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恋は突然舞い降りる!?

※今回はナジアス殿下視点のお話です。


少しずつではありますが、ゲームの攻略人数など、ストーリーと共に明らかにして盛り上げていきたいと思います!(・∀・*)

 俺の胸は高らかに鳴り続け、ミレーネ嬢の誕生日が近づくにつれ、上手く眠りにつくことすら出来なかった。気分はさながら戦地に赴く前の新兵のようである。

 なんてったって、ミレーネ嬢の正式な婚約者に成れるかがかかっているのだから。


 準備は万端だ。先程も城門の前で、偵察を行った。俺は美しい花の蜜に誘われた虫のごとく、雪の精霊と化した美貌のミレーネ嬢の後ろを、身体が勝手に付いて行ってしまったが…。

 まったくもって避けがたいミスである。危うくバレそうになってしまったが、なんとか猫のふりをしてピンチを凌ぐ事が出来た。

 これも日々今日のために様々なシュミレーションを想像し、あらゆる事態にも備えられるよう練習を重ねてきた成果である!


 …それをバカ猫呼ばわりしたアレクセイは後でしっかりシメておこう。



 王族しか知らない抜け道を使い、急いで先回りをし、俺はミレーネ嬢達より先に会場へと着くことが出来た。


 今日はミレーネ嬢の記念すべき成人のお祝いの会である。会場に招待された者は、俺や弟を含む一部の王族と関係者、そしてミレーネ嬢に近しい者達だけだ。


 この会を取り仕切っているのは、社交界の赤薔薇の君と名高いソフィーナ・シンシア・イルファン伯爵婦人だ。彼女が会場の飾り付けから料理に至るまで、様々な指揮を執ったため、白とブルーを基調とした、会場全体が1つのアレンジメントされた花束のように、彩られている。魔法で天井には満点の星空が広がっており、美しいことこの上ない出来である。


 「皆様、お待たせいたしました」

 イルファン伯爵婦人が優雅にお辞儀をしながら話し出すと、ざわついていた会場は一気に静かになった。赤薔薇の君の声と仕草には、男性女性問わず、観る者の心を魅了する魅力があった。まったくもって恐ろしい美女である。


 「夫のカルドネイド・ラシアス・イルファン伯、及び、娘のミレーネ・シャルド・イルファンが到着致しましたようですわ」


 両開きのドアから、伯爵に続いてミレーネ嬢が姿を表した。伯爵は城門前で行ったのと同じように、指をパチンッと鳴らすと、天井から床に着く前に消え去る不思議な雪が降り始めた。もちろん、先程と同じく、雪は冷たくなどなかった。こんな魔法の仕掛けを行えるのは、凄腕の魔術師である証である。

 演出と共に、会場内の招待客全員を威圧する目的があるのだろう。実際に、上層部の連中の何人かが憎々しげに伯爵を睨んでいたが、そんな事はもはや俺にはどうでも良い!!!ミレーネ嬢が美しすぎる!!

 (あぁ!眼が!!眼がぁ!!!眩い可憐さに直視した眼がつぶれてしまうぅ!!)


 俺は一人その場で悶絶しかけていたが、皆、伯爵とミレーネ嬢を見ていて気付いていないようだ。


 良かった。ミレーネ嬢には俺のこんな姿は見せられないし、知られたくない。


 幻滅されたらきっと俺は死んでしまうだろう。



 ミレーネ嬢は伯爵の腕を取りながら、会場へと続く半円形の螺旋階段をゆっくりと降りてきた。


 (空から、てっ、天使が舞い降りてくる~!!)


そして天使は、母親の姿を見つけると、はにかんだ笑みを浮かべながら手を小さく振った。


  ドッきゅん!!

  ズキュンッ!!!

  バキュンッ!!

  きゅんっ!

  きゅんっ!

  ドッキン!!

  ドドキュンッ!


 …今、自分の心臓の音の他に、同時に何人かのドデカイ心音が聴こえた。


 (くそっ!どこのどいつだ!!!“俺の”ミレーネ嬢にときめいた奴は!!)


 俺は血眼になって会場内を見渡した。全員探しだしてやる!!!


 (心臓を押さえている奴が…1…2…3、4………5……6人だとっ!??)


 その中に弟のセントバルの姿もあった。


 (さすがミレーネ嬢だ。だが、彼女は誰にも渡さない!俺が彼女の婚約者だ!!!)


 

 俺は決意を新たに、彼女を手に入れることを心に誓ったのであった。

 

 今回もお読み下さり、誠にありがとうございました!<(_ _*)>

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