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極光よ、真直なれ  作者: 風雷
4/12

第三話「竜の翼」(前)

 次の日、堺は健気にも体操着姿で登校してきた。夏だというのに、下はジャージをはいている。


――どうしたの、堺?


 と、声をかける女子は一人もいない。どうやら、何も知らないのは僕だけだったようで己の鈍感を嘆きたくなった。

 僕と京太は放課後まで特に何もせずに過ごした。


「あーあ、つまんね」


 誰の声でもない。クラス内で定期的に飛び交っている言葉だ。昨日、僕らより前に女子トイレにいた連中も、同じような台詞を吐いていたのだろうか。

 じっと、学友たちの雑談に耳を傾けていると、色々な言葉が飛び込んでくる。だが、それらのほとんどが無根拠で、ただの噂で、ただの鬱憤うっぷん晴らしに過ぎない。僕たちは教師を大いに軽蔑するが、自分たちもまた、軽蔑に値するとは考えないのだろうか。

 僕たちは、無根拠だ。何もない。親に養われていることすら根拠にできない。無根拠だ。教師を憎むのも、特定の誰かを嫌悪するのも、そこに大した理由があるのだろうか。僕たちはただ何となく、何となく世間というものに罵詈ばりを浴びせる。

 身の回りのもの全てのせいにすれば、自分がそこにいてもいい理由になるから。




******************************


『とにもかくにも、地べたを這いずり回っている人間を見ると、吐き気がするね。彼らですら、非常に狭い天空エーテルの中にある。自分が神になって、地べたに這いずり回る蟻どもに天罰を食らわすのさ。それも、より高いところから見ると、また同じなのだがね。大事なのは、一点に立って太陽に真向かうことさ。アルフェンティーナ、もう私に名前の意味など訊いてくれるな。私は無根拠だ。ここに天空はないのだよ』


******************************




 放課後、瑞奈はまた堺を呼びにやって来た。


「現場を押さえたほうが早い」


 堺が教室を離れると、僕たちは後を追った。ことの最中に踏み込んで一網打尽にする。計画ではそうだったのだが、こんな日に限って、邪魔は入るものだ。ナ先生に運悪くつかまり、大量の機材を職員室に運ぶハメになった。

 それが終わり、いざ一階女子トイレに向かったのだが、何やら様子がおかしい。僕たちが中を確かめようと近づくと、一人の女子がトイレから出てきたので猛ダッシュで逃げた。


「違う? 今日はここじゃない?」

「探すぞ!」


 僕と京太は校舎中を探しまわった。だというのに、瑞奈たちの目撃証言はない。もう帰ったというのが大半なのだが、下駄箱を見るとそうでもない。

 三十分ほど探し回った後、へとへとになった僕らは、自販機でジュースを買いながら早くも反省会を開きかけていた。

 二人して溜息をついていると、階上からギィィ――といった鈍い音と、誰かの話声が聞こえきた。


「今日はえらく反抗的だったな」

「たまにはそんな日もあるさ」

「酷ぇな、お前。腹に蹴りいれててよく言う」


 僕と京太は無言で目を合わせると、階段を駆け上がった。屋上には鍵がないと立ち入れないはずだが、そんなことを考えている暇はない。


「誰に蹴りを入れたって?」


 屋上に出る扉の前で、僕と京太は三人の男子生徒と顔をあわせた。

 木田と湯山。それに金森もいる。いずれもクラスメートだ。


「おいおい……」


 京太の声に驚きがこめられていたのは、僕たちの予想からかなり外れた面子めんつだったからだ。普段から特に目立つわけでもない。木田に到っては成績で学年上位の優等生だ。


「火乃? それに功刀……い、一体どうしたんだ? こんなところで」


 明らかに上ずった声を出したのは金森だ。小太りな体系はやや愛らしいが、どうにも目つきの悪い男で、別クラスの男子から時々いじめられているのを見る。


「煙草でも吸いに来たのか?」


 僕よりはるかに長身の木田が皮肉気に言う。


――ジィィィ……


 何かと思えば、チャックを上げる音だ。そして僕と京太にとって、それは戦慄に値した。


「おい、木田。何でチャック開いてたんだ? 小便でもしてたのか?」


 京太の声が少し震えている。


「明!」


 僕は頷くと、三人を押しのけて屋上に出る扉を開けようとした。


「ま、待てよ! オイ待て!」


 湯山が僕の肩をつかんだ。


「うぶぉ!」


 影が飛んだ。京太が湯山を殴り飛ばしたのだ。


「何しやがる!」

「明、開けろ!」


 僕は扉を開けた。だが、その先に誰もいない。


「いや、いた!」


 屋上の逆端にある通用口に走って向かう人影が四つあった。二人は髪型でわかる親衛隊。もちろんその前の走るのは瑞奈、そして最後尾を行くのは、堺?


