プロローグ2
短かったので二話も同時に投稿しました。
光の神と闇の神があれやこれやと相談を始めてから二度目の日の出を見た頃、二人の神の話し合いはずいぶんと前から堂々巡りとなっていた。
「俺が転生者に関与するには加護を与えて魔王にしてやるしかない。強力な力でもって魔族や魔物を支配して世界を混沌に導いてもらおうぜ。」
「いやいや僕の加護で勇者として力を蓄えて、魔を倒し悪を挫き世界に平和をもたらしてもらおう。」
「いやいや魔王の方がかっこいいって。混沌によって世界のバランスを保った方がいいって。勇者なんて所詮誰かの家来だろだせぇよ。」
「闇の神君、君は全然分かってないし、それにさっきからこの繰り返しじゃないか。他の方法を考えようじゃないか。」
「それが思い浮かばねえからさっきから同じことを繰り返してるんじゃねえの。」
「それはそうなんだけども。ともかく、もうすこし考えよう。」
そう二人は勇者と魔王という称号を加護として与えることでしか世界に関われないのだ。しかし勇者と魔王というのは相対する存在である。だからこそ半人前といえども二人の神がこうも長きにわたって話し合いを続けても結論が出ないのであった。
さらに時間が経ち二度目の月も見えた頃、全く終わりそうもない話し合いを続けている二人の元へひとりの女神がやってきた。
「あら光と闇じゃない。創世神様から任された仕事の話をしているのかしら?」
「やぁ愛の神君。その通りさ。転生者の管理方法について話していたんだ。僕たちに何か用があるのかい?」
「ずいぶん長く話し合いをしているようだったから。困ってることがあるなら相談に乗るわよ」
「お前は入ってこなくていいぜ。これは俺たちの仕事だからな。」
「君は黙っていなよ闇の神君。それとも何かいい案があるのかい?ないだろう。なら他の神に意見を聞くのも悪いことじゃないよ。」
「なんだよ、わかったよ。」
「それで何に困っているのかしら。」
「僕は勇者、闇の神君は魔王への関与によってでしか世界に関われないだろう。なのに勇者と魔王は正反対の称号だ。これじゃあ二人で管理をしろっていう創世神様の言いつけを守れないんだよ。何かいい案はないかい?」
「あらそんなことだったの。解決策ならとても簡単よ。二人とも加護をあげればいいじゃないの。勇者で魔王、それでいいじゃない。」
「え?お前何言ってんだよ、魔王ってのは勇者を倒すもんなんだぜ。そんなのできるわけねえじゃん。」
「そんなことないわよ、貴方達少し思い違いをしているようね。勇者だからって正義の味方である必要も、魔王だからって悪逆非道である必要もないわ。加護と称号さえ与えれば神託を下すことも神具を下賜することもできるじゃない。」
「「えーー」」
こうして勇者で魔王という前代未聞の存在が生まれることとなったのであった。
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それから少しして、愛の神は自分の部屋でシャワーを浴びながら考えごとをしていた。
「なんとか二人に揃って転生者の管理を任せることはできたようね。あとは私も加護を与えて、転生者君が誤った道に進みそうになったら神託できるようにしとこうかな。さてどうやって、加護をあげようかしら。それにしても勇者で魔王で転生者か、勢いで言って見たけど結構素敵ね。どんな風をこの世界に入れてくれるのかしら。楽しみだわ。うふふ」
次回からちゃんと主人公出ます。でもまだプロローグ(第0章)は続きます。