1日目『突然告白』
「不等号とは、例えば1と2だったら、
1<2になる。」
ため息まじりの声で話す。
「わかります?1年生。」
1人居残りの少女に向かってそう言った。
「わかりまへーん。」
悪ふざけの様に私は返事した。
「不等号わからん奴なんぞお前しかいねぇぞ。」
「わからないものはわからないの!早く教えてよ。
せーんせっ☆」
ペン回ししながらニコニコしてみせる。
「・・・お前」
キーンコーンカーンコーン・・・
「え?何か言った?先生。」
「・・・何でもない。もう時間だ。帰りなさい。」
「先生〜送って〜!もう暗いよぉ〜。」
私はわがままを言う。
「・・・しょうがねぇな。俺ももう帰るし、送ってやるよ。」
下駄箱で待ってろと言われたのでワクワクしながらまっていた。
ブォォォ・・・
車の音がする。
「おい、早く乗れ。」
先生の車は白くてかっこよかった。
「先生かっこいい車乗ってるんだね!」
「ふん。」
ちょっと微笑んでる。
私達は明日の宿題とか次は何やるとかそんな事を話していた。
家についた。
もう別れる・・・。
「ねぇ、彼女いる?」
先生は目を見開いていた。
「・・・秘密。」
「えー!なんでよー!」
「・・・いないよっ!」
いない!いないんだって!
私は心の中で喜んだ。
「先生26歳なんでしょー!もてないんだね」
「うるさいなー!お前も彼氏はどうなのよ!」
私は今、あなたが好きだからいないんだ!
「いないよぉ!」
「ぶはっ!」
先生は吹き出していた。
「まだ出来るかも知れないじゃんっ!」
先生が・・・彼氏になるかも知れないじゃんっ!
「ねぇ、先生。私のことどう思う?」
何聞いてんだろう、私・・・(汗)
「ちょっと頭が回らない子だと思うね。」
うわぁ・・・嫌なイメージ・・・。
「私、そんなに回ってない風に見える?」
「見えるっていうよりホントに回ってないよね。」
ハッキリいうなぁ・・・。
「ほら、いつまでも車の中に居ないで、家に行きなさい。」
先生口調・・・。
「ずっと一緒にいたい。」
やばい・・・。
「・・・は?」
もうだめだ・・・。
「私、先生が!!!」
「待って!!!」
車の中が静かになった。
「・・・明日の宿題もう1つあった。今日配ったプリントなっ!」
誤魔化そうとしてるね・・・。
「先生・・・。」
「気持ちはわかったよ・・・。でも、君は生徒で俺は教師だから・・・。」
フラレタ・・・。
「あは・・・あははっ!冗談だからっ!ちゃんと宿題するよっ!」
ヤバイ・・・、泣きそう・・・。
「じゃぁ、バイバイ!!」
急いで車から降りた。
そのまま階段を上り、自分の部屋で枕に抱きつきながら
泣いた。