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ヤンデレ系乙女ゲームのヒロインになってしまった…(泣)  作者: フリージア
第一章 全てはここから始まった
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勘違いとすれ違いは恋の始まり?~part ②ナジアス殿下視点~

めちゃくちゃ長くなってしまいました!Σ( ̄ロ ̄|||)

ナジアス殿下、なんて恐ろしい子なの!!(汗;;

 なぜか婚約者(仮)の幼女に謝罪の礼をとられている。


 (もしや…これは俺との婚約を断りたい、という意なの…か!?)


 元からこんな幼子な婚約者など迷惑きわまりないと思ってはいたが、向こうから願い下げだという、そんな反応をされては話は別だった。


 何かこう、胸の辺りがモヤっとしている。おまけにイライラまでしてくる始末。


 なぜ俺様がこの小さな令嬢ごときに感情を左右されているのか。一体どうしたというのか。

 目の前にいるのは自分のほぼ半分の歳しかない小さな女の子だ。別に大した相手ではないではないか!



 自慢じゃないが、俺は赤子の頃から容姿を褒め称えられ、乳母や、側付きの者達から蝶よ花よと育てられてきた。7才になった今、身長もかなり伸びてきて、同い年の従者のアレクセイ(乳母の長子)と並ぶと、俺の方が年上に間違われる。

 さらに、徐々に可愛さから逞しい青年へと変化してきた昨今、同じ空間にいるだけで、なぜか卒倒するメイドや令嬢までも出てきた。

 だからこそ、俺とて容姿に関する美辞麗句が、全てがお世辞だという訳ではないことも知っている。

決して自惚れではなく、だ。

 

 つまりのところ、俺は女など選び放題の環境と容姿を持って生まれた。


 王子という身分に寄ってくる者、俺の容姿に惚れる者、自らの容姿に自信があり、己から迫ってくる者など…色んな女を視てきたが、そのどれにも当てはまらない者を視るのは初めての体験だ。


 (うむ。それできっと俺は釈然としなくて、イラついているのだろう。そうに違いない!!)

 

 

 自問自答を終え、遠ざかっていた意識を目の前の現実に戻す。

 するとどうしたことか、ミレーネ嬢は父親の伯爵一瞥すると、父親の頭を手で抑えつけ、無理矢理頭を下げさせていた。


 一瞬見えた彼女の顔は何故か怒ったような顔をしていた。怒りの性か、瞳が潤んでいた。

 人形のようにクルッと丸い碧色の目が、なぜか俺には最高級のエメラルドのように見えた。


 なんて美しい瞳なのだろうか。

薄い桃色の唇、スッと伸びた小さな鼻筋、黄金色の豊かな髪。よく見ると、文句のつけようも無い位に、他のどのパーツも美しく整っている。昔、母上が読んで下さった絵本に出てきた妖精のように、彼女は愛くるしい姿をしていた。


 それは、自分では気付かなかったが、今はもう亡き母上以外の者を、初めて心から綺麗だと感じた瞬間だった。


 ドッドクン…


ドクッドクドクドクドクドクドクドッドッドッドッドッドッドクドッドクンッドクドクドクッドッドッドッドッドクンッドッドッドッドッドッ×∞


 (なっ!なんだこれはっ!?)

 急に胸が苦しくなり、手を当てると、やたらと自分の心臓の音が大きく、速く聴こえた。 


 (心臓がおかしい!何かの病か!?) 