(馬鹿な……なんで逃げる?)


 追わなければならない。彼女が逃げる理由は大体想像つくが、それでも、今が好機なのだ。全てを暴露して、彼女が救われるための唯一の機会なのだ。


「明ィ!」


 京太の叫び声で僕は咄嗟に振り向いた。湯山に体当たりをくらい、僕は壁に激突した。


「いいのか? 火乃ォ! 俺は空手やってるんだぞ!」

「股間のジッパー降ろしてからやる空手なんて聞いたことねぇな!」


 階段では木田と京太が激しく争っていた。金森の姿がない。恐らくとり逃したのだろう。

 僕は殴りかかってくる湯山を必死で避けた。


「何をやっているんだ! バカモノどもが!」


 結構派手に騒いでいたらしく、五分と経たずに教師橘の知るところとなった。




 その後は生活指導室に連行されたのだが、それは何故か僕と京太だけで、木田と金森は職員室に連れて行かれた。

 問答無用といった感じで、教師橘に殴られた。


「自分の人生を蕩尽するだけでは飽き足らず、他人の足まで引っ張るか! 救いようのない餓鬼どもが!」


 どうやら、僕たちは悪役決定らしい。相手に木田がいるからだろうが。


「センセイ、違いますよ。悪いのはあいつらです」


 僕と京太は全てを暴露した。昨日、女子トイレで発見した出来事。そしてつい先頃のことも。

 橘は最初こそ話を聞く風だったが、京太が湯山に殴りかかるところまで来ると、


「ほら、殴った」


 と皮肉気な笑いを浮かべて、僕たちへの糾弾を再開した。


「堺に話を聞いて下さい。それで全部……」


 僕が言葉に詰まったのは、彼女が逃げ去る姿を思い出したからだ。もしかすると、堺はまた沈黙するのではないか。そうなれば、僕らのやったことは徒労に終わってしまう。


「仮にだ。堺へのいじめが本当にあったとしよう。だが、それは本当に瑞奈たちにだけに原因があるのか? 瑞奈たちと何か話したか?」

「それでも、あんなことが許されるとは思いません。学生の頃のセンセイの回りにも、きっといたでしょう? 何故なぜ、加害者をかばうんですか?」


 京太は半ば激昂している。


「いた。確かにいた。救いようのない男が。だが、その男も最悪だった。私も彼を助けたことがあった。だがすぐに後悔したのだよ。誰とも相慣れない人間というのは、確かにいるのだ。放っておけばいいのに、ちょっかいを出すのだ。それをやめればいい」

「……何を言ってるんですか?」


 僕にはとても理解できない話だ。無視しろとでもいうのだろうか。


「今のお前たちに言っても無駄かもしれんが、自分の視野の狭さに気付け。より高いところから物をみることを覚えろ。暴力での解決は、それ以外に方法がないから行われるのだ」


 少し経つと、木田たちに話を聞いていたナ先生が生活指導室に入ってきた。彼女は橘と入れ替わりで僕らの話を聞いた。橘と違って真摯しんしに耳を傾けてはくれたが、やはりにわかには信じられないらしい。


「堺さんに確認してみましょう。でも、暴力に訴えたのには感心しません。私に相談できない理由も、何となく想像できます。それでも、私はもう少し君たちに信用されてもいいと思っているのよ」


 もう二時間も生徒会室に缶詰になっていたせいか、堺は家に帰っているらしい。僕らは職員室に連れて行かれ、ナ先生は僕らの目の前で受話器を持った。


「日野出学園二年F組担任のナと申します。堺密さんはご在宅でしょうか? あ、堺さん? 実は聞きたいことがあって電話したのよ……」


 そこから、ナ先生は堺を傷つけないように慎重に言葉を選びながら、先の出来事について彼女に問うた。だが、僕らの期待した返事は得られなかったようで、受話器を置くと首を振った。

 京太は問答無用で三日間の停学処分となった。僕は、手を出していないという理由だけで、厳重注意に留まった。ナ先生は熱心に僕らを弁護したが、急報を受けて学校を訪れた木田の両親が現れてからは、京太を放校処分にさせないのが限界だったようだ。ナ先生は虐待防止委員会へ話を持っていくつもりだったようだが、どうやら握り潰されたようだ。木田の両親はPTAの会長であるから想像くらいはできる。あの子にしてあの親ありと言ったところだ。

