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魔界戦記譚-Demi's Saga-  作者: 九傷
第1章 レイフの森
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第5話 平穏に忍び寄る不穏

改稿中の為、話数が被っていますが、話の流れ的には問題ありません。

随時修正予定です。



 ――――ライとの共同生活が始まってから、二か月近くが経った。




 気温は大分下がり、季節は後季へと移り変わっている。

 ライのスパルタ指導の甲斐もあり、棍棒術に関しては大体の基本技術を身につけることが出来た。

 後は日々、練度を高めていくばかりである。


 また、基本技術を学ぶ過程で、自身の精霊による魔法、内精法もいくつか使えるようになった。

 棍棒術は打撃である為、刃物による攻撃と違い、切断や失血を期待することが出来ない。

 その為、魔獣のような存在に対抗する為には、精霊による強化が必須事項となる。

 腕力や反応速度の向上はもちろんの事、重心の補正や、棍棒自体の強度の向上にまで使用するのだ。

 この棍棒術は精霊の扱いに極意があるらしく、基本である型を覚えた後は、日々の鍛錬の中で内部精霊による補正込みで完成度を高めていくことになる。

 幸いな事に、俺は精霊と相性が良いらしく、その辺の補正はすぐできるようになった。



「なんだかズルいよトーヤ。僕はそのレベルで身体補正を行えるようになるまで五年はかかったんだよ?」



「ズルいと言われてもなぁ…。実感なんて全然無いぞ? 現に今コテンパンにのされた所だし」



 今日は狩りに出ていたのだが、季節的な問題なのかあまり成果が出ず、息抜きがてらに稽古をつけてもらっていた。

 無手での組手だが、精霊の扱いを学ぶには、十分な効果がある。



「僕は一応、十年以上修行しているんだよ? それを二か月足らずで追い付かれたら流石に凹んじゃうよ…」



 それはそうなのだが、こうして組手をするようになってから今まで、俺はまだライから一本も取れていないのである。

 今だって、あっさりと吹っ飛ばされてダウン中だし…

 技術的な面では俺なりに手ごたえを感じているのだが、ライ相手には未だに有効打すら一つすら与えられていない。

 ライは優秀だなんて言ってくるが、本当かよと思ってしまう。



「でも、助かっているよ。正直、誰かと組手なんて数年ぶりなんだ。トーヤがあっという間に組手をできるレベルになってくれたお陰で、僕にとっても凄く良い修行になっているんだよ? それに…」



「それに?」



(トーヤの成長の速さは、教える側にとっても凄いやる気に繋がるんだよね。負けられないって)



「…いや、僕自身、トーヤとの稽古は結構楽しんでいるんだ。なんだか、久しぶりに充実した日々を送れている気がする」



「…そりゃ良かった。俺ばっか得しているようで、少し罪悪感があったからな」



「罪悪感だなんて、そんなもの感じる必要は全然ないよ! むしろ今後も遠慮しないで、たくさん組手をしよう! ね?」



 おいおい勘弁してくれ。

 そのイケメン顔でそんな表情されたら、流石にドキドキするぞ…

 俺にそっちの気はないんだ…。多分…



「ま、まあ、程ほどに、な…、って、ん…? なんだ…?あれ…?」



 目を合わすまいと視線を逸らすと、視界に煙のようなものが映った。

 俺の反応を見て、ライも視線をそちらに向ける。



「…あの方向は、レッサーゴブリン集落だね。何か、あったのかもしれない…」



 ライが険しい顔をしている。

 何か良くないことが起きているのかもしれない。



「トーヤ、すまないけど…、先に家の方に戻ってくれるかな? 僕は少し様子を見てくる…」



 俺も一緒にと思ったが、足手まといになる可能性もあるし、行く先が集落なのであれば、一緒に行くと逆に面倒なことになる可能性もあるか…



「…わかった。でも、気をつけろよ」



「ああ」



 そう短く返すと、ライは煙の見える方角へと駆けていった。

 それを見送り、俺も家に戻る準備をする。

 念のため、薬草などの準備もしておいた方が良いだろう。


 ライの事は信頼しているが、結構無茶をする奴だという事も知っている。

 本当に、何もなければ良いが…




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― 新着の感想 ―
[良い点] とても読みやすいです (∩´∀`)∩~♪ [一言] たしかにこん棒は切るのは難しそうですが、叩かれたらめっちゃいたそうですよね (;'∀') 大型魚4匹を二日で完食は羨ましいです~♪
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