捕縛
「んじゃここでやろうぜ」
人がいない、街灯も少ない道路の端っこにある廃工場の前まで歩いてきた。
いつ着いたのか分からなかった。
私とチサトは流石に気味が悪く思う。
「ねぇ、こんな場所でするの?なんか気味悪くて萎えるんだけど…」
「大丈夫大丈夫、気にすんなよ」
そう言ってチャラ男が私たちを中に入れようとする。
私は彼の顔を見る。
さっきまで明るい笑顔だった彼の顔が、何だか嫌な笑みに変わっていた。
怖い。
私はとっさに逃げようとした。
でも肩を掴まれて止められる。
「…なんかごめんなお嬢ちゃん、俺たちの欲望の捌け口に選んじまって」
え、と疑問を口にする前に私の口に何か布のようなもので塞いできた。
突然のことに暴れようとしたけど、このチャラ男結構強い。私の体だけ動いてこいつは動きそうもない。
やっぱり危ないやつらだった。
見るとチサトも同じようにおじさんに口を塞がれて、そのままグッタリと動かなくなる。
私は恐怖とパニックでどうしようもなくなって、頭がぼーっとする。
やがて、視界が暗転する。
「……この女は俺がもらうな」
「…ダメだよ、先に僕が解剖してからやってよ」
「うっせぇな、食えリャ俺は何でも良いんだから。ほら誰かに見られねぇうちにさっさと中に運べよ」
微かに聞こえる声がそう言ってるようで、私の意識はそこで途切れた。