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シャワー室にて

葛原はシャワー室に着くと鍵でドアを開け、脱衣所でバックを地面に置いた。

内側から鍵を掛け、誰も入ってこないようにする。


その間にスポーツバックから泥だらけの少女、白緑が出てくる。

少女は顔を赤くして汗をかき、疲れたように声を出す。


「あー…暑かった…かな?」


「なんで疑問系なんだよ、ほら早く脱げ」


スポーツバックの中にいた感想を聞く前に葛原は白緑が着ていた黒田の服を脱がすと、すぐに浴室に放り込む。

あまりに素早くこなす葛原にポカンと浴槽で座り込む。

だが葛原は動きを止めない。

自身もズボンと靴下を脱ぐとそのまま浴室に入る。


「先にシャワー浴びてな、言っておくけど声出したらヤベーからな」


「何がやばいの?」


「この状況諸々全部だよ」


不思議そうに葛原を見つめる白緑にシャワーの蛇口を回しお湯を出す。

しかしシャワーは最初、お湯ではなく水が出るためにそれを浴びた白緑は「ヒャン!」と大きな声を上げてしまう。


可愛らしい声だが、今この状況ではまずい。

必死に白緑に指を口に近づけて静かにするようにする葛原。

白緑も察したようで口を両手で塞いでコクリと頷く。


幸いにも誰も聞いていなかったようで、安心して胸をなでおろす葛原。

しばらくしシャワーを流し続け、徐々に水からお湯になったので白緑が頭からシャワーを浴び始める。

気持ち良さそうにシャワーに当たり、顔や髪から少しずつ泥を落としていく白緑。


と白緑にがシャワーを浴びている間に葛原も服を脱いでタオルを腰に巻いてから再度浴室に入る。


「うーし、少しは泥落とせたなー」


「気持ち良い! すっごいスッキリする…のかな?」


「だからどうして疑問形なんだよ…まぁいいわ、ほら頭洗ってやるからじっとしてろ」


葛原は腕を伸ばして浴室の隅に置かれているシャンプーを手に持ち、それを逆さにして豪快に白緑の頭にかけた。

そして今度は両手でゴワゴワに汚れた白緑の髪を洗い始める。


「うぉぉぉぉぉぉぉぉー!ここまで頑固な汚れってのも初めてだぜまったく!」


ぐしゃぐしゃと、泡をたくさん出しつつ白緑の頭をかき混ぜるように洗う。

だが何日も洗っていない髪の汚れは思うように落ちない。

泡立つ髪に苦戦しつつ、しっかりと洗う葛原。

じっとしながら目を瞑り、汚れが落ちるのが気持ち良くて仕方ないといった朗らかな顔で下を向いている白緑。

その時、洗っている髪から彼女の顔の横を伝ってきた泡に白緑は気付くと、目を瞑りながらもそれを手に持つと鼻で匂いを嗅ぎ。


口に運んだ。


「……!!?」


口に運んでからとっさに顔色を変えて口から泡を吐き出したので、それに気付いた葛原が髪を洗う手を止めてシャワーを手に持つと白緑の顔に当てた。


白緑はそこでシャワーのお湯を口に入れてゆすぎ、口の中に広がっていた不快な酸性の液をペッペと吐く。


「…うぇぶ! すっごい苦いぃ…」


苦味に目元を潤ませる。


「おいおい、なんで泡食ってんだよ」


「甘い香りがしたから食べられるのかな…って思ったからかな?」


「甘い香りって…香料嗅いだだけで食いもんと判断して口に運ぶなよ…」


そんなツッコミを入れながら笑いつつ、今の言動が少しおかしいことに気づく。

この少女が今まで髪を洗う際に使った洗髪剤には香料がなかったということだろうかという事と、このネット喫茶に置かれている安物のシャンプーの香りを甘いと言う所に疑問を感じた。

まるで、そのような物知らないといったような。



「…まぁ子供だから仕方ねーか」


「どうしたの?」


「俺も独り言だ気にするな。それよりもほれ、ジッとしてろよ。また口に泡が入って苦い思いしたかねーだろ」


「ん…」


葛原の忠告に従ってさっきと同じようにジッと立ち止まり背中を向ける。

そこに再度髪に手を掛ける。


ゴシゴシゴシ。

シャワー室で擬音が響く。

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