 初めての現象に驚きを隠しきれない。彼女の事を意識した途端、頭は混乱するし、緊張するし、やたらと喉が渇いてきた。


 「……もしやこの婚約を断りたいと言う訳か?」


 やっとのことで出た彼女への言葉は、俺らしくなく、掠れて弱々しかった。



 モテることが当たり前になっていた中で、ミレーネ嬢の行動は何もかもが違っていた。頬を赤く染めてウットリされたり、モジモジしたり、騒がれたり、卒倒されたり…と、乳母を除き、年齢を問わず、女性からはそのような反応しかされた事がなかった。


 隣に立っていた腹違いの弟はミレーネ嬢の行動になぜか感激?しているし、よくわからない事だらけだ。まぁ、こいつはいつも何を考えているか、わかった試しはないが。



 そんなミレーネ嬢は、俺の言葉を聞いて、狼狽え青ざめながら必死に釈明をしてきた。


 『いえいえ!断るとかそんな意味ではなく、純粋にお父様の無礼な態度を謝罪したく、身体が勝手に動きました!』


 (なんだ、俺の思い違いか…)

 俺は人知れず、ホッと息を吐いた。


 彼女に嫌われてないと分かると、胸の奥でモヤモヤしていたモノが、嘘のように晴れわたっていった。


 ミレーネ嬢はとても4才の女の子のようには見えなかった。この歳で父親の無礼な態度を諌めているし、何より王族である俺に対しての敬意と、不敬を働いた父親の身を案じる心根の優しさが見えた。この歳で周囲への配慮ができるなんて、将来が楽しみな素敵な子じゃないか。

 ミレーネ嬢は、ナジアスが初めて見る知性を感じさせる、魅力的な女の子だった。


 妖精のように可愛らしく、艶々で金糸のような髪など、撫でたらどんなにか気持ちが良いだろうか。ついそんなことを考えてしまうほどに、心が囚われていく。

 ミレーネ嬢の事を考えれば考えるほど、胸の奥がきゅんきゅんと鳴る。

 

 『…あ、でもでも!断りたい事には違いありませんけど!』


 「なっ!?」



 ……心臓を最大級の発作が襲った。

 

 むっ胸が苦しくて上手く息が出来ない!!

 哀しさと愛しさと切なさと怒りと、よくわからない感情が混ざりあう。


 そんな中、イルファン伯爵が口を開いた。


 『ミレーネ、それは無理だよ~。もう国王様の前で誓ってしまったし~?それになにより、私が宰相になって政で権力を握るためには必要な話だしね!』


 ((伯爵…!まったくもって予想外だが、良いことも言えるじゃあないか!…そう!その通りだ!いかにミレーネ嬢が嫌がろうと…(あっ、涙で前が見えない)この婚約は覆るものではない!!))

 

 俺は気がつくと小さくガッツポーズをしていた。若干涙目になってしまったが、なぜか誰もこっちを見てなかったので良しとする。

 後は弟さえ蹴散らせばミレーネ嬢の婚約者になれる。…と思い、弟を横目で見ると、人質のように伯爵に盾にされていた。弟は少しでも動いたら自分の身が危ない!っとでもいうかのように、冷や汗をかきながら、さながら石のように動かずにいる事に努めていた。

 

 何故伯爵が弟を盾にしているのだろうか。

 

 二人の目線の先を見ると、ミレーネ嬢の全身からキラキラと黄金の光が溢れ出していた。


 可愛い妖精が美しい女神になっていた。


 金髪は黄金色に光り輝き、肌も神がかったように光り輝いていた。思わずボーッと看取れてしまう。

俺は素直に思った。

 「…お前、普段は可愛いが、怒ると美しいんだな」

 …あっ、ついうっかり心の声が外に出てしまった。


 すると…

 彼女の頬が赤く染まった。それと共に金色の光は消えていってしまった。


 『な、ななななっ!?』 


 ミレーネ嬢が初めて俺に好意的な姿を見せてくれた。

(何だこの反応は。めちゃくちゃ可愛いんだが!?)


 思わず俺は彼女を抱き締めようと手を伸ばすと…


「あのっ!ちょっといいでしゅか!?」

 弟が急に慌てた様子で口を挟んできた。


 そんなの………良い訳あるかぁっ!!

ナジアス殿下はとんだ妄想族の族長でした(^^;)))


次回、ある意味ミステリアス?な弟君。セントバル殿下の秘密に迫ります!


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