Guide the city!
さっき知ったけど、ここレノ王国って言うんだな。
そろそろ日も暮れてきた。
俺はあの後色々説明して。
『ねぇ、あなたここに来たばっかりなら、案内するわよ』
というわけでアノンと共に町を歩いている。もちろん服は着ている。案内って言っても、もう一人で探索したしな…まぁ、知らないこともまだあるし、そうだ、冒険者ギルドのことについて後で聞いてみるか。
「そう言えば、あなたってどこから来たの?」
艶やかなバーントシェナーの髪を後ろの方で括っている少女―アノンは、俺の最も答えづらいことを聞いてくる。
「えっとボクは…転生して、気づいたらここにいました」
って何答えてんだよバカヤロッッ!そう思ったが―
「へぇー、そうなんだ」
あれ?以外と軽い?じゃあこの世界って
「転生する人って多いんですか?」
「いや、多いどころか転生者なんてあなたが初めてよ?」
「うん、そうだよ?」って言うときみたいな平然とした顔で初めてだと言ってくる。んー、そんなもんなんだろうか?
「さ、着いたわ」
「おー」
なんかおっきい酒場みたいな所に来た。というか酒場だ。
「ここで夜ご飯食べましょ」
確かに、さっき食べた筈なのにもうお腹が空いている。うん、食べるか夜ご飯。
俺とアノンは酒場に入る。
そこは、めっちゃ酒場酒場していた…!
酒樽が置いてあったり、木製のテーブルに、冒険者ですっ! て感じの四人組が座り、ジョッキで乾杯していたり、それはもう賑わっていた。やっぱ異世界ってすげー!
「おや、アノン。お友達かい?」
いかにもな酒場のおばちゃんがアノンに話かけてくる。知り合いなのか。
「うん、私が困っていたところを助けて貰ったの。」
「初めまして、ノイです」
酒場のおばちゃんは、あっはっは! と笑って。
「こんなおチビちゃんがかい?そりゃどうも。私ゃイリダさ。この酒場をやってて、その子の母親だよ」
あらまぁアノンさんのお母さんでいらっしゃいますか。うん、元気があるところは…まぁ似てるかな。
「それじゃあたーんとご馳走してあげるから、好きなものを頼んどくれ」
「はい、ありがとうございます!」
俺達は座って食事を頼む。
「ぅうぇ~」
「がっはっは!」
「ぺぺぺぺぺぺぺ…」
…隣うるさいな。
だが今日の夜ご飯が出てくるとすぐに機嫌をなおす。人参パン、それと玉ねぎやジャガイモの入った野菜スープ。さらに美味しそうなベーコン。と、それに巻かれているアスパラガス。
俺はどちらかというとベジタリアンなのだ。お肉も好きだけど。
一方のアノンはというと。
分厚いステーキ肉にチキンの丸焼き、ハムを丸ごと1つ。もはや主食すらないそれに栄養面での心配すらしそうだ。
「「いただきまーす♪」」
そこそこあったはずのご馳走は、わずか5分程で跡形もなく消えた。いやー、ほんとに美味しかった。明日もここに来よう。
「二人共よく食べたねぇ。今日はアノンを助けてくれたお礼だ。お代はタダでいいよ」
少しは遠慮したが(ほんの少しだけ)、最後はお言葉に甘えてタダにしてもらった。ラッキー。
「あはは、美味しかったですね♪」
「でしょ!お母さんの店は世界一なんだから!」
アノンが自慢気にそう言う。
それから、あ、そうだ、と尋ねてくる。
「あなたのこと、名前で呼びたいんだけどさ」
「はい、ボクは大丈夫ですよ?」
「そっか。じゃあ」
「ノイくんか、ノイちゃん、どっちで呼べばいいかな?」
なるほど、性別教えんかいと。
「ほら、見た目は女の子っぽいけど、ボクって言うから」
うーん、どうする。男か。女か。よし、決めたぞ。
「ボクは中性なのでどちらでも大丈夫ですよ」
俺何言ってんだぁぁぁ!
「え、じゃあノイくんにはどっちも無いの?」
あんたも何言ってんだぁぁぁ!てか『くん』になったのね。
「ま、まぁそうですね」
「ふぅん、そうなんだ」
相変わらず反応薄いなー。
「さて、じゃあノイくん、ご飯の次はお風呂ね」
ということでお風呂に行くことになった。