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ヤンデレ系乙女ゲームのヒロインになってしまった…(泣)  作者: フリージア
第一章 全てはここから始まった
7/15

緊急事態!?~セントバル殿下のドキドキパニックな一日☆~

いつもお読み下さっている方、初めての方も、感謝です!ありがとうございます!!!(TT)

 兄上のこんな姿を見たことがない。このままでは“ゲーム”が始まってしまう!!


 しかも、もしかしたら、ミレーネ嬢が“あの子”かもしれない。そんな事はあり得ないだろうと思うが、万が一って事もある。



********************

 自分が乙女ゲームの登場人物だと気付いたのは、ついさっきの事だった。“俺”か、兄上に婚約者ができると父上から伝えられた時だ。

 親子3人揃って集まる事は大変珍しく、よほどの事がない限り、スケジュールを合わせるなんて事は無かった。兄上とも、約半年ぶりに顔を合わせたが、((本当に7才かよ!))と、ビビるくらいに逞しく成長していた。

その姿に、”前“にもどこかで見たことあるような、妙なデジャブを感じた。

 “前世”のどこかで見た事がある気がしたのだ。



 川口龍平。それが前世での俺の名だった。

俺には目にいれても痛くないほど可愛い、実里【みのり】という妹がいた。妹は乙女ゲームにハマっていた。青春真っ盛りの時期に、現実の男より画面の中の男に妹は夢中だった。


 兄上はその妹が大好きだった男子とそっくりだった。


 (そういえば、よく「ナジアス様は俺の嫁!」とか意味がわからないことを楽しそうに叫んでいたなぁ。…ん?…え?)


 その瞬間、パズルのピースがピタッとはまるように、妹越しに見たテレビ画面の中のナジアス様と兄上の姿が、重なって見えた。


 嘘のような事実に、俺はパニックを起こした。

「あり…えにゃい。ありえにゃい!ありえにゃいよ!こんにゃのありえにゃいぃいいぃーーー!!!」


 結局、錯乱した俺が落ち着くまで、侍従や医師と共に、兄上も付き添うことになった。兄上は心底面倒くさそうな顔をしていたが、『弟の事が心配だ』と言い張った。

 (顔を視れば本心が丸分かりだが…)

 兄上は分かりやすい性格をしているし、何より顔にその時の心情が全部出る。おそらく心配などしていないだろう。

先ほどの言葉を意訳すると、

((婚約ごときで錯乱している弟の頭がやばいと思う))というところだろうか。

 

 多くの貴族が集まる正式な場で、興味のない4才の婚約者と会うはめになるよりは、俺の側で座っていた方がましだと思ったのだろう。 


 そうして、“ボク"と兄上は会見の場を免れたのだった。

  

 「う~…」

 俺はベッドの中で唸りながら、頭を抱えていた。とにかく事態を把握するよう努めねば!

 

 信じがたい事だが、俺は前世にあったゲームの世界に転生したらしい。しかもそれが、ヤンデレが出てくる乙女ゲームの世界ときた。

マトモな奴なんてほぼ出て来ず、俺はその中の攻略対象キャラの一人で、実里は「マザコン王子」と呼んでいた。…最悪だ。

確か、弱っちくて、いつも母親の言いなりになってるお馬鹿王子だと言っていた。…絶望的だ。


 確かに、前世では早くに両親を亡くしたせいで、現在の母親である、優しい王妃の事が大好きだった。一人称を“ボク"と言っているのもそのためだ。母上が兄上を毛嫌いしているため、“俺"という一人称を使わせたくないのだ。でも、心の中ではこっそりと使っている。長年前世で"俺“と言ってきたのに、“ボク"では違和感がありすぎて、気持ち悪いからだ。

 

 母上の事はこの世界で誰より大切に思っているが、決してマザコンなどではない!!と、誰かに言いたい気分だ。…しょぼん。



 正妃の唯一の息子である俺には何かと敵が多い。貴族の間では、ナジアス派の派閥とセントバル派の派閥に別れている。

 何度も毒を盛られたり、暗殺者を仕掛けられた。

だからこそ、本当の意味での心配をして下さる母上の事くらいしか信用していないし、周囲は嘘つきだらけ。他者に心を許してはならないと、誰に教えられるでなく身体で覚えるほどに、酷い目になどなんども遭ってきた。


 このエンドロイド国は、俺にとって優しい世界ではなかった。妹がハマっていたのが、ドロドロな昼ドラな世界観?が売りの、ゲームだということからも察してほしい。マザコン設定に、この仕打ち…製作スタッフが憎らしくてたまらないわ!


 「フー、フゥー」いきり立ち過ぎて肩で息をする。落ち着かねば。黒い感情が高まりすぎて、思考が本題から外れていってしまっている。


 気持ちを落ち着けると、再び前世の記憶を思い出すことに専念した。


 確か、ヤンデレが出てくる乙女ゲーム系だったはず。主人公は金髪の美少女。(そこはバッチリ覚えている)

 攻略対象者は兄上…と俺。あとは………ダメだ。どんな奴がいたか全っっっ然覚えていない!!

 

 何て事だ!こんなにも人生に関わってくるなら、もっと実里がゲームをしている時も実里だけじゃなく、画面の方もしっかりと見ておくんだった!!


 俺は頭を抱えて「うおぉおぉぉ~…」と苦悶の唸り声をあげる。


 ベッドの脇では、「おい、お前宮廷魔法医学師だろう。頭がおかしくなった弟を治す方法はないのか」「誠に申し訳ございません、殿下。そのような魔法も薬もないため、鎮静効果のある魔法薬で落ち着かせましょう」などと、大変危うい会話が聞こえてきた。


 「ボクのあたみゃは、おかしゅくにゃんかなってないでしゅよ!」

 ガバッとベッドから起き上がる。注射器を構える医者の姿が目に入った。危ないところであった。


 俺は、身の安全のためからと、母上の命令でほとんど隔離された生活を送っていた。

 他者と話す機会は多くはなかった。ろれつが回らず、舌っ足らずなのも仕方がない。だが、恥ずかしくて情けなくなる。前世では、ヤンキー上がりの28才没なのだ。こんなの俺のポリシーが許さない。(泣)



 …まぁ、結局、残念ながら思い出せるのは兄上のルートだけだった。妹が嬉々として話しまくっていたからだ。



 これ以上嫌な事態に巻き込まれたくない。ヒロインに合ったら、即お断りしようと心に決めた。

 


 ヒロインの中身が前世の妹の親友で、恩人の神崎詩織だと気づくまでは。

ちょっとずつですが、明らかになるセントバル殿下の現状…見かけによらず、結構ハードな人生を歩んでおります(゜ロ゜;


前世も含めて、番外編もUPしました!こちらはシリアス?センチメンタル?テイストになっていますので、苦手な方はお気をつけ下さいませ!!m(_ _)m

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