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企業戦士戦線(コーポレート・ウォーフェア)  作者: 凡夫 成


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29/71

第29話 企業戦士、時間の歪み。

本作は「企業×能力バトル」をテーマにした物語です。

商談は戦闘。契約は勝敗。

その結果は株価として市場に反映されます。

現場、会議、市場——すべてが戦場です。

気軽に読んでいただければ嬉しいです。


現代。


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北海道帰還後。


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仮設拠点。


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ざわめき。


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「なんとか持ちこたえたな」


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「機島がやってくれたらしい」


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「帝央、本社で混乱してるってよ」


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声が飛び交う。


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その中。


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時任。


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無言。


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地図を見ている。


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四国。


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東北。


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北海道。


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戦線。


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だが——


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目はそこにない。


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時任

「……おかしくないか」


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近くの隊員

「何がです?」


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時任

「さっきの戦闘」


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一拍。


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「一瞬、止まってた」


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沈黙。


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隊員

「……は?」


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「そんなのなかったですよ」


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時任

「……」


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違う。


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確かにあった。


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“ズレ”。


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だが——


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誰も気づいていない。


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場面転換。


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東都 本社。


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秘書室。


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モニターが並ぶ。


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データ。


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戦闘ログ。


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時間軸。


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アヤが見ている。


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「……一致してる」


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小さく呟く。


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時任の動き。


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フレーム単位で再生。


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止まる。


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ズレる。


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通常ではあり得ない動き。


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アヤ

「これは……」


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一拍。


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「“時間”を使ってる」


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だが——


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違和感。


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「……でも」


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モニターを切り替える。


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別データ。


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帝央の記録(断片)。


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古い。


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消されかけている。


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そこに。


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同じ現象。


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止まった時間。


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ズレ。


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アヤの目が細くなる。


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「まさか……」


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場面転換。


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簡易訓練場。


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時任。


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軽く動く。


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一歩。


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その瞬間。


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周囲が遅くなる。


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空気。


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人。


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音。


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すべて。


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時任だけが、普通。


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その中で。


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歩く。


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回り込む。


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触れる。


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そして——


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戻る。


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世界が元に戻る。


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隊員

「……速すぎだろ」


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時任

「違う」


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一拍。


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「遅いんだ」


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沈黙。


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誰も理解できない。


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だが——


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時任自身も。


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完全には分かっていない。


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場面転換。


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帝央 本社。


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暗い部屋。


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机。


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資料。


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そこに書かれた名前。


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「時任」


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手が止まる。


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低い声。


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「……生きていたか」


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顔は見えない。


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ただ——


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その空気だけで分かる。


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“別格”。


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一拍。


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「面白い」


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紙を閉じる。


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「なら——」


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小さく。


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「試すか」


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沈黙。


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場面転換。


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時任。


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外。


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空を見る。


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風。


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静か。


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ナレーション。


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企業戦士にとって——


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時間とは、


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使うものではない。


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支配するものでもない。


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歪むものだ。


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その歪みは——


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やがて、すべてを巻き込む。


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そして今——


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二つの“時間”が、


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交わろうとしていた。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

本作ではバトルだけでなく、企業の成長や株価の動き、

情報戦なども含めて描いていきます。

少しでも面白いと感じていただけたら、

ブックマークや評価で応援していただけると励みになります。

今後ともよろしくお願いします。

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