後の祭り
これでお開きです。
八・後の祭り
その翌日。
境内でいつもどおりの日課の掃き掃除を霊夢はしていた。
宴会が遅くまで続いたせいか、時折欠伸を漏らしている。
その目の前に、文が盛大な風を巻き起こして現れた。
当然、少しずつ少しずつ進めていた作業は全てリセットされる。
「……ちょっと、仕事の邪魔しないでよ」
「いいでしょう。そんな事。今日やる宴会に比べたら些事ですよ、些事」
「はぁ?」
「おっと、私だけ除者にしようとしても駄目ですよ。今日ここで宴会をやることをスクープしたのは、この『文文。新聞』ですからね」
胸を逸らして誇らしげに文は言った。
それを呆れ顔で霊夢が見ている。
「あれ? そんな顔する場合じゃないでしょう」
「なんだ。あんた本当に勘違いしてたんだ。……悪いけど、宴会があったのは昨日よ?」
「なっ!? そんな馬鹿な。だって私は確かに……」
信じられないという顔つきで、文がうろたえる。
「どーせ、あの天人に一杯食わされたんじゃないの? 信じられないなら神社の裏でも見てきなさい。空の酒樽いっぱいあるから」
「そ、そんな。スクープが……」
霊夢が嘘を付いていないことが分かった文は完全に固まった。
「あんたの新聞のおかげで今日何人か勘違いして来たし、良い迷惑よ」
スクープを逃したのに加え、意図せず虚偽の記事を出してしまった。
その二重の事実が文のプライドをズタズタに引き裂いてしまった。
話の発端は彼女だが、一番踊らされたのも彼女なのは悲しいほどに確実だった。
心を折られた彼女が復活するのに、また一つのドラマがあるのだが……。
まあ、いつか其のうちでいいだろう。
完
後書き
比那名居天子という天人は、もっぱら不良天人だと囁かれている。
まあ、天界に上がる為の修行もせずに天人となった少女に、何事にも清廉で、ある意味無感動的な天人たらんと期待するのは無理があると言えるだろう。
そんな真っ当な天人とは言いがたい彼女にとって、いつしか天界は極楽というよりはある種地獄ともいえる場所になっていた。
歌、歌、歌、酒、踊り、歌。
そんな毎日をひたすら繰り返す。寿命という概念が無い彼ら天人は時の果てまで繰り返すのだろう。まだ天人とはいえ、少女の天子がこれで満足できるわけがない。
(―――ああ、下界の人達はあんなに楽しそうなのに)
皆遊び、闘い、呑み、笑う。そこは天子にとって楽園に思えた。
地にとらわれた者達を上から見下しているはずの自分が、逆に空に縛り付けられているかのように錯覚してしまうほどに。
私もあんな風に遊びたい。
いつしか眺めるだけでは飽き足らず、そんな考えが天子の心に芽生えた。
決して幻想郷の住民が皆遊んでいるわけではないだろう。
しかし、ただ暇を持て余すだけの生活を送る天子にとって、地上の彼女達が異変を起こし、それを解決する様は魅力的な遊びとしか映りようがなかった。
(私ならもっと大きな異変を起こせるのに)
不良と呼ばれようとも天子も天人の端くれ。身分相応といえる力を備えているし、高慢といえるほどの自身も持っている。 それに加えて日ごろの羨望が、彼女を行動に駆り立てるのにさほどの時間も掛ろうはずがない。
不良といわれる程の彼女の性格からして、彼女の行動を理解するものなどいるわけもない。
結果、不良天人比那名居天子が異変を起こすのを止めるどころか、それに気付く者さえいなかった。
――そんな感じで緋想天における『異変』を起こした天子。
今回はそれよりすこし後のお話。
衣玖を後ろに引き連れて、不良天人の彼女は今度は何をしでかすのでしょう。
今回は『地上天子家計画』を読んでいただき本当にありがとうございました。
さて、本作は天子、衣玖本です。 メイン天子と衣玖で、残りは緋想天のメンバーが出ていますが、絵師のとすにぱの努力によりほとんど網羅できています。感謝感激雨あられと言った感じです。
とりあえず製作秘話(?)
ここからネタバレ・・・・・・・といっても対したネタもないんですがね。
絵師:とすにぱ(以後とす)「冬コミ受かったらどうするー?」※今回の作品は冬コミで出したものの再編集です。
金巫女「そうだなぁ。もし受かったら(相方とすにぱの当選率は三分の一を切っている)東方の小説でも出すか。……どんなの書こうかな。紅魔館とか書きやすそうだけど」
金巫女「もう絶対誰かが書いてるの出してもつまらないから、なんか珍しいのにしよう」
金巫女「……例えば?」
とす「天子と衣玖さんなんてどうよ」
金巫女「あー……確かに珍しいだろうな。難しそうではあるが」
とす「まぁ、なんとかなるさ」
金巫女「あれ、それ俺の台詞じゃ」
てな感じの(一部脚色あり)見切り発車で始まってしまいました。まだ物書きとして日が浅いので地味に迷走しました。プロットが三つほどありまして、最初のは緋想天の天子視点ストーリー。
これはわざわざ原作の焼き直ししてもつまらんだろ、てなことで廃案。
次は天子が緋想天の異変を衣玖と謝って回るというもの。少し書いた辺りで、いろいろと矛盾していることに気付き、また廃案。
三つ目が今回書いたものになっています。
一応、天子と衣玖が幻想郷を回るという点が、二つめから引き継いではいますね。 この三つ目も色々書いては書き直しを繰り返しはしましたが。
話の内容としては単純明快。天子が宴会を装って、実はまた地上の土地に住家を作ろうと画策していたというものです。もう少し補足すると、宴会を提案したのは写命丸で、影で天子を『地上天子家計画』へと扇動したのは幽々子だったりします。理由は半分お遊びで残りは打算。
ちなみにタイトルで流れがもろ分かりなのは、無駄に凝ったり媚びたりせずに同人ならわかりやすいほうにしたほうが良いという判断です。
まあ、賛否両論な気もします。これから試行錯誤してく一つの課題になるかも。
話としてはバトルもできたし、キャラクターも東方らしくいっぱいだせたので未熟ではありますが個人的には満足のできるものになりました。
もし、貴方の時間を少しでも充実させるものとなったら幸いです。
では、だらだらと長い文にお付き合いいただきありがとうございました。
最後に本編に登場したのに絵が無かったキャラのごった煮のような絵がありますので、よろしければどうぞ。
あ、できれば感想ください。作者が狂喜乱舞します。




