第7話 俺の友達
予定通り朝からメノイティオスさんとパトロクロス君がやってきた。
午前中は子供同士で話でもしてろと言われ、俺はパトロクロス君を部屋に呼んでいろいろ話をしようとした。前の人生と合わせて22歳になる俺が今の同年代の子と話が合うかどうか些か不安ではあるが、聞き役に徹すればどうにかなると考えた。
「はじめまして。僕の名前はアキレウス。よろしくね。」
「僕はパトロクロスです。」
「えーっと、パトロクロス君はいくつなの?」
「3歳です。」
「へー、そうなんだ。僕は2歳だからパトロクロス君の方がお兄さんなんだ。」
「、、、、、、、、、、」
「、、、、、、、、、、」
気まずいぞ。こんな無口な子だとは思ってなかった。多分だけど緊張しているみたいだ。
俺と同じで同年代の子と話すのは初めてなのかもしれないな。ここは緊張が解けるまでいろいろと質問してパトロクロス君について知ることから始めるか。好きなものについて話したりすれば一気に緊張も解けるだろう。
「パトロクロス君の住んでいるところはどんなところなの?」
「エギナ島ってところで海が綺麗なところなんだ。」
「海かあ。いいなあ行ったことがないんだ。」
「魚を釣ったり、泳いだりしたらとっても楽しいよ。それから海で食べるご飯はいつもよりも美味しいんだよ。」
「いいなあ。今度父さんに言って連れて行ってもらうよ。その時は遊び方とか教えてね。」
「うん、僕にまかせてよ。」
作戦大成功だ。パトロクロス君もどういうことを話せば良いかわからなかっただけで、
本来はおしゃべりな子なのかもな。
ちゃっかり次に遊ぶ約束まで取り付けた。
はじめての友達GETだぜ、と行ってもいいんじゃないだろうか。
俺はさらにパトロクロス君との仲を深めるべく、情報収集を兼ねてメノイティオスさんについて聞くことにした。
「昨日君のお父さんが僕の父さんと模擬戦をしているのを見せてもらったんだ。
君のお父さんってとっても強いんだね。」
「そうだよ。僕のお父さんはとっても強いんだ。それに島じゃ一番偉い人なんだ。えいゆーさまなんだって。いつかはお父さんみたいになりたいんだ。」
え?また英雄。そんな英雄ってポンポンいるものなの?
でもあの二人の強さなら納得か。英雄なら知り合いに英雄がいたって不思議じゃない。
その辺りは後で本人達に聞くか。
その後も俺は新たな友達といろいろな話をした。将来強くなった自分やまだ見ぬ世界に想像を膨らませて、いつかは一緒に世界を救う旅に出るという約束をした。
なんだか俺はそれが子供の夢物語には思えなかった。