まあ、分からなくはない。
けどさ、もう刀の魅力によせられちゃってんの。
魅力に勝てない……。
っていうわけで刀大の好きです‼
日本刀、西洋刀、青竜刀といろいろあるけれども、絶対日本刀。
形は西洋の方がかっこいいよ。でも実用性は日本刀だ。
こんな御時世に日本刀なんて使わないでしょうけど……。
何が日本刀の魅力かと言うと”鍔”だ。
西洋刀は、鍔が長い、いわゆる長方形をベースにしたような形。
だけど、日本刀の鍔は丸。
その違いに何が?ってくるかもしれない。
形は何度も言うけど、長方形の方が横から見た時かっこいいよ。
でも、戦うときは相手の剣をガードしやすいのは丸い鍔だ。
長方形の鍔は面積が浅いところに剣を振り下ろされたら指が切れちゃうし。
個人の感想だから気にしなくてよろしいけど。
でも、そんな日本刀でも勝てないのがある……。
そう、銃だ。
ダーン ダーン バキューン
いとこのユキの操る銃の銃声が聞こえる。
また、やってるのか。
私の刀好きを知っているユキは銃の方がすごいんだぞ、アピールしてくる。
分かってます、銃は刀に勝てません。
どんなに刀の鍛錬(剣道や古武道)したって、どんなに速く素振りをしても銃には勝てない。
それが痛いほど分かっていた。
「ね、分かった?銃に刀は勝てないの」
ユキがこっちを見て英語で喋る。
「分かってるよ、そんなこと」
「分かってないでしょ‼あんた、なんでクォーターなのに日本刀が好きなわけ‼」
怒鳴ってくる。
うるさいな。
私がクォーターなのはあまり言いたくない事実。
アメリカ人の血が入っているため、今はアメリカにきて、ユキの射撃を見ていたのだ。
「ねえ、なんでずっと刀ばっかいじってんの?日本のダサい刀を」
「ダサくないよ‼かっこいいじゃん」
「は?どこが?ったく、日本人の血なんか入ってるから……」
ユキは純アメリカ人だ。
だから、いつも馬鹿にしてくる……。
「日本人の血が何かいけないの!?」
「銃っていう武器を理解しないバカ黄色人種」
「銃は理解してるよ?だけど、銃社会じゃない平和な国で誇りなの!」
自分の血を馬鹿にされたから、思わず叫んでしまった。
「ふうん……」
ユキが冷たい視線を向けてくる。
嫌な予感がする……ヤバい……冷や汗が私の背中に垂れた。
「平和な国も銃の前では崩れ落ちる……勝負しない?」
「……──」
勝負はしてはいけない。勝てないからだ。
銃の前では刀でも勝てない……絶望的に無理だ。
「やらないの??あんたに刀使ってもいいからさ……どっちがかっこいいか勝負しよ?」
「やめとく」
「あーやっぱ平和ボケの日本人。刀オタク。ほんと、日本腐ってるわ」
「……っく」
日本が腐ってる?
日本が?日本が?
私が言われるならまだいい。
祖国を侮辱するなんて。
「勝負受ける」
私の声ははっきりとユキの耳に届いただろう。
勝てないことぐらい分かってる。
でも、日本をかけて戦おう。
散っても武士の死に様よりは楽なのだから。
「へーやるんだ?バカ」
ふふっとユキが笑う。
邪悪な。
私は刀を持って正眼に構えた。