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魔界戦記譚-Demi's Saga-  作者: 九傷
第4章 武闘大会編
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第134話 大会参加に向けて

ちょっと見直しが甘いので、帰宅後に少し加筆修正をする予定です。

→少し修正しました。内容は変わりありません。





――――レイフ城・執務室




「という事で、さっきも言ったけどゾノは選手として強制参加ね」



「…先程の集会で概要は分かったが、俺なんかが参加していいのか?」



「もちろん。参加者は多ければ多い方が良いらしいしな。ウチはトロールがいるから志願者については心配していないんだけど、それでも最低限20人くらいは確保したいと思っている」



トロールは闘争心が強い。こういった催しは願っても無い機会と思っているだろう。

実際、ガウ達は志願者として早速名乗り出て来たしな。


ちなみに、20名と具体的数字を口にしたのには、実は理由がある。

知らせを持ってきた荒神の使いが、言伝で俺にその数字を口にしたからだ。

俺は当然そんな大会なんかに参加する気は無いので、俺以外で最低20名を見繕う必要があり頭を悩ませていた。

立場上、命令する事は可能なのだが、何の理由もなしに強制する事は気が引けるし…


そんな時、丁度良くと言っては申し訳ないが、ゾノが少し自信を失いつつあった為、強制参加を申し付けた。

こっちの都合もあるので少し心苦しいが、ゾノにとっては自信を取り戻す良い機会になるだろう。


さて、これで参加確定は混血種を含めたトロール達とゾノで10名弱か。

ライやシュウ、リンカ辺りも参加するだろうし、あとは誰を選出するかな…



「スイセンはどうする? やっぱり参加予定?」



「参加予定というか…、我々は軍属ですので技能大会は強制参加ですよ? それに、武闘大会の方も初参加の場合は強制ですね」



「………え?」



ちょ、ちょっと待って!? そんな事この知らせには…



「…その反応は、やっぱりご存じなかったのですね。まあ、確かに軍規には載っていませんが…」



スイセンの言う通り、そんな事は渡された資料のどこにも記載されていなかった。

確かに、軍規という割には薄っぺらな資料だなとは思ったが…

こうなってくると、俺の知らない暗黙のルール的なモノがまだまだ有りそうで怖い。

今度スイセンに確認しよう。


それは兎も角として、今は選手についてである。

参加する気などまるで無かった為、途端に焦りが出てきた。

というか、出たくないマジで。どうにかならないだろうか…



「…初耳だよ。正直物凄く気が進まないのだけど、何とかならないかな…?」



「私も思う所が無いわけでは無いですが、元々はキバ様が言い出した事なので…」



「だよね…。そうだろうと思ったよ…」



スイセンが言うまでも無く、こんな事を言い出しそうなのはキバ様しかいないだろうと思っていた。

こんな行事を思いついたのも、大方、自分とまともに戦える相手が欲しいとか、そんな理由に違いない。

まさかキバ様自身が参加するなんて事は無いだろうけど、優勝者には俺に挑戦する権利を~とか言いそうだ…



「ただ、武闘大会に関しては、今年参加すれば来年は辞退する事が可能です。軍の者が全員参加するのは流石に不味いですからね。ローテーションは組めるようになっています。私は、去年参加していませんので、今年は強制参加になりますね」



確かに、いくら荒神が防衛している国境が少ないと言っても、全員参加は流石に不味いよな…

その辺はタイガ達がなんとかルールに組み込んだのだろう。



「しかし、となると俺と近衛兵3人、ガウは強制参加になるのか」



「そうですね。あと、リンカ様やシュウ達元近衛兵は、既に軍属から外れていますが、恐らく進んで参加すると思います」



「…ちなみにソクやザルアさんは?」



「お二人は術士の位を賜っていますが、厳密には軍属ではありません。称号に近い位ですので」



そうか…。それは少し良かった、かな?

二人とも優秀な術士には間違いないのだが、余り戦闘向けとは言えないしなぁ…

恐らく二人とも、武闘大会どころか技能大会にも参加しないんじゃないだろうか。


しかしなぁ、聞いた限りだとシュウとリンカも参加するんだろ?

下手すれば、俺、レイフの森からの参加者で一番弱いんじゃ…?

ヤバイ、これは物凄く恥をかきそうな予感がするぞ…


開催まで約1週間。それまでに最低限一矢報いれるだけの技を身につけておかないと、上に立つ者としては流石に恰好が付かないぞ…

またしても無駄に高い地位が首を絞めている気がする。この地位、返上させてくれないかな…



「トーヤ様、私も武闘大会に参加したいです」



と、それまで黙って聞いていたアンナが急に会話に参加してくる。

というか、何故当たり前のようにここにいるのだろうか。

俺はゾノとスイセンとライしか呼んでいないのに…



「駄目。聞いてなかったのか? 14歳未満は参加不可だ。…ああ、でも子供の部があるんだったな。そっちならいいぞ?」



「それでは意味がありません!」



なんの意味が無いのだろうか。

ここ数日の彼女のストレス解消の為、むしろ参加して欲しいくらいなんだがなぁ…

いや、でもそれはそれで他の子供達に悪いか…


俺の見立てからして、アンナの実力は他の子供達の中でも群を抜いている。

というか大人を含めても、このレイフに住まう戦士の中でトップクラスの実力をもっているのだ。

意味がない、というのもあながち間違ってはいないか…

しかし、いずれにしてもルールなのだから大人の部への参加は認められない。


…ふむ。ここはご機嫌取りでもしておこうか。



「我慢してくれアンナ。その代り、大会までの間、俺の秘密特訓に付き合ってくれないか?」



「っ!? いいんですか!?」



「ああ、頼むよ。もちろんライやゾノ、スイセンもね」


今ここにいるのはライ、ゾノ、スイセン、アンナとヒナゲシ、翡翠の6名。

このメンバーなら、俺の秘密特訓の情報を漏らす事は無いだろう。

何故、秘密にするかって?

いや、大会前だからって必死こいてると思われたくないっていう、ただの見栄なんだけどさ…


まあ、たまにはこうしてこっそり特訓するのも悪くない。

アンナのご機嫌も取りつつ、俺の稽古にもなるし、まさに一石二鳥の作戦と言えるだろう。

…少し不安はあるけど。



こうして俺達は、約1週間、他の参加者にバレないよう秘密特訓をするのであった。




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