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ヤンデレ系乙女ゲームのヒロインになってしまった…(泣)  作者: フリージア
第一章 全てはここから始まった
3/15

チートな能力

今回は前回よりも若干長めです♪


 気がつくと、私は豪勢なお姫様ベットの上にいた。 


 ここはどこでしょう?

 う~ん、見かけないお部屋だし、やっぱりこのお部屋のスペックはお城だよね。


『良かった!気が付かれましたのね!ミレーネ様!お加減はいかがですか?お医者様は異常ないとおっしゃられていましたが、念のため呼んでまいりますね!』


 大層心配してくれたのだろう。お城のメイドさんらしき女性が鬼気迫る勢いで尋ねてきた。私、たぶん王子様の婚約者の令嬢にされちゃったもんな~。そりゃ心配もされるか。


 「ありがとう。必要ないわ」ときっぱりと答えると、本当に大丈夫かしら、という猜疑心いっぱいのお顔をされてしまった。


 どうやら私は王様との謁見中に、急に糸が切れるように、突然倒れたのだという。貧血にしては反応がおかしいし、普通は何かの病かとそりゃ思いますよね~。

 でも、私は身体に異常はないと言い切れる。それには理由ある。精神操作系の魔法をかけられたからだ。


 気を失う直前に、私の中の魔力の流れをグニャッと曲げられたような、気持ちの悪い感覚を覚えた。魔力量が豊富すぎる私は、精神操作とか、内部に働きかけるものをかけられると、魔力の流れが狂いはするが、実際にかかりはしない。保有魔力だけで自然と跳ね返してしまえる程の特異な体質をしていた。まぁ、強い魔術だと船酔いみたいに気分が悪くなったり、ひどいと貧血を起こしたりはするが。


 この事実がわかったときは、最初は家族一同『嘘でしょ~』と、いうように、全然信じていなかった。だが、家庭教師の魔導師様から『お嬢様ほどの魔力をお持ちの方を、歴史上を辿っても、私は見たことも聞いたこともございません!』と、力説され、魔導寺院にて魔力を計測したのは、記憶に新しい出来事だ。


 そこで明らかとなった事実は、私の体内を巡る魔力量は普通の魔法使いの約300倍はあるとのことだった。……何それ怖っ!!どんだけチートなんですか、私!

 あまりの多さに、本人が魔法を使用しようにも加減が出来ず、大惨事を引き起こしかねない。

 例えば、火属性の魔法でマッチ一本程度の火を出そうにも、火炎放射気になってしまうのだった。チート魔法量も困り者である。


 だから、私は魔法を使おうとはしない。制御もできない力を無理に使おうとして、殺人鬼フラグは立てたくないもの。


 でも、案ずることなかれ。下手に使おうとしなくても、溢れ出る魔力のお陰で身体は丈夫。そして何より、身体能力はもちろんチート的に底上げされている。それは、武術の才があると同じ事なので、身体を動かすことが大好きで、前世でも空手をしていた私にはとても嬉しい事だった。


 つまりのところ、私が倒れるなんて、他者からの作為的な魔法でもない限り、ありえない事なのだ。


 すでに4才にして、頑丈すぎる身体の事を心配されるという行為に違和感を覚える幼女となった私は、心配してくれたメイドさんに、もう一度「ご心配はありがたいのですが、本当に大丈夫です。ありがとうございます」と元気に笑顔で答えた。

すると、メイドさんは『…わかりました』と渋々頷いてくれて、お医者様ではなく、お父様を呼んできてくれた。


  バンッ!!!


 勢いよくドアを開けられると、『ミレーネ!!』と父が叫びながら入ってきた。そして、これまた勢いよくガバッと抱き締められた。


 「いったい誰にやられたんだい!?何か気がついた事があったら、何でもお父様に言いなさい!まったく、この国の中枢には腐った貴族しかいないからな。俺が宰相となった暁には、奴等を根絶やしにしてやろう…」

 何かすごく物騒な言葉を吐きながら、怒りのあまり悪役のような笑みを浮かべるのは、カルドネイド・ラシアス・イルファン伯爵こと、私の父親だ。父の腹黒い笑顔はとても恐ろしく、ゾワッと身の毛がよだった。美しい人ほど、悪意ある笑みは怖いものだ。


 「お父様!?ちょっ!落ち着いて下さい!(理由:怖いから!!)」

 

 そこで突然に、イケメンボイスが聞こえてきた。

 

 「まったく、父上から聞いてはいたが、イルファン伯爵は恐ろしい男だな。おい、お前。目が覚めたのなら、早くさっさとどちらか選べ」


 父の背後から聞こえた、ひどく投げやりな言葉の先を見ると、目がつぶれそうなほどイケメンな黒髪碧眼小麦肌の俺様系の10才前後の少年と、


「ボクは遠慮しましゅ。選ばないでくだちゃい」


 ミレーネより1つ年下くらいの、舌っ足らずな所が残る可愛らしい、金髪ふわふわ巻き毛碧眼の天使な男の子がいた。

 

 気づいた事態に私はポカーンと、間抜けにも口を開けて固まってしまった。


 も、もしかして、このお二人は…


 そんな娘の姿を見た父は、

 「あ、ごめんよ。ミレーネに紹介するの忘れてたわ~。この二人、婚約者候補の王子殿下だから」

 

 (えぇ~!!!)

 なにその適当な感じ!


 お父様は基本軽いが、目的のためなら手段を選ばない腹黒さと、どうでも良い人は適当にあしらうけらいがある。そして、何より怖いもの知らずな人物だ。


 だが、今回の相手は仮にも今回は王子殿下。まったく王様の前で見せた知将っぷりはどこにいったのか。

 

 娘として今の事態に対して思うのはただ1つ!


 どうか不敬罪に問われませんように!



 …気がつくと私は、二人の王子殿下に対し、頭を下げていたのだった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


2/27イルファン伯爵の名前修正致しました。

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