自称 賢者
自称 賢者は
自分は賢いと叫ぶごとにゆっくりと
沈んでいく、底なしに
人の言葉、気にくわない言葉を
鼻で笑って、踏みつけていく
おい、どうした?
お前の言葉はそれっぽっちか
とささやく
怒りに震えた言葉の礫を食らうだけ
食らってもこんなの慣れていると
唾を吐く
こんな言葉でくじけるほど
弱くないと、脆くないと叫ぶ
本物の賢者の声がまっすぐに飛んできた
それが強さというのか
耐性がついている、なんてウィルスじゃあるまいし
輝く言葉の宝石をごまんともっていても
使わなければ、ないも同じ
心も使わなければないも同じ
あなたも
どこかでわかっている
どこかで感じている
それを閉じ込めて鍵をしめたのは
なぜ
自称 賢者は
口をつぐんだ
強く奥歯を噛み締めながら