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作戦開始は砂糖の味

「対象と部外者3名が入店。繰り返します、対象と部外者3名が入店。店名は『ゆ〜ず喫茶堂』です」


黒ずくめ……ではなく、素顔を晒しスーツを着た部隊の通信係りが『ゆ〜ず喫茶堂』の向かい側の歩行者道路で小声で状況の報告をする。


『見間違いじゃないのか?対象はまだ子供だろ、つーかそれ以前に包帯巻いて負傷した奴らがそのまま入れるとは思えんけどな』


「入店直前、路地裏に入り込んで包帯を取り、さらに対象を部外者の大きい方が持っていたバックの中からさらに大きいスポーツバックを取り出しそこに入れ、そのまま入店したので恐らくは」


彼が事細かに報告するとインカムの向こう側から「あほくせぇ」と呆れるような声が聞こえた。

実際これは監視していた彼からしても本当にそう思えた。


追跡を開始したのはついさっきだ。

廃工場で後からきた【嗜好部隊】の手によって、事件の証拠と死体の撤去を終えた彼らはそのまま次の作戦を開始。


見つけるのは簡単だった。


3人の部外者達と手を繋いで歩く対象を見つけた彼らは数名で尾行を始めた。

残りのメンバーもそれに合わせて何処で対象を回収するかを練り、シミュレーションに見合った行動の確認を行なっていた。

今この場にいるのは、尾行を担当する通信係りと雑多員3名のみだ。

その3名のメンバーも近くで監視の目を光らせており、彼らが奇妙な行動に出たのも全員知っていた。


「どうしますか、現在の武力で中にいる部外者ごと始末して対象を回収することが出来ますが…」


そう言って突入の指示を仰ぐ通信係り。

通信係り、雑多員といっても戦闘員だが、武器は変装の為に拳銃を懐に入れてる程度だ。

だが彼らは傭兵であり、この組織に所属している。

この拳銃だけでも店内で対象以外を始末できる自信があった。


しかし。


『いや、ちょうどいい機会だ。一昨日送られた人員を使うわ。嗜好部隊との合流の際に送った第1支援隊の誰かを店内に入れて対象を確保しろ』


インカム越しから聞こえるその単語に通信係りはドキリとした。


「で、ですが…この状況で異常脳力者を1人だけ行かせても対象の確保は難しいかと…」


『それに見合った脳力持ちいんだろ馬鹿野郎。とりあえずあん中でも強いっていう隊長でも行かせろ』


「か、彼女ですか? ですがあれは最終手段とCEOも御忠告していたはずで……」


通信係りは焦って考えを改めようとさせる。

だが耳から聞こえる声、『スペースレンジャー』は全く意見を聞く気もなく。


『とっとと行かせろ。CEOも言ってただろ、さっさと回収しろって。俺ァなるべく穏便に終わらせてぇんだよ。部外者の抹殺とか面倒なことは無しにしても構わねぇよ、どうせ殺人鬼なんだろその部外者ってのは』


「ですが、対象の能力を知った可能性もあるのでストップ様からも排除の方針があるので…」


『指揮権は俺ァ持ってんだぞ?』


気怠そうに威厳のある声で言ったその一言に、通信係りは何も言えなくなる。

小声で「了解」と答えてから通信を切り替え、さる人物に繋げた。


「こちら実行部隊、工作員『ヒ素」より第1支援隊へ。指揮官から作戦内容の変更あり、これより第1支援隊の有力者である隊長1名で対象の奪還作戦を行う。直ちに準備をして現場地点J-4h56srの店内に潜入せよ。繰り返す、J-4h56srに潜入せよ。なお、部外者の排除は今回の作戦には無いものとする」


『こちら第1支援隊『シュガー』了解です』


「偵察隊は店外まで同行し店内では指示しか出せない。くれぐれも失敗しないよう健闘を祈る」


『お気遣い感謝します』


インカム越しから応えた若い女性の声はそのままブツリと切れ通信が切れる。

通信係りは切れたのを確認してから腕時計を確認する。


4時37分。


準備してこちらに来るまでに時間は掛かるだろうが、それでも10分後には彼女が到着する頃だろう。

彼はそれを確認し終えると仲間の雑多員にインカム越しで任せるように言うと、自販機に向かった。


まだ季節も3月。

自分たちは監視の係りのこともあり、寒いなか何もせずに待つ気もない。

温かいお茶を買いにその場を一旦離れる。


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