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魔界戦記譚-Demi's Saga-  作者: 九傷
第4章 武闘大会編
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第148話 紅姫様一行 ご来訪



「いえ、その…、すぐにという訳ではなくてですね? 正妻はやっぱりリンカ様なのかなって思いますし…。私はスイセンの次くらいでいいんですけど…」



「駄目です! それに正妻は私です!」



俺が思考停止している間に反応したのはアンナである。



「え…? そのエルフの娘も…?」



いやいや!

その反応でようやく俺も停止状態から復帰する。



「断じて違います! 私は妻とかいませんので!」



勘弁してくれ…

俺はまだ妻を娶るとか、そういった余裕は無いんだよ!

精神的にも、肉体的にもね…



「そう、なのですか?」



「ええ…、ですから、お気持ちは嬉しいのですが、その、今回の所は…」



「でも、婚約者なら、いますよね?」



やんわりとお断りしようとした俺の後ろから、割り込むようにして声がかかる。

この声には覚えがある。しかし、何故こんな所で…?



「紅姫様…? 何故、荒神に…?」



振り返るとそこには、鬼族の首領 紅と、その臣下である月光、影華が立っていた。



「お久しぶりです、トーヤ様。お元気そうで何よりです。此度は魔王様よりお招きがあり、こうして参じさせて頂きました」



深々とお辞儀をする紅姫様。

その所作は美しく、洗練されたものを感じる。

お辞儀の正しいやり方なんてものは知らないが、紅姫様のお辞儀からは、なんとなく「和」を感じられた。



「この方が、トーヤ様の婚約者…」



紅姫様を見て、アンナがあからさまに敵意をむき出しにする。

おいおいアンナ…、一国の首領に対してその敵意は不味いだろ!


俺はやや強引にアンナの方を押さえ、後ろに隠すように引き寄せる。

このままにしておくと、影華や月光と戦闘が勃発しかねないからな…



「そ、そうだったのですか…。ようこそ、荒神へ。こちらには暫く逗留されるのですか?」



「ええ。10日程は滞在予定です。トーヤ様の管理されているという『レイフの森』にもお邪魔させて頂く予定ですので、よろしくお願いしますね」



ウ、ウチにも来るのか…

いや、別に問題無い筈なんだが、何故だか嫌な予感しかしないな…



「…歓迎いたします。木々ばかりで見所が少なく申し訳ないですが…」



「ご謙遜を。ここに来るまで色々なお話を聞いていますよ? …それより、トーヤ様はやはり、女性の方々に人気があるようですね…?」



ゾクリ、と背中にひんやりとしたものを感じる。

相変わらず鬼の面を被っているというのに、その奥の瞳が細められたのがはっきりと分かった。

それを敏感に感じ取ったのか、カンナさんがビクリと反応する。



「あの、その、私は…」



「ふふ…、この様な面を付けているので、驚かせてしまったかもしれませんね? 私は羅刹の首領、紅と申します。以後、お見知りおきを」



「わ、私は荒神、衛生部隊所属、カンナと申します! 本大会の監視者を務めさせて頂いています!」



どことなく野暮ったい雰囲気の彼女が、姿勢を正して名乗る姿には、失礼だが少し違和感がある。

しかし、そんな彼女でも畏まってしまうのは、やはり紅姫様の王者の風格というやつなのだろうか。



「ふふ…、宜しくお願いいします。…ところでカンナさん? 大会監視の方はそろそろ会場の方に向かわないといけないのでは?」



「っ!? その通りでした! し、失礼させて頂きします!」



慌ててかけて行くカンナさん。やはり、なんとなく彼女の雰囲気にそぐわないな。スイセンの話とも大分印象が違うし…



「っと、俺達も会場に向かおう。この人数だと、下手すれば見れなくなるぞ…」



「あら、それでしたらご一緒しませんか? 魔王様から席にお招き頂いているんですよ」



キバ様とか…

正直嫌な予感しかしないんだよなぁ…



「いえ、私は招かれていませんし、この子達も居ますので…」



「では、その子達もご一緒に。この国の左大将ともあろう方が、何を遠慮なさっているのですか?」



いやいや、キバ様を遠慮しているのですよ紅姫様!



「そうだぞ? トーヤ殿、我々は選手についてあまり詳しくないのだ。貴殿が居てくれると助かる。何、心配するな我が父は責任を持って押さえておこう」



と、援護射撃をしてきたのは先程別れたはずのタイガである。

どうやら挨拶を終えてこちらに追い付いて来たらしい。

いかんな…、これは逃げ道が無さそうだ…



「…わかりました。ご一緒させていただきます…」



いざとなったら全力でタイガを盾に使わせて貰おう…



「あ、あの…」



おっといけない、キリル君の事を忘れていた。



「キリル君も来るかい?」



「い、いえ! 滅相もない! ただ、少しお話が…」



「ふむ、それは緊急かな?」



「いえ、急ぎではありません…。ただ、この機会を逃すと自分などでは…」



話す機会が貰えないだろう、とでも思っているのかな?



「心配しないでもいいよ。俺は謁見とかに制限とか設けていないしね。もし良ければ『レイフの森』に直接来てもらっても構わない。そしたら歓迎させて貰うよ」



「あ、ありがとうございます! では、後日お尋ねさせて頂きます! 失礼いたしました!」



ペコペコと頭を下げながら去っていくキリル君。

やっぱりしっかりした子だなぁ…



「トーヤ様、抱っこ…」



そして、イーナはお子様だなぁ…

俺の腰をつねってくるアンナも、同じくな…





やはり3作に手を出すとスケジュール管理がきかなくなりますね…

月末じゃなきゃ平気かもしれないので、少し様子見です…

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