 必死に木田の両親に向かって頭を下げるナ先生を尻目に、橘の吐いた台詞が最悪だった。


「全く、酷い世の中だ。最近の学生は人の足を引っ張ることしか知らん。親から何を教わっているのだろうか?」


 木田の勝ち誇ったような笑みが、殺意に値した。




 この騒動は、僕が家に帰り着く頃には知らされていたらしく、しかし人様の息子を(僕自体は手を出していないにしろ)傷つけた我が子に対する鉄拳による制裁はなかった。


「餓鬼なんだから喧嘩くらいするさ。頼むから親を巻き込むなよ」


 分別があると見えて、ただ無責任な言葉でまとめたのは、勿論クソ親父だ。

 それに比べて、母さんはどうやら非常にショックだったらしい。


「アカちゃんがぁ……アカちゃんがあんなぁ……」

「まーまー、お母様。アカリのことですから、何か事情があるはずです。彼を信じましょう」


 フィーナとは思えぬフォローだったが、僕はただの喧嘩以上の情報を皆に与えるつもりはない。堺の名誉に関わる問題だからだ。事件解決のためならいざ知らず、軽々しく口にはできない。

 部屋に戻ると、すぐにフィーナがドアをノックした。


「入っていいよ」

「お邪魔ぁ」


 小さく手を振る仕草からは微塵も緊張感を感じられない。ただ、この人は雑談をするような雰囲気で物凄く真剣な話をしたりするから、油断がならない。


「今日はどうしたのさ?」

「まあ、ただの喧嘩だよ」

「わかった。瑞奈ちゃんか? いや、堺って子かな?」


 あっている。というか、この件も最初の方は彼女に意見を求めていたことをすっかり忘れていた。


「黙秘するね。これは餓鬼の喧嘩さ」

「そう、じゃあアタシの話をしてもいいかな?」

「どうぞ」

「次の日曜――明後日ね。その日に、キミの力を借りる」

「借りるってまさか……」


 意味することはひとつしかない。フィーナが僕とともにいる理由、それは――


「ガモーネを探す。日曜から月曜にかけて、彼は活動するはずだから、そこで尻尾を掴むわ」

「……わかった」

「忠告するけど、これは子供の喧嘩とは違うよ。もし接敵すればアタシはキミから借り得た<うつろわざる神(トヘーゲモニコン)>を惜しみなく使うわ。下手をすると死ぬ。今のうちに覚悟しときな」

「拒否権は?」

「ない。もう契約はしたから」

「契約というと悪魔みたいだ」

「ふふっ……じゃあ、約束かな? 約束を果たそう」


 ふと、疑問に思うことがあった。フィーナに体を貸すことで、僕は何を得るのだろうかと。だが、考えるだけ無駄だった。走り去る堺を見たときの気分に似ていたからだ。あの時は何かが欲しくてそうしたわけではない。


「ひとつ、訊いていいかな?」

「どうぞどうぞ」

「何故、日曜日なの? 他の曜日じゃダメなの? 平日だと僕は困るからこれでいいんだけど」

「芯世界とのつながりが強くなるのが月曜日なのよ。これは、地球と月とで保持している並行世界に違いがあるからね」


 フィーナの説明によると、月曜日に芯世界の影響が強くなる理由は、単純に向こうからこちらの世界への穴が開いたのがある週の月曜日で、それが七日周期で活性化しているからなのだそうだ。並行世界同士の切れ目は普段から発生するようなものではないが、彼らは地球から最も近い天体である月の保持する平行世界が、地球に比べてが少ないことに着目した。平行世界の少ない月に穴が開くことにより、それよりも多い平行世界を持つ地球には多数の穴が開く。月と地球の平行世界の関係は常に多対一である。つまり、月面着陸した宇宙船は、地球に帰還する際、常に別の平行世界にジャンプする可能性を孕んでいるという。

 地球から見て最も多く平行世界を持つのは地球自体であり、最も少ないのは太陽である。一説に、太陽系で最も多くの平行世界を有する惑星は木星であり、その間隔があまりにも地球とかけ離れているために、少なく見えるのだという。平行世界の多様さは公転周期に比例するという説もあるが、太陽から最も近い水星が木星の次に多くの平行世界を保持していることの説明はできない。一般的な解釈としては、より危険(これは平行世界学用語で発生と消滅の幅を意味する)の大きい天体ほど、多くの平行世界を保持する。木星は、その質量の大きさから、太陽系外から飛来する隕石群と接触する可能性が他の惑星に比べて桁外れに大きい――つまり、危険が大きいのだという。


「全くわからん」

「まあ、とにかく月曜日にここの世界のモノや人々が急激にいなくなるということがわかればいいかな。その準備も含めて、ガモーネは日曜頃から活動しているはずよ。火曜から今日までは全くそんな気配を感じなかったから、多分あってる」

