プロローグ4
今日も二本同日投稿です
扉を開けると、そこに居たのは二人の少年だった。
聡明そうな顔の金髪碧眼の少年と、悪ガキって感じの黒髪黒目の少年。
なんだか正反対の雰囲気を醸し出しているが、収まりがいいようにも感じた。
なにやら話をしていて俺のことには気づいていないらしい。
「僕が大まかに説明するから、君は静かにしていなよ。」
「嫌だよ、俺があの転生者に説明するから。お前は黙ってろよ。」
「君は説明とか下手じゃないか。君に説明される人が可哀想ってものだよ。」
「なんだと。お前だって肝心のことを言い忘れたりーー」
「あの、すいません。お二人が僕のことを待っていると聞いたもので。」
「あっ、もう来たのか。ようこそ神界へ。俺は闇の神だ。そんでこいつが光の神。
お前の転生を管理することになったから、よろしくな。」
「いきなりこんなこと言われても混乱させるだけだろう、君はもう少し順序立てて話をしたらどうだい、闇の神くん。そして、転生者君。これから君が転生するにあたっての必要な説明等を行なっていこう。担当の光の神です、よろしく。まぁ立っているにもなんなので、そちらの椅子におかけください。」
座るように言われた椅子は、かなり細かな細工の施されたものだった。
そもそもこの部屋のものはどれもひとつひとつがかなり高級品だと思われるが、全体としての印象は洗練されていて居心地も悪くなかった。
それから、この二人もまた俺のことを転生者だと言った。
それに転生の管理ってなんだ。転生ってよく見るあれか?異世界転生。
俺死んだっぽいし案外そうなのかもな。
それにしてもこの二人、本当に神か?
子供が一生懸命大人びようとしてるだけにしか見えないけどな。
「では、始めたいと思います。一瀬暁さんあなたの最後の記憶はどうなっていますか。」
「えーっと、車に轢かれて、死んだところ?」
「死んだことを理解されてるのでしたら、話が早くてよかった。
自分の死って理解しにくいんですけどね。
君の死には地球上の神が関わっています。
それ故、神によって定められた規定によって異世界転生措置を取らせていただきます。」
「それってどういう?」
「まぁ簡単に言えば、お前は神側のミスで死んだから、生き返らせてやるけど、もう一回同じ世界に生き返らすのは、今回の場合ルール上ダメだから、異世界つまり俺たちの世界で生まれ変わらせてやるよ、ってことだな。」
今闇の神が言ったことから推測すると、あの時突然あの女の子を助けなきゃっていう使命感に支配されて周りが見えなくなったのは、神の所為ってことか。
俺ってもしかして間接的に神に殺された?マジかよ。
ミスったから異世界転生させてやるって、神ってやつは随分勝手じゃないか。
でも断る理由もないしな。どうせ俺死んでるし。異世界転生結構面白そうだし。
「そういうことでしたか。じゃあ転生の方よろしくお願いします。」
「飲み込みが早くて良かったぜ、お前って見た目によらず賢いんだな。」
「では、早速転生の方始めさせていただきます。
転生者には加護が与えられますので、それを生かしつつ世界の発展の方よろしくお願いします。」
そう言うと二人の少年、もとい光の神と闇の神は両手を挙げて、何か呪文のようなものを呟いてからその手を俺にかざした。
加護ってなんだ?なんか説明短くないか。あと見た目によらずは余計だろ。
そんなことを思った次の瞬間、体が熱くなって、そのまま俺は光の結晶となって弾けて消えた。
「随分と手際よく転生できましたね。案外闇の神君もやるじゃないですか。」
「お前だって結構やるな。落ち着いた雰囲気でてたじゃん。」
そうやって二人は称え合うと部屋から出て行こうとした。が、
「あっ、やべぇ。加護のこととか役割とかちゃんとした説明してなくね。記憶のこととか。」
「えっ、もしかしてやらかしました?
次に彼に会えるのはルールによれば確か二歳になった時の神託でしたよね。結構不味くないですか。
闇の神君、これは君の責任ですよね。そうです。そうに違いありません。」
「お前、また俺のせいにしやがって完全にお前のせいだろうが。
これはやらかしたな。ちゃんと説明しないといけないんだぜ。」
「君の方こそちゃんと指摘するべきだった。やれかしたのは君だよ。」
二人は称え合った一瞬前の出来事が無かったかのようにまた言い争いを始めた。
残念ながら二人は足しても一人前には届かなかったようだ。
次回からやっと第1章が始まります。
0歳から学校に行く7歳までを第1章とする予定です。