シュガー4
私は聞くのも数回程度で喋ったこともない日本語を喋っている。
この不思議な事に思わず口に手を当てて驚くが、目の前にいたあの執刀医が語り出した。
「あぁ、それはだね。君はある実験の被験体に選出されたからだよ」
「被験体……」
「君の脳はさっきも言った通りグチャグチャで、本来ならどう処置しても死んでいた。もちろん生かす技術があるから君は今ここでわたしと会話しているんだけどね」
執刀医は人差し指を私のおでこに当てる。
「いいかい、生かす技術ってのは匠と莫大な費用が掛かるものなんだ。どうして死体回収班の君が選ばれたか知っておかなければならない…これは責任事項でもあって利用規約でもあるからね」
「どうして私が…」
初老の東洋人は静かに語り出す。
内容はこうだった。
私の脳はこの東洋人に執刀され修復され、そこに多種言語能力を足されたという事。
どうやら私の頭の中に微量の電子端末が入れられており、開いた脳の中に直接それを入れてから人口培養で修復させたこと。
これさえあればどこへ行っても現地の言葉を一瞬で理解できるようになるようだ。
英語しか喋らない私にとっては何とも有難いものだ。
そして重要だったのはその次だった。
「君の脳の中を見たときは驚いたよ。なんせ私の傑作と紙一重に似たシワと類似した電気信号があったのだからね。これを見てやすやすと殺すわけにはいかないよ」
「私の脳が傑作に似ていた?何の傑作?」
「言ってる意味がわからんだろうね。ようは未知の可能性を秘めてるってことさ、君の脳は特別だ、生まれ持った天性でもあるね」
「…いやマジで言ってる意味がわからない、それと私が似ているのが何なの?」
「君は超能力者だという事さ、それもとても強く利便性に長けた貴重な能力だろうね」