「いいの? そんなに断定しちゃって?」

「いいのよ。だってアタシの方が丸一日動けるかどうかだもの。ヤマを張るしかないの。ガモーネが年中無休でも、必ず動く日曜日の夜に叩いてやればいいわ」

「ああ、そういうことね」


 僕が不安になったのは、フィーナが実に不利な状況にあるように聞こえたからだ。


「向こうの世界に帰って援軍を呼ぶとかは出来ないの?」

「ガモーネに扉を閉じられちゃったから無理ね。この世界のアタシがいれば別だけど……」

「この世界のフィーナ?」

「そう。この世界のアタシ。どこかにいるはずよ。まず見つからないだろうけど」

「見つけるとどうなるの?」

「アタシがこの世界の存在として、<大門ダイモン>に認められる。同時にこの世界のアタシが、芯世界のアタシとしても認められる。二つの世界がつながり、燃料切れを心配しないで済むようになる。アタシたちはこれを<完全存在重複>と呼んでるわ」

「へぇ……」

「まあ、とにかく。日曜に武載駅あたりを調べてみよう。あのあたりに芯世界に通じる<門扉キューブ>があるはずよ」


 僕の頭の中に、あの超常としか言いようのない光景が甦った。二日後、僕は、その中に飛び込む。




 日曜の朝、僕とフィーナは武載駅に向かった。


「あっつぅ……さて、<門扉キューブ>を探すよー」


 フィーナは手を団扇に顔を仰ぎながら言った。今日は真夏日だそうだから、無理もない。


「探すってどうやって?」

「この前、キミが<門扉>を見たときの感覚、周りの時間が遅くなるアレを感じる場所に、並行世界への<門扉キューブ>があるわ」

「めまいと間違えそうだ。熱中症とか」

「帽子くらいはかぶっていきなよ、坊や」

「ところで、その<門扉キューブ>を探してどうするの? この前の駅にあった奴とは違うの?」

「どうするも何も、閉じるんだよ。この前の門はアタシが閉じたけど、もっと大きなのがあるはずよ。大元みたいな奴ね。それを閉じればいい」


 何しろ武載駅の近くというだけで、他には何もわかっていないので、僕とフィーナは手分けしてその門を探すことにした。


「とはいえだ。アタシと違って君は戦士じゃない。だから気負わずにその辺りを遊んで来なさいな。<門扉>を見つけてもすぐに手を出しちゃダメだよ。十七時にここで待ち合わせしよう」




 フィーナは駅から西、日野出学園方向に、僕はその逆に向かった。

 しばらく歩くと、商店街から抜けて小さな公園に出た。


(あー、ちょっと離れすぎたな。戻るか……)


 そう思ったところで、公園の片隅に知った顔を見つけた。


「……堺?」


 ブランコに乗ったまま、何やらボーッとしている堺に、僕は声をかけた。


「よっ」

「えっ……功刀君?」

「邪魔したかな」


 堺は首を振った。何やら表情が晴れない。


「この前はごめんね……功刀君……ごめんね」

「いや、気にしてないよ。それよりも君に迷惑をかけていないか、心配だったんだ」


 また、首を振る。僕はいつも、堺に首を振らせてばかりだ。


「少しさ……」


 堺が僕の顔を見上げてくる。「詳しく聞かせてくれ」と言うつもりだったが、果たしてそれを聴くだけの器が僕にあるのだろうか。僕に、これ以上何かをできるのだろうか。彼女の手をとって、そのまま振りほどくことにはならないだろうか。そんな不安の果てに、僕は次の言葉をひねり出したのだった。


「少し……遊ばない?」


 フィーナがいたら、呆れるか怒るかしただろうか。「遊んで来なさい」と言ったのは彼女の方ではあるが。何、武載駅周辺から離れなければいいのだ。彼女を連れて歩いたところで、特に何も悪いことはないだろう。




 博物館、ゲームセンターと回って、流行のカフェに落ち着いた僕らは、大いに有意義な時間を過ごした。あまり女の子と遊んだ経験がなくてどうすればいいのか迷ったが、堺に訊いても特にお望みのコースはないらしく、考え付く場所に足を運んだ。

 抹茶カフェが好みらしく、堺が唇の周りに緑色のヒゲを作るのを見て、少しは僕の気も晴れた。どうやら、僕と京太のやったことは、彼女を追い込んだりはしていないらしい。


「よかった」

「えっ?」

「本の話してるとき以外にも、そういう風に笑えるんだ」


 堺の左目を隠す前髪が、少しだけ揺らいだ。


「あの……ね。功刀君、聴いてもらってもいい?」


 堺が語りだしたのは、彼女の家庭事情だ。

 武載市の豪族、ヤクザの娘というのはおよそ瑞奈に関する噂だが、堺は本物の考古学者の娘だった。諸々(もろもろ)の事情で以前は父方の実家に住んでいたのだが、つい最近になって両親の元で暮らすようになったらしい。

