隊長お怒りで…
「そういえば、ライの地方教会ってどんなのだ?」
「知識と雷の教会だよ。」
「へぇ、だから双剣の特別属性に雷が付いてたのか!」
「!?…トクベツゾクセイ?」
初耳の言葉に口を吊るライと、王国騎士の話を聞いていなかったのか…と
呆れるテトラ。そんな様子を笑っているエンマ…カゲは無反応だ。
「俺らの武器についてる超超超!特別なものだ!俺の槍は、他の武器に変わる様になっている」
そう言って、テトラは槍をトンカチに変えた。ライは絶句する。
「オイラは人形の大きさが変わる!」
エンマは人形を手のひらサイズにしたり、等身大にしている。
それに続いて、カゲは無言で弓を五本空中にだし、一つの弓で矢を引くと、五本の弓は
何もしていないのに同じ様に引かれた。
「カゲは複写、ってとこだ。」
「まぁ、限界はあるけど…」
エンマが残念そうに言うも、ライは顔を引きつらせながら、少しかすれ気味の声で、
僕の双剣って雷が出るだけ…?と呟いた。
「!…い、いや…王国騎士はそれに魔力を流せばもっと…」
「…人、魔力…ない」
「ぐっ…せっかく俺がフォローしてたのに…」
テトラがフォローするも、なぜかこの様な時だけ喋るカゲに壊されてしまった。
もしかしたらカゲは、毒舌なのかもしれないな…とエンマは客観的に見ているだけだった。
「おっ、あの部屋じゃないか?」
「ん…あぁ、そうだ。」
テトラが小走りに先へ行き、鍵を開けて抜いた瞬間にエンマが動いた。
「オイラいっちばーん!」
子供の様な声をあげ、ドアを勢い良く開ける。その瞬間、ゴンッと鈍い音が聞こえた。
音の方を見てみると、テトラのおでこにドアが当たってしまっていた。
「…」
「…ぁ、テトラ…い、いや、隊長…僕は悪くないよ、エンマが…」
顔をうつむかせ、打った場所に手を当てるテトラは、だいぶ怖かったらしい。
カゲでさえ、ブンブンと首を縦に振っていた。
「ん〜?どうしたの…って」
部屋のベットに座っていたエンマは、自分に迫ってくるテトラに苦笑いをしていた。
しょうがないね、といった苦笑いでなくやばいやばい、といった苦笑い。冷や汗も見える。
「…エンマ」
「ひゃい!?」
「…こ、のやろー!」
鬼の形相が一転、笑顔になりテトラは近くにあった枕をエンマの顔面に投げた
「あでっ!?」
「ふはははは!悔しかったらやり返してみろ…っ!」
「背中が空いてますよ!隊長!」
和んだ空気に便乗して、ライがテトラの背中に枕を投げつける。
この夜、カゲの「…ここ、城…騒がしい…ダメ」という言葉まで枕投げをやっていたらしい。
結果、今日の夜やるはずだった神玉奪還作戦会議は、明日の早朝となってしまった。