第3話 入学準備
魔法学校の一室にて、並べられた2つの席にはウシスとリアが座っている。そして黒板の前には華美に飾られた修道服を着る女性が立っている。
「私はダルシャ。2人のために特別講師として派遣されました。担当は魔法実技と入学式までの特別指導よ。よろしく」
「よろしくお願いしまーす」
挨拶をするとすぐさまウシスは立ち上がりダルシャに詰め寄った。
「俺の力はこんな子供向けの施設に収まったりはしない。早く卒業させろ。決闘するか?表出ろ」
「今からその力を測るため試験を行うわ。はい、座ってー、座学からよ」
「話聞け。おい、なぁ」
ウシスは無理矢理座れせられる。2人の前にそれぞれ用紙と筆記用具が配られた。
そして、ダルシャの合図に従い用紙を裏返し目を通す。
2人の行動は早かった。次の瞬間にはリアは机に突っ伏し、ウシスは立ち上がり、窓に手をかける。
「待ちなさい。アンタたち何してんの?」
「問題が解けません」
「文字読めない」
「はぁ、これだから田舎者は……。だったら読み上げるか口頭で答えなさい」
2人は席につき、姿勢を正した。それを確認したダルシャは問題を読み上げる。
「魔法は大きくわけて3種類あります。
身体機能や物質の強度を向上させる強化魔法、
火、水などの当人の適性のある物質を生成する属性魔法、
自身や他者の傷を治す治癒魔法。
では、我々魔法使いが得意とするのはどれでしょう。はい、ウシス答えなさい」
「他にもあるだろ。魔力見るやつとか、透明になるやつとか」
「例外ばかり考えないの。次、リア答えて」
「……ゾク、セイ…魔法?」
「あってるけどもういいわ。座学は0点よ」
「そんな!」
「酷い……」
3人は実技の試験のため校庭へと移動する。校庭の隅に配置された円形の的を指しながらダルシャは説明した。
「要はここからあの的に一般的な魔法を2回撃てばいいの」
「楽勝」
前に出たウシスは的を睨みつける。ボンっと音がなり的の中央には爆発痕が残っている。
「完璧中央」
「0点」
「なんでだよ」
「一般的な魔法って言ったでしょ。そんな特殊なことされても評価できないわ。ほら、もう1回だけ撃ちなさい」
「くっ……」
ウシスは的に向けて手を伸ばし、その先へと魔力を集中させる。するとウシスの手の先に火の玉が現れた。
火の玉はまっすぐ的に向かい、爆発痕に着弾した。
「聞いて話より弱いわね。次、リアの番よ」
「命中精度見ろよ」
「はい」
「的当てだろ」
ウシスに代わり、リアが的と向かい合う。的に向けた手の先に火の玉が現れる。
「普通はこの距離なら届かないわ。とりあえず全力で撃ちなさい」
「なぁ、聞いてる?なぁ?」
リアは助言を受け、さらに魔力を流していく。火の玉はどんどんと大きくなり彼女の体と同じほどの大きさになる。
火の玉は彼女のもとを離れ、真っ直ぐに飛んでいく。真っ直ぐに斜め下、やや右に。
地に落ちて、地面を抉る。火の玉は次第に勢いは衰え、小さくなり、完全に消えた。
その後には魔法の軌跡がくっきりと残されている。
「何してんの?校庭が」
「なんて威力なの!これは将来有望だわ」
「褒めるな」
「えっへん」
「誇るな」
慌てるウシスをダルシャはたしなめる。
「心配いらないわ。特待生の学業に関する費用は国家が負担するから 」
「金じゃなくてさ、物壊しちゃダメでしょ」
「金と権力があればなんでも許されるのよ」
「これだから都会者は...」
「次は短距離走するから、的まで走りなさい」
不満を垂れつつもウシスは試験を続けた。
翌日の朝、教室ではリアが王都での過ごし方を教わっていた。いつまで経っても現れないウシスに教員の男性は呆れた様子だ。
「直談判?が終わったら来るそうです」
男性は待つのを諦め、ウシスを迎えに行くことにした。職員室に行くと伝え、扉に手をかける。
「行ったのはお城ですよ?王様の権力なら何でもできるだとか」