 堺の父は、ドラマなどでありがちな家庭を顧みない出世願望の強い男ではなく、妻子をよく愛し、よく働く、絵に描いたような良き父親なのだそうだ。母も良妻賢母とまではいかないが、堺の悩みの種になるような人ではないらしい。彼女の話し振りは、家族への誇りに溢れていた。

 だが、両親は優れていても、身内全てがそうというわけでもない。堺の祖父は厳格な人で、父の仕事を軽蔑していた。父と祖父の間には何かと口論が絶えず、堺が両親の元から離れて暮らしていた理由もこのあたりにあったらしい。

 だからこそ、堺は言えなかった。自分の境遇を、誰にも言えなかったのだ。父の無能を祖父に暴露するような気がして、それ以上に、優れた両親から生まれた自分が、このような惨めな目に遭っているなどと、知って欲しくなかったのだ。


「それはおかしい」


 これが、僕の率直な意見だった。


「助けを求めることが悪いわけがない。堺だけでどうしようもないなら、言えばいいじゃないか。むしろ、黙っていたことに、君の両親は怒るだろう」

「……そうね。おかしいね……」

「僕と京太くらいは、少なくとも信じて欲しいな。じゃなきゃ何のために体を張ったのかわからないや」


 違う。嘘だ。僕も京太も、堺に信じて欲しくて木田たちを殴ったわけではない。


「うん……ありがとう……」

(だから! 違う! 礼なんて言って欲しくない!)


 堺が、自分で立ち上がる姿を、僕は見たいだけなのだ。だが、それを上手く言葉にできない。重ねれば重ねるほど、それは嘘になる。だから、僕はもう欺瞞ぎまんを吐くのをやめた。


「堺、何かプレゼントしてやるよ」


 僕は堺の手を引いて立った。


「えっ? 悪いよ……」

「今気付いたけど、これってデートじゃん? だから、何かプレゼントしないとね」


 僕がそういうと、堺の顔は耳の先まで真っ赤になった。




 本の虫といえば何やら可哀想なので、蝶々と表現しておくことにするが、本の蝶々である堺には、以前とは違って別のプレゼントを用意することにした。

 ショッピングモールのアクセサリー用品店は少しばかり値が張るので、路上で屋台を出しているシルバーアクセサリーに手を出すことにした。


「功刀君、お金とか大丈夫?」

「あ、ああ……全然大丈夫だから(三千円くらいまでなら……)」


 堺は普段からこんなものには興味を持たないのだろう。彼女には妖精の絵をあしらった皮アクセサリーなんかが似合いそうだ。


「じゃあ、これ!」


 堺が指差した先には――


(うぇ……マジか……)


 ひと目でわかる髑髏どくろ顔、三日月だろうか、鋭利なものが頭蓋を貫いている。奇妙というか、堺の性格にそぐわないアグレッシブなデザインで、僕は正直面食らってしまった。


「三千二百円になります~」


 堺は笑顔で三日月髑髏のネックレスを首にかけた。


「あっ、あのっ……ありがとぅ……」

「どういたしまして……ところで髑髏好きなの?」

「うん、大好き。家にもいっぱいあるの」


 僕の中での堺像を少し考え直す必要があるらしい。


「ん? おょ……」


 ふと、眩暈めまいを感じた。足元がふらつき、周囲のものがゆっくりに――

 門はそこにあった。巨大な門。二階建てのバスがそのまま入るくらいに巨大な――


(これは……フィーナが言ってた<門扉キューブ>……)


 僕は時計を見た。十六時四十七分になっていた。


(やばい、時間だ)

「ちょっと、大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。それより、もうそろそろいい時間かな。駅まで送っていくよ」

「うん、ありがと」


 ショッピングモール前の道を行き、駅前に出たとき、堺が何気なく僕の手を握ってきた。

 僕は、正直どうすればいいのかわからなかったが、それが堺の望みならと、二人で手を繋いだまま、駅に向かった。




 フィーナは改札口前にいたのだが、何故か京太も一緒だ。大方、京太の方が声をかけたのだろう。


「ハハッ、京太の奴、鼻の下伸ばしてやがる……ん?」


 何故だろう。既視感がある。まるで以前にも同じ光景があったような。


(気のせいか……)


 堺に別れを告げようとすると、堺は何故か顔を青くして、京太とフィーナの二人を見つめていた。


「嘘……」

「えっ……?」


 京太が僕に気付いた。


「おーい! 明ィ! 堺とデートかー?」


 フィーナも僕らに気付いたようだ。だが、彼女もまた僕らの方を見やると、すぐに表情を引き締めた。


「功刀君……あの女の人と知り合い?」

「えっ……ああ、ちょっとワケありで、家に居候いそうろうしてるんだ」


 瞬間、僕の脳裏に、月曜日の朝に見た光景が甦った。

 電車に飛び込む堺。

 突然、ゆっくりになる世界(・・・・・・・・・)

