プロローグ
今思えば物心ついた時にはもう動物が好きだった。
昆虫も好きだし、魚も好き、生きているものならなんでも見ていて面白かった。彼等は多種多様で飽きなかった。
幼い時には、蟻の観察に夢中だった。彼等は小さいながらも、群れで生き統率が取れていた。
彼等の獲物を巣穴に運ぶ時、自分の何倍もの大きさの獲物を群れで運ぶ姿に痺れたのだ。
彼らの巣穴の近くに餌を置き、巣穴に運ぶ姿をよく観察したのを覚えている。
そして幼いながらこの時には世の中は弱肉強食であり、死んだら他のものの栄養となり地に帰ると漠然とだが自然の成り立ちを感じた。
動物達はとても純粋だ、野生の本能に生きる様は美しく強かでどの生き物もその生命をまっとうするまで戦い続ける。
憧れた。その真っ直ぐな生き方に心底憧れていたんだ。
そして段々と身をもって知った。人類の汚さに。
その満たされることのない欲望のままに富を欲し山を崩し、海を埋め、空気を汚し続け、動植物の生態系を我関せずと壊していく。
我々が知らないだけで無数の動植物が絶滅していっていることに絶望した。
その人類の一員であることがとても嫌だった。
そしてこうも思っていた、この星には人類という種が増えすぎて生物のバランスが保てなくなってきていると。