妹
「お前の処刑は2時間後だ。広場で行われる」
「待てよ!窃盗と、たかが娘っ子の乳揉んだだけで死刑!?」
「あと無許可で街に入ったこともだ。この街の領主は大変厳しい。軽犯罪でも三つ重ねば死刑だ。諦めろ」
「待てって!おい!」
牢屋の前の椅子に座り、それきり無視する牢屋番。
どうする。あと2時間。
あ、そうだ時間止め使えるようになってるか?
「時間よとまれぇ!」
「うるせぇぞ!止まる訳ねぇだろ!」
鉄格子をぶったたかれた。
まだだめか。てか本当に一回きりしか使えなかった可能性もある。
鑑定眼は?
名前:ショウタ
年齢:10
職業:なし
Lv:1
HP:3/10
MP:10/11
【スキル】
鑑定眼Lv10、時間魔法Lv?
【情報】
転生者。変態。あと2時後に死刑。ウケる。
MPは回復してる。HPは、アバラ折れたままだからか、回復してないな。
どうする。
あの牢屋番のステータスは?
名前:ローバー
年齢:32
職業:牢屋番
Lv:14
HP:198/198
MP:67/67
【スキル】
剣術Lv2 棒術Lv2
【情報】
獣人とのハーフだが、この国では亜人は差別の対象であるため隠している。
俺より何倍も強そうだ。
ん?待てよ?
「おい牢屋番」
「……」
無視する牢屋番。
「正体を隠すのって大変そうだなぁ?」
「!!」
ガタッと立ち上がる牢屋番。
「バレたら大変なことになるもんなぁ?」
「お前、なぜそれを」
「さぁ〜?」
さぁ鑑定眼、本領発揮しろ。
名前:ローバー
年齢:32
職業:牢屋番
Lv:14
HP:198/198
MP:67/67
【スキル】
剣術Lv2 棒術Lv2
【情報】
獣人とのハーフだが、この国では亜人は差別の対象であるため隠している。実家に仕送りをするために、激務だが稼ぎのいい牢屋番に就職した。
詳しい情報が出た。
「実家に仕送りかぁ……泣けるねぇ〜?」
「おい!お前何者なんだ!」
「危険を犯してまで稼がなくちゃいけない理由があるのか〜?どうなんだよ〜?」
自然と口調が悪役のようになる。
背筋がぞくぞくする。
真面目な前世では感じることのできなかった快感。
さらに鑑定眼を使う。
名前:ローバー
年齢:32
職業:牢屋番
Lv:14
HP:198/198
MP:67/67
【スキル】
剣術Lv2 棒術Lv2
【情報】
獣人とのハーフだが、この国では亜人は差別の対象であるため隠している。実家に仕送りをするために、激務だが稼ぎのいい牢屋番に就職した。実は妹が奴隷としてこの街で働いている。買い戻して自由にするために貯金中。妹もハーフであることは隠している。
「妹さんの正体ももちろん知ってるぞ〜?」
「なぜ!?くそ、こうなったら!」
「おっと殺さない方がいいよぉ〜?そしたら俺の組織が黙っちゃいない」
「組織?」
「なんでこんなこと知ってるか謎だろぉ〜?俺はさぁ、ある反亜人団体の構成員なのよ。だからこの国で隠れてる亜人について調査してるってわけ。実はもうあんたの情報は組織に渡してる。近々あんたら兄妹は捕まるのだろうなぁ〜?」
嘘の設定がスラスラ出てくる。
詐欺師なんて最高に憧れてたからな。イメトレはバッチリだ。
「この外道!」
最高の褒め言葉。俺のテンションは上がっていく。
「けど、あんたが俺に協力するってんなら、組織に情報は間違いでしたって言ってやってもいい」
「……!?」
異常者よろしく、鉄格子を舌でべろっと舐め上げる俺。やってみたかったのよこういうの。
「妹さんが大事なんだよなぁ〜?いでっ」
調子こいて鉄格子をベロベロやってたら引っ掛けて舌が切れた。クソが。
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