 僕が振り返った時、全ては壊れ去った。僕は、逃げゆく者(・・・・・)を追ったのだ。

 いない。一瞬目を離した隙に、フィーナの姿が消え、次いで堺の姿も消えた。

 雑踏の音、それが徐々に薄くなってゆく。

 気付けば、京太の姿もない。僕は、次第に意識が遠くなり――




******************************


『予言しよう、アウローラ。君には、その死体を担ぐことはできない。君は自分が増やした分だけの死体を踏み越えてゆく。これは、そこら中に溢れているものだ。捨てたまえ、◼️の死体を。捨て置きたまえ。アルフェンティーナの死体を。君は――アウローラ、踏み越えてゆけ。そこら中に溢れているものを背負おうなどとは、愚か者の極みだ』


******************************




(……ハッ)


 目が覚めると同時に、僕は黒い影の中にいた。一対のタイヤ、曲線美が美しいフォルム、瞬時に理解した。僕に向かって凄まじい勢いで飛んでくるのはオートバイだ。


(って、うわぁぁぁ!)


 僕は必死に飛びのいて――いや、体が言うことをきかない。それは勝手に動き、右手に持った剣でもって、オートバイを叩き落とした。


鬱陶うっとうしいぞ! 華棟木!」


 どこかで聞いたような低い男の声。


「アンタの方が百万倍ウゼーわよ、ガモーネ!」


 気付いた。これは、僕の体ではない。僕が今見ているのは、フィーナの視界だ。


(フィーナ?)

「やっと起きたか、おねむさん! でも少し黙っててよね。お守をしながら相手にするのは、ちょっとばかり骨が折れるから!」


 眼前にいる敵はガモーネ。周囲の景色は、おかしい。地面が正面にある。ここは――駅前のショッピングモールの中心に建つオフィスビルだ。どういう理屈なのか、フィーナとガモーネは、ビルの壁に両足をついて対峙している。

 ガモーネの手には指揮杖、そして彼の周りには以前と同じように、指揮杖で叩かれたものが、宙に浮いている。


(どういうことなんだよ! フィーナ、説明しろ!)

「忙しいのに横からガタガタうっさいわね。見ての通りよ。ガモーネと出くわしたから即時会戦。キミの<うつろわざる神(トヘーゲモニコン)>で、アタシは戦っている」

(こんな都会のど真ん中でドンパチかよ?)

「冗談……今更ぁ何言ってんの!」

「誰と話しているんだ? 華棟木!」


 ガモーネが指揮杖を振り上げる。今度は居酒屋の看板だろうか。直径五メートルほどの巨大な板が飛んできた。フィーナが<直剣(カトラス)>で両断すると、残骸がビルのガラス窓に直撃した。当たり前だ。こんな街中で戦い始めて、大惨事にならない方がおかしい。


(フィーナ! やめろ、こんなことをして許されると思ってるのか?)

「いいわけないだろ、アカリ! でも! 他に方法はない! 少しでも被害を抑えたいならアタシに意識を合わせな!」


 誰も、僕たちの姿に気付かない。頭上で大事故が起こっているというのに。


(おかしい……おかしいよ、これ……)


 フィーナはもう、僕との会話に付き合っている余裕はないらしい。彼女が<直剣>を振るうたびに、窓ガラスが割られ、バイクや石壁そのものがビルに突っ込む。

 明らかに、フィーナが有利だ。月曜に見た不調が嘘のようにガモーネを圧倒している。

 ガモーネは先ほどから何度も指揮杖でビルの壁を叩こうとしているのだが、予備動作の時点でフィーナが詰め寄り、宙に浮かせた障害物を投げつけて、やっとのことで身をかわす。

 瓦礫がガモーネに降り注ぐ。


(あれを操られるとまずい……)


 そう思っていると、ガモーネは器用な仕草で瓦礫片を避けた。


(叩かないのか?)


