Point of view!
私はアノン。
突然だけど、実はみんなに黙っていることが2つあるの。
まず一つ目は、私が森魔種だということ。まぁ、正確にはハーフエルフなんだけどね。だから耳は長くないけど、魔力は結構高いの。なんで黙ってるかというと、ハーフエルフという種族はあまり好かれていないから。嫌われちゃったら困るからね。特にノイくんには。そしてそれは二つ目に繋がる。その二つ目は…。
私、ノイくんが好きなの!
最初助けてもらったとき、すごくかっこよかった。服を着てたらもっとよかったけどね。それからノイくんが女の子じゃないって聞いて、あのときは嬉しかったなー。それからそれから、いっしょにおふろまで入ってー、ついつい「私ってどんな風に見えるの?」なんて聞いちゃって、「可愛らしくて、素敵」だって。もう顔が真っ赤っか。あとあと、私が頑張って魔法で闘争種を倒したら、ノイくんに「流石ですね」って言ってもらったりして、ほんと…ってあ、喋りすぎたわね、ごめんなさい。
私達は、デッド三頭討伐をクリアして、レノ王国に戻っている。そして、新しい仲間がふえたの。
名前はパシリ。ノイくんがつけたのよ?いい名前よね。ユゥイがパシリを宿屋のベッドに下ろす。
「すぅ、すぅ」
パシリは既に寝ていた。よっぽど疲れていたのね。
「はー、疲れたー。私達も寝よー」
「そうですね。ではまた明日」
「あぁ。じゃあな」
「はーい。おやすみなさい」
私達は部屋を二つ借りていて、ノイくんとイグは向こうの部屋だ。あーあ、私がノイくんと同じ部屋がよかったなー。
「すぅ…ん…」
パシリが起きたようだ。
「ん…ご…しゅじん…さまぁ…?」
部屋に戻ろうとするノイくんを見てそんなことを言う。
「え、ぼ、ボクですか?」
「お前が名前をつけたからな」
「は、はあ」
うーん、ノイくんなんか名前を気に入ってないみたい。いいと思うんだけどなー。
「わたし、ごしゅじんさま、いっしょ…いい…」
「え、でもボクあっちの部屋で…」
「別に私はいいよー?イグが一人で寝ればいいだけだし」
「おいユゥイ、ひどくねぇか?」
「私もそれでいいと思うわ」
ということで、ノイくんはこっちで寝ることに。やった♪
「じゃあ、今度こそおやすみなさい」
そして私とノイくんは右側、ユゥイとパシリは左側で就寝する。私、ノイくんと一緒に寝てる…そう思うだけですごく嬉しい。
なかなか眠れない。うー、もう夜中のいつだろう。と、隣を見る。ノイくんの寝顔可愛いなー。
隣にノイくんがいる。その上にパシリが乗って…って、え?
「ん、すぅ…」
ノイくんはぐっすり寝ている。え、これ…ちょ。
「パシリ、何やってるの?」
と、私が問ってみると。
「わたし、ごしゅじんさま…いっしょ、いい」
とか言って服を脱ぎ始めた。一緒ってそう言うこと!?
「ちょっ、ダメだよそんなこと」
と私が言うと。
「うぅん、わたし、ごしゅじんさま、いっしょ…なるの」
とパシリはノイくんのも脱がそうとする。
「ちょっと、パシリ…ノイくん、えぇ!?」
「んぁ…ん?」
あ、ノイくん起きた。人服を上半身まで脱がした裸のパシリと、服を脱がされた張本人の目が合う。そのまま二人ともしばらく固まったあと、先に口を開いたのはパシリだった。
「わたし…ごしゅじんさま、いっしょ、なる…」
一方のノイくんは驚きもせず、顔を赤くもせず、無表情だ。
「はあ。それで…今、何してるんです?」
「ごしゅじんさまと、いっしょ…なるの」
だがやはりノイくんは動じることなく冷静に。
「それは無理かと」
と一言。そしてパシリは気づく。
「あれ…?ごしゅじんさま、なにもない…?」
「そうですね。中性ですから」
「わかった、じゃあ、いっしょにねるだけ…いい?」
「…まぁ、はい」
よかった…最悪の事態は避けられた。その安堵からか、どっと睡魔が襲ってきて、そのまま寝てしまう。
「ふぁぁ…」
目を覚ます。ベッドに横たわったまま窓を見る。薄明かりが差していてそれですら少し眩しい。横を見ると、二人が昨日の体勢のまま寝ていた。
「んにゃ…おはよー」
続いてユゥイも目を覚ました。まだ眠気が残っているのか、半目になっている。そして二人の方を見て。
「…?わわっ、どうしたの!?」
一気に覚醒する。
「こうなっているだけで、何もしてませんよ」
「…あ、ごしゅじんさま、おはよ」
いつの間にかノイくんとパシリも目を覚ましている。
ガチャリ。ドアが開く。
「入るぞ。おい、そろそろ朝食…」
ギィ、パタン。ドアが閉まる。
「?」
パシリが不思議そうにぽかんとしている。自分の姿を見ればわかるだろうに。
「…さ、朝ごはん食べに行こっか!」
仕度を済ませた後、私のお母さんの酒場へ向かった。