朝は君の時間
ー 朝顔って朝にだけ太陽の方を見るんだって
そう聞いたのはいつなのだろう。
数日前だった気もするし、小学生の頃だった気もする。
今、目の前にいる少女を見て、ふとその言葉を思い出した。
そうか、優綺は朝顔なのか。いや、それだと俺が太陽のようじゃないか。いや、そもそも彼女が朝、俺のこと見ているみたいだ。そんな解釈良く捉えていいわけあるまい。
「おはよう。倉田くん!」
「ああ、おはよう。空乃さん。」
毎朝、おはようと話しかけてくるのは、同じクラスの空乃優綺さん。
俺のことは、まだ苗字呼びで距離が感じられる。まあ、俺も苗字呼びなのだが。
「ねえ、今日の数学の宿題何ページだっけ?」
「えっとね、23ページから26ページだよ。」
キーンコーン、カーコン… 朝の自由時間の終わりのチャイムだ。
「おけ、ありがと。バイバイっ!」
「うん。」
優綺と話せるのは、朝の30分間だけ。この時間は積極的に話しかけてくる。なのに朝のホームルームが終わったら、人が変わったように話さなくなる。
俺は何度か優綺に話しかけに行った。だがいつも、『んー、、、』と返事とも言えない返事をされてしまう。そもそもホームルームが終わったら彼女は教室を出てしまうから中々話す機会は無いのだけど。
「おーい、亮介ー。」
「おー。菊田。」
「お前さ、中学も一緒よな?何で苗字なん?距離離れてるみたいじゃん。」
「あー。ごめ。名前なんだっけ?」
「はぁ?忘れてるん?菊田両だよ。お前ったら空乃さん以外の情報、全部耳から漏れてるだろ。」
「なんで空乃が出てくるんだよ!」
「あ?お前、ごまかせてるつもりなの?空乃さんへの好意、隠せてないよ。けど、空乃さん、モテるらしーからな。」
「っせーな。空乃のことなんて好きじゃねーし。」
「あはっ。嘘も程々にしとけよー。」
両にはごまかしたが優綺に好意があるのは本当だ。告白する気はないのだけど。本当に不甲斐ないと思うよ。もっと話せれば良いんだけどな。
「そういえば、今日の朝以外優綺の事見てないな。」