 これらが全てフィーナを襲ったのだとしたら、彼女にとっての脅威となるはずだが。

 徐々に、ガモーネのストックが尽きてきた。


「ガモーネ、アンタじゃアタシに勝てないよ」

「余裕だな、華棟木。これではどうだ?」


 一か八かの賭け。ガモーネは全ての障害物をフィーナに投げつけ、渾身の力を込めて、ビル壁を叩こうとした。


「小賢しい!」


 両刃の<直剣>は、それらを全て叩き落した。


「ガモーネ、謎々よ。アンタは何故、アタシの<直剣>で叩き落せない小さな物――ガラスの破片とか、小石とかをアタシに向けて投げつけないのか? 数が多い方が、アタシには不利だ。いくら大きなものでも、瓦礫やビル壁程度なら、<直剣>で全て叩き落せる。なのにどうしてアンタは同じことを繰り返しているのか? 答えは簡単。アンタにはそれしかできないんだよ!」


 フィーナの分析は、今しがたの僕の疑問に対する答えでもあった。瓦礫の中に埋もれる釘などを無数に飛ばされた場合の方が、獲物が剣である彼女にとっては厳しい状況になる。だが、ガモーネはそれをしない。

 長々と講釈をたれたせいで、その間にガモーネは指揮杖でビル壁を叩いていた。

 コォオン――と、気持ちの良いくらいの金属音。


「潰れろ……」


 崩壊する。夥しい人間とともに、僕らは生き埋めになる。そう思った刹那――


「言ったでしょうが! アンタはアタシに勝てない!」


 フィーナは腰を落として剣を横に寝かせると、足をついたビル壁に水平に薙いだ。

 凄まじい烈音。衝撃で付近の窓ガラスが砕け、ガモーネに向かって凶悪な突風となって打ち付けた。ガモーネは瓦礫を自分の前に集中してそれを避けたが、同時にビルはすんとも動かなくなった。

 よく見ると、粉状になったガラス片が周囲にたちこめている。


「指揮杖が触れたんでしょ? 小さな破片に……」


 フィーナはビルの壁を軽快に駆け、ガモーネの喉元に剣先を突きつけた。


「流石は華棟木家当主。私程度が適う相手ではなかったか……」


 敗北が決定してもなお、ガモーネは平静を崩さない。


「あら、遺言はそれでいいのかな?」


 フィーナは、邪悪なほどににこやかに笑った。


(おかしい……何か、忘れてるような……)


 妙な違和感がある。フィーナは何か大事なことを見落としているのではないか。


夕食ディナーはきちんと取ったよね? お腹を空かして逝ってはダメよ? じゃあ、死になぁ!」


 剣先に力が込められた時、何かが空を切る音と、フィーナの小さなうめきが同時に聞こえた。


「ぅぐっ――!」


 フィーナは剣を横に寝かせて、すんででそれを防いだ。

 長くしなる鞭。いや、これは剣だ。途方もなく長い剣。それが、ビルの向こうの地面から伸びていた。間違いない。僕が初めてフィーナの戦いに巻き込まれた時に見た、あの鞭のような刃物だ。


「これは……やはり<竜の翼(エーテル)>! ということは――」


 一瞬の隙をついて指揮杖で殴りかかってきたガモーネを、フィーナはたやすく避け、腹を蹴り飛ばし、態勢を崩したところに勢いよく斬りつけた。ガモーネの胸から鮮血が頬に飛び散り、生暖かい感触がフィーナを通じて僕に伝わった。


「ぐおぉあ!」

「昔からお前はこすいんだよ、ガモーネ!」


 指揮杖を落としたガモーネがビル壁にはいつくばると、フィーナは――相変わらず壁に垂直に立ちながら――大地に向き直り、叫んだ。


「そこにいたね、ロール! さあ、アタシに向かって来い! 試してやる!」


 地面から無数の帯のような刃――<竜の翼(エーテル)>が伸び、それはいくつもの頭を持つ蛇のようにしなってフィーナを襲った。

 一つ目をけさ斬りで叩き落し、二つ目をなぎ払い、三つ目も同じく払い、四つ目を剣の柄で止める。敵の攻撃を防ぎ終えたフィーナは、遥か先にいる何者かに向かって走り出した。

 刹那――激痛。


(うぁぁぁぁぁぁ!)


 フィーナの視界が一瞬だけかすんだ。それは徐々に速度を落とし、自分の右腹を見やった。


「<竜の翼(エーテル)>」


 ぼそりと呟いたその声は確かに聞き覚えのあるものだった。

 幾本にも分かれた無数の刃、そのうちの一つが、フィーナの右腹を貫いていた。


「あ……れ……」


 ビルの壁を快速で叩いていた足音が、とっ――とっ――と次第に力を失う。

 フィーナは、ついにその場にしゃがみこんでしまった。


(うわぁ! 痛ぇぇ! 痛ぇぇぇぇぇ!)


 僕は、あまりの激痛に、フィーナの脳内で悶絶していた。<存在重複>とは、そうなのだ。彼女が僕にすすめた覚悟とは、恐らくこれなのだ。


「フフ……情けないお姿です。華棟木様……」


 いつの間にか、その人は、僕とフィーナの前に立っていた。

 もう一人の敵、それを視界の隅にとらえた時、僕の中の時間が一瞬止まり、急激に速くなった。


(うぅ……堺……?)


