Heven and sprout!
俺とアノンは浴場に到着。そこは結構キレイで、中に入ると、丸い椅子がいくつかと、浴場の管理人のおじさんがいた。おじさんの左が男湯、右が女湯だ。
「はい、二人分ね。じゃあ、ゆっくり疲れを取ってくれ」
そして俺はアノンと浴場へ向かう。だがそこでこう思ったのだ。
俺中性だけど、どっち湯に入ろうか?
まぁ、確かに?俺は前世男だし?て言うか今も心はそうだし?
でもでも?見た目女の子だし?男湯にいたら…ね?
「どうしたの、ノイくん?早くおいでー」
女湯に来いというアノンさん。
「でも、ボクどっちに入ったらいいか…」
「中性だったらどっちでもいいんじゃない?」
なるほど。よし、女湯に行くか。いいよね?うん、いいよきっと。
暖簾をくぐると、そこは天国だった。いや、天国ではなく脱衣場だった。棚がいくつもあって、そこに女性が点々と。今脱衣中の人もいれば、さっぱりし終え、タオルを取る人もいる。つまりぜんr
そして、落ちたら落下死しそうなほど深い谷を持っている人と地平線の彼方も見えそうなの平らさを誇っている人を見比べて、やっぱり違うんだなーと思う。まぁ、俺は選り好みはしないが。
こういう考え事を無表情でできる。この体になってから。
アノンと俺も脱ぎ始める。
「へぇー、ノイくんってほんとに何も無いんだ」
「はい、なんにも無いです」
そう、俺はなんにも。
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「「はぁ~…」」
声を揃えて一息。いい湯だ。
「ねぇねぇノイくん」
「何でしょうか?」
「ノイくんはさ、何かすごい力とか持ってるの?」
え、なんで?やっぱ中性とか怪しかったか?
「どうしてそう思ったんです?」
「だってそれじゃあトイレとかできないじゃん。何か力を使ってるんじゃないの?」
ああ、そう言うことね。うーん、話してもいっか。仲もよくなったし。
俺は身体変化能力のことを打ち明けた。
「ほら、やっぱり。でも、それならもともとは中性じゃなかったってことでしょ?」
え、あ、何かやばい。鋭いな。教えたのはまずかったか?
「…もしかして、男の子…?」
ですよねはいはい。わかりましたじゃあもうぶっちゃけますよ。
「なんか騙してて申し訳ないです…」
「う、うぅん、いいよ…今は中性…なんだし…///」
アノンの顔が真っ赤なのは、もちろんのぼせただけじゃない。ほんとごめんね。
「これからは男湯に行きますので…」
美少女が男湯行くとか言って謝ってる。なにこれフクザツ。だが。
「いや、こっちでいいよ。今は男の子じゃないんだから。それに、ノイくんがいないと寂しいしね…」
アノンは苦笑気味にそう言う。なんか今、すごく守ってあげたい。
「あ、それと男の子ならもう1つ聞きたいんだけど…」
「その…」
少し抵抗がある様子なのでちょっと後押し。
「何でもいいですよ」
「わかった。じゃあ言うね」
「私って男の子からどんな風に見えてるの?」
あぁ、そういえば。
今まで中性視点だったからか、そう言う目でアノンを見てなかった。なんか意識すると変な感じ。
「男の人に絡まれたのってあれが初めてじゃなくて。捕まる度に気になってたんだ」
かわいそうなんですけど。とりあえず正直に、と。
「これはボクの意見ですが、アノンは顔はとっても可愛らしくて、体も綺麗で、素敵ですよ」
「…そう…なんだ…////」
さっきよりも赤くなる顔を見て、こっちまで…あれ、なんともならない。この体だからかな?気持ちが表に出ないって便利。
「ふふっ。また誰か寄って来たときはボクに任せてくださいね」
「うん、ありがと」
アノンは優しく微笑む。あって1日経たないうちに結構進んだなー。とここで話題を変える。
「そうだ。明日、冒険者ギルドに行きたいです」
「…あ、うん、そうね。明日も頑張ろー!」
周りからは、女の子同士がイチャイチャしてるようにしか見えない俺達だった。