プロローグ1
「きゅい!」
キュイちゃんのこえで目が覚めた。
春のポカポカ陽気に当てられていつの間にか寝ていたようだ。
寝ぼけ眼をこすって、体を起こす。
「きゅいきゅい!」
キュイちゃんが急かすように鳴く。
まだ眠くって、うまく思考がまとまらない。
「キュイちゃん、なに急いでるの?」
頭の上からキュイちゃんが飛び降りてくる。そして周りに咲いている薬草の周りを大急ぎで回る。
「薬草?えっと、あ」
そこでようやく思い出した。お師匠様から薬草を取ってくるようにおつかいを頼まれていたことを。
「ああ、やばい。怒られちゃう!」
頭を抱えて絶望する。
本当は使ったら駄目だけど、仕方がないよね。
「妖精さんたち!薬草集め手伝って!」
そう私が言うとどこからともなく妖精たちがやってくる。
妖精たちは私を見ると嬉しそうに笑った。
『お久しぶり。リトルウィッチ、今日は薬草摘みを手伝えばいいの?』
「うん。えっと、お代は」
『いらないわ。リトルウィッチ、あなたは私達にとって大切な子だから』
妖精たちはいつも私がお代を出そうとすると断る。妖精たちは人と接触するのを好まない。なにかをさせるなら必ずお代を払うべきなのだが。
「そう。じゃあお願いできる」
『ええ。まかせて。一瞬で終わらせるから』
筆頭の妖精が合図を送ると妖精たちは薬草摘みに取り掛かる。背負っていた籠の中にあっという間に薬草の山が積み上がった。
「もう大丈夫!」
『そう』
妖精たちは薬草摘みを終え、側に近づいてくる。
『じゃあまたね、リトルウィッチ』
「ありがとう、またね!」
私はキュイちゃんも籠の中に入れて急ぎ足で家に戻った。