 痛みで意識が飛びそうな中、僕は確かに見た。

 それは確かに堺密だった。他の誰でもない。フィーナがロールと呼びかけたその人は、堺だ。


「げ……ほっ……チカ……どうしてキミが<竜の翼>を……?」


 ビルの壁が真っ赤な血で染まった。内臓を傷つけたのか、フィーナは何度も血を吐いた。


「ロール様から賜ったのです。『これで我が友を殺せ』と」

「そうか、ロールが……うぅ……それでチカ。キミがアタシを殺すの?」

「ええ、華棟木様。私が無事に、深い、深ぁい泉の底へと送り届けて差し上げますわ。ですから、安心して首を差し出して下さいまし」


 チカ。

 チカと言ったのか。僕の前にいるのは、明らかに堺だ。だが、フィーナはまるで仇敵であるかのように、彼女に対して振舞う。


(どういうことだ? 堺が敵? 嘘だ……)

「うるさい! 友が敵なんて珍しいことじゃあないだろ!」


 フィーナの叱声。

 少しだけ、痛みがひいた。するとフィーナは剣を杖に立ち上がり、堺――チカを睨めつけた。


「この首は安くないよ、チカ。来るなら、死ぬ気でかかって来な!」

「ええ、そう致しますわ。では、御覚悟のほどを……」


 チカは、ワンピースの端をつまむと小さくお辞儀をした。すると、スカートがはらりと縦に割け、そのひとつひとつが刃に変わった。これが<竜の翼(エーテル)>の正体だった。

 三度、チカの<竜の翼>がフィーナを襲う。先ほどと同じように、フィーナはその全てを叩き落とすのだが、見えているはずの正面の一本――その一本がどうしてもかわせない。


「ぐぅ!」


 左肩の盾が砕ける。威力も、ただの剣刃に見えるが、物を投げつけるだけのガモーネとは比べようもない。


「死んで下さいまし! 死んで下さいまし! 華棟木様ァ! あはははははっ!」


 無数の刃がフィーナを襲う。その度に彼女の傷が一つ増え、僕は痛みに絶叫する。


(うわぁぁぁぁあ!)

「うるさいよ、坊や! 少しは黙んな! キミが集中してくれないと、上手く<うつろわざる神(トヘーゲモニコン)>を引き出せないんだよ!」


 フィーナの怒号にも似た声は、そのまま彼女の余裕のなさを表してもいた。

 右肩の盾が砕けた。もう、フィーナの身を守るものはない。青いチューブトップに血が染み込む。


(逃げよう! フィーナ、勝てないよ!)


 僕の声など聞こえていないのか、あるいは聞くに値しないと思ったのか、フィーナは正面からチカに突っ込んだ。


(バカッ! 殺される!)


 無謀すぎる。得物の長さからして違う上に、フィーナには敵の攻撃をかわす手段がない。


えろ! 吼えろ吼えろ吼えろォォォォ!」


 フィーナが猛ると、<直剣>が俄かに光を帯びる。


「<真直の頴(カトルトーセイス)>ゥゥ! まっすぐに突き刺せ! 獣のように! まっすぐに喰らいつけェェ!」


 叫びとともに、<直剣>が光を帯びる。僕が初めて彼女と出会ったときに見せた、眩い光。


「甘いわ。遅いわ、華棟木様! あなた、もう死んでましてよ!」


 突然、左右から剣刃。まただ。また、直前まで(・・・・)見えなかった(・・・・・・)

 首と脇腹に鋭い痛み――それでもまだ、フィーナは剣を突き出すのをやめようとしない。


「ごばぁ……! ヂガァァ!」


 吐血。尋常な量ではない。明らかに内臓を損傷している。

 最後の一閃。フィーナが渾身の力こめた一太刀は容易くチカにかわされた。

 ついに力尽きたのか、フィーナはその場に膝をついた。


「あはははっ! 無様ですわ、華棟木様ァ」


 チカは太腿をなぞるように<竜の翼(エーテル)>に触れた。一本の剣刃が意志を持ったようにフィーナの頭上でしなった。


(逃げろ! フィーナ、逃げろ! 死ぬぞ!)


 おかしい。この敵はおかしい。ガモーネとは明らかに違う。そして、現にフィーナは手も足も出せないでいる。ここは一時退いて、態勢を立て直すべきだろう。

 ようやく僕の言葉が耳に届いたのか、フィーナは剣刃が襲い来る前に剣をビルの壁に衝き立てた。


「このアタシが撤退だなんて……」


 瞬時に<直剣(カトラス)>ーーいや、<真直の頴(カトルトーセイス)>が光を帯び、ビルの外壁を破壊した。僕は闇の中に落とされた。


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