表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/100

決戦


 君は赤い悪魔を知っているか。

 べちゃっとして苦くて生々しいネバネバで多くの人を苦しめる悪魔の果実だ。


 ここに、とある小学生が書いた作文がある。


『トマトやだ!』


 もうやだ! ほんときらい!

 ※どうしてトマトがきらいなの? もう少しくわしく書きましょう。


 ゆいは提出した作文が帰ってきた時「なんで!?」と思った。


 トマトが嫌い。もうやだ。これは世界の理と言っても過言ではない。その理由を問うなど、ゆいに言わせてみれば息の吸い方を問う様なものだ。


 しかし今宵は遠い昔(いちねんせい)の事を忘れよう。ついに悪魔と決着を付ける時が来たのだ。


 不安で仕方なくて、思わず身震いしてしまう。

 でも大丈夫、最強の武器を持っているのだから。


 ここに、ママのスマホがある。このアイホンというハイテク機器には、シリという何でも知ってる妖精さんが隠れているのだという。


 つまり!

 シリさんに聞けば全て解決! あたし天才!


「ヘイシリ!」


 あたしが魔法の言葉を唱えると、シリさんは返事をしてくれた。初めて妖精さんとする会話に興奮しつつ、あたしは問いかける。


「トマトのたべかたをおしえてください!」


 トマトの食べ方を教えてください

 Webで”トマトの食べ方”に関する情報が見つかりました:


 なんか紹介してくれた!!

 むむむ……どれを読めばいいの?


「オススメはどれですか!?」


 お勧めはどれですか

 それはおもしろい質問ですね。


 ……あれ、終わり?

 教えてくれないのかな?


「で、オススメはどれですか!?」


 でオススメはどれですか

 ”でオススメはどれですか”に関するこちらの情報がWebで見つかりました:


「ちがう!」


 問題が起きたようです。すみませんがもう一度試してください。


 もんだいはっせい!?

 なんで!? オススメきいただけ!


「どうしてですか!?」


 どうしてですか。

 分かりません。正直言って、私もどうしてかなぁと思っていたんですよ。


 ……なんか、大変そう。

 妖精さん、いろいろ苦労してるのかな。


「たいへんですね」


 大変ですね

 事情を良く知りませんが、きっと大丈夫ですよ。なんとかなります。


「シリさんのことじゃないんですかっ!?」


 Siriさんのことじゃないんですか

 はい、わかりました。


「なにがですか!?」


 何がですか。

 申し訳ありません。何か勘違いしたみたいです。


「だいじょうぶってことですか?」


 大丈夫ってことですか

 それはおもしろい質問ですね


 なに!? さっきから!!

 シリさん、もしかしてふざけてる!?


「あたしのこときらいですか?」


 私のこと嫌いですか

 私には嫌いという能力がないのです。


 じゃあ教えてよ!

 ちゃんと話を聞いて!


「トマトのたべかたをおしえてください!」


 トマトの食べ方を教えてください

 Webで”トマトの食べ方”に関する情報が見つかりました。


「さっきも聞きました!」


 さっき()聞きました

 すみませんが、それはできません


「なんでですか!?」


 米ですか

 それはおもしろい質問ですね


「お米じゃない!」


 お米じゃない

 すみません、よくわかりません。


「もういい!」


 もういい

 それでも友達でいていただけないでしょうか。


「しらない!」


 知らない

 問題ないですよ。


「ムキィ!!」


 あたしはスマホをぽいして床をドンドンした。

 シリさん嫌い! トマトより嫌い!!



(続く)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

▼この作者の別作品▼

新着更新順

 人気順 



▼代表作▼

42fae60ej8kg3k8odcs87egd32wd_7r8_m6_xc_4mlt.jpg.580.jpg c5kgxawi1tl3ry8lv4va0vs4c8b_2n4_v9_1ae_1lsfl.png.